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社外取締役座談会

自律と挑戦で切り拓く
ナイスの未来

自らの専門的な知見に基づく助言と、独立した立場からの提言により、取締役会の実効性向上に貢献する社外取締役。本座談会では、昨年に引き続き5名の社外取締役にお集まりいただき、この1年における取締役会の進化と実行力の強化、人材育成、そして企業価値向上に向けた課題について意見が交わされました。

「対話」から「確実な実行」へ
― 成長戦略の具体化と実行への伴走 ―

― この1年における取締役会の進化についてお聞かせください。

鈴 木 :取締役会は、従来のような最終審議の場から、経営の方向性を定める前段階で議論を深める場へと変化してきています。執行側が判断に迷う早期の段階から社外の専門的な知見を交えることで、意思決定を前倒しで検討するプロセスが定着しつつあります。これにより、判断の精度を高めるだけでなく、執行側が抱えるリスクや課題の早期発見にもつながっていると実感しています。

濱 田 :私も、社外からの様々な意見について、執行側がしっかりと耳を傾けようとする姿勢がより強まり、個別案件に関する議論の深化が進んでいると感じます。一方、執行側から提示される事業の実行プランやロードマップにはまだ不透明さが残っており、この部分の改善が進むことで、議論の質もさらに上がると期待しています。

田 村 :意思決定プロセスの明確化は進んでおり、社外取締役の意見を消化しようとする意識も高まったことで、率直な意見交換が可能になりました。一方で、戦略の立案に比べ、実行の監督への関心がまだ弱いと感じています。計画が着実に実行されているかを伴走しながら見守る「監督の質の向上」が、今後の伸びしろであると考えています。

筧 :個別案件の議論そのものは深まっていますが、将来的に「どのように成長していくのか」という大局的な議論はまだ十分とは言えません。「中期経営計画 Road to 2030」の成長ドライバーについても、計画達成に向けた具体的なステップなど、実行のプロセスが執行側で十分に見える化できているとは言えない部分があり、現在の課題です。監督の精度を高めるためにも、議論の解像度をもう一段上げていく必要があると感じています。

小久保 :この1年は、企業理念である「信頼」を軸に、ステークホルダーとの関係性をより重視した取り組みが進んだと感じています。社員や取引先との関係を含め、中長期的な視点で企業戦略を捉える意識が強まりました。その成果として、「日経SDGs経営調査」の3つ星評価や、3年連続での「健康経営優良法人」の認定、「CDP2025」気候変動分野でのBスコアなど、着実に外部評価を獲得しており、会社が目指すべき方向性がかなり整理されてきたのではないでしょうか。

― 実行力を高めるために、今後、取締役会に求められる役割についてお聞かせください。

筧 :各施策の決議後の進捗を定点観測する仕組みが不可欠です。現状、多くの計画は決議の際に提示された段階にとどまっており、その後の具体的な進捗が取締役会に十分に共有されているとは言えません。成長ドライバーにおける各施策について、チェックポイントや達成時期を明示したロードマップを求めることで、取締役会として実行プロセスの見える化を図り、適切に監督・支援していきたいと考えています。

鈴 木 :モニタリングを形骸化させないためには、最終目標だけでなく、中間地点の定量的な指標も必要です。さらに重要なことは、部署の代表者やメンバーが真に当事者意識を持ち、自らの責任を認識して能動的に動く体制への変革です。執行側の誰が主体となってその壁を突き破るのか、その役割が明確になって初めて、実効性のあるモニタリングが可能になります。取締役会での議論において数値目標と役割の明確化を徹底することで、実行フェーズの質を高めていきたいと考えています。

濱 田 :私は、社外取締役として経営判断に深く関与するために、情報の量ではなく、意思決定に資する情報の解像度を重視しています。特に、領域が広く複雑な建築資材事業は、社外から見て全体像が分かりにくいため、単に説明資料を増やすのではなく、事業全体のロードマップ、想定されるボトルネック、そしてそれらに対する具体的な打開策が明示されることを期待しています。情報の透明性が上がれば、実行力強化に直結する質の高い議論が可能になります。

田 村 :全ての施策は、会社の理念と結びついていなければ意味がありません。取締役会は、基盤となる活動と成長ドライバーをどう機能させて理念やビジョンを実現するのか、その道筋を常に明確にしておく役割を担うべきです。実行の主役は、現場の社員たちです。彼らが、「なぜこの仕事をやるのか」を深く理解し、自律的に動ける環境を整えることこそが、当社の実行力を最大化させる鍵になると考えています。

小久保 :当社の各現場からマネジメントも含めて、各人の目標を見据えて自律的にそして失敗を恐れずにチャレンジする風土が、当社の戦略の実行には欠かせません。そのために、果敢に挑戦した社員やその挑戦を手助けした者が報われる仕組みを構築し、組織の風土を刷新し続けることが取締役会の役割だと考えます。チャレンジは百発百中の当たりでなくても構いません。会社の戦略に沿った新しい取り組みを率先してリードする意欲あるメンバーをどれだけ登用し活用できるか、取締役会はその仕組みづくりを執行サイドに求め続け、具体的アクションをモニタリングし、その実効性を高める必要があります。

サクセッション
― 持続的成長を担うリーダーの育成 ―

― 将来の経営を担う人材について、どのような資質を重視し、どう育成していくべきだとお考えですか。

濱 田 :リーダーに求められる資質の根幹は、突き詰めれば人間性に集約されると考えています。自分自身の成果だけを追い求めるのではなく、会社や社会、ステークホルダーのために努力できる人でなければ、部下からの信頼も、得意先からの信頼も得られません。誰かのために誠実に努力できることこそが、当社のリーダーにとって何より大切であると思います。

鈴 木 :当社の企業理念にある「信頼」を自ら体現できていることが絶対条件です。信頼を築くには、自らが信頼に値する人間でなければなりません。誠実であり、与えられた使命に責任を持って全力を尽くせるかどうかを軸として、次世代の経営人材を見極めていく必要があります。

小久保 :これからのリーダーには、AIやデジタルといった先進技術の潮流を経営の武器として戦略的に捉える高い感度が不可欠となります。これらはもはや専門部署のツールではなく、企業全体の利益や競争力を左右するものとなっており、今後は経営そのものと密接したものとなります。テクノロジーの変化を捉え、正しい判断ができることを重視しています。

筧 :そうしたリーダーを輩出していくためには、現状の人材戦略をより体系化し、サクセッションに向けて計画的に育成する仕組みが必要です。現状、事業ごとに各人の経験が閉じてしまっている側面があり、部門を横断したリーダー育成の仕組みが十分とは言えません。ポテンシャルがある人材には、30歳代から意図的に困難な課題への挑戦を課し、計画的な育成と評価をセットで管理していくことが重要です。

鈴 木 :異なる分野を経験させることは、経営を俯瞰する力を養うために非常に重要です。自らの専門領域を超え、異なる領域を知ることで初めて、グループの全体像が見えるようになります。

田 村 :私も、若い時代に経験した責任の重さによって、経営人材としての厚みがまったく違ってくると感じます。困難な状況を自らの力で乗り越えた経験こそが、揺るぎない経営者としてのマインドを育みます。小さな組織でもよいので、早い段階でトップとして意思決定し、責任を持つ経験を積ませることが、自律的なリーダーの輩出につながると考えています。

濱 田 :次世代リーダーの社内育成と並行し、新たな組織能力の獲得に向けて、外部人材や異業種人材の知見を積極的に注入していくスピード感も重要です。そのためにも、多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、柔軟でオープンな組織風土の醸成が急務です。それが、外部人材の受け入れのみならず、内部人材の自律的な成長を促し、持続的な成長を支える強固な土壌となっていきます。

企業価値の向上
― 潜在的な強みを評価へ ―

― 当社の強みと、それをどのように発信していくべきかについてお聞かせくださ

鈴 木 :当社の最大の強みは、木材を通じて地球温暖化対策に貢献できる点にあります。国産木材を起点に、山や森林に関わる人々と都市部の需要を一気通貫でつなぐ役割は、他社にはない特長であり、この社会的意義を積極的に発信すべきです。今後は、既存の住宅市場にとどまらず、非住宅建築物や住宅設備機器メーカーとの連携による木質系商品の開発など、木材のポテンシャルを広げ、新たな市場へリーチしていくべきだと考えています。

小久保 :私は、長年にわたり築いてきた信頼や人材といった無形資産こそが最大の強みであり、企業価値の源泉であると捉えています。暮らしの安全を支える事業を長く継続してきたことで、培われた取引先や社員との信頼があります。こうした価値は数字には表れにくいものですが、本来もっと評価されるべきものです。こうした潜在的な価値を再定義し、柔軟な発想で経営に生かしていくことが求められています。

筧 :川上から川下まで一貫して事業を展開できる点は、非常に大きな優位性です。それにもかかわらず、世の中への認知はまだ十分とは言えません。木のぬくもりや当社の企業姿勢がより広く伝われば、今以上に魅力的な会社として認識されるはずです。経営方針や戦略の中でもこの一貫性を前面に出し、市場の成長性、自社の強み、競合の動向等を掛け合わせた検証を行い、戦略的な発信を強化していくべきです。

田 村 :当社のアイデンティティである「信頼」という価値観は、現在も組織文化として深く根付いています。真面目で誠実であることは強みですが、今後は自ら考えて行動する主体性へとつなげていく必要があります。そのためにも、理念の実現に向けて「その数値目標がなぜ必要なのか」、現場がその背景やストーリーを理解し、納得感を持って動けることが重要です。「信頼」という武器を手に、時代の変化をチャンスと捉えて積極的に打って出る姿勢こそが、真のサステナビリティを実現すると確信しています。

濱 田 :これらの強みを真の競争力に変えていくためには、「どこに資源を投下するか」という投資の視点が不可欠です。例えば、木材という強みに対して、ヒト・モノ・カネを集中投下し、利益を生み出す武器として徹底的に磨き上げていくべきです。その本気の姿勢を示すことが、資本市場からの適正な評価につながると考えています。

― 最後に、今後の成長に向けて期待することをお聞かせください。

小久保 :これまでの成功体験にとらわれず、既存のルールを見直しながら新たな挑戦を続けてほしいと思います。経営において、昨日まで正しかったことが、今日も正しいとは限りません。自らを解き放って新しいルールをつくり上げるくらいの柔軟さで、次なる成長につなげてほしいと願っています。

濱 田 :現場に裁量を与え、自律的に行動できる環境を整えることが重要です。上が決めた方向性に社員のベクトルを合わせるマネジメントではなく、ここに向かうのだというビジョンを示したうえで、信じて任せる。そうした方向へとマネジメントを転換していくことを期待しています。

筧 :現場から上がってきた意見や若い人材のアイデアを前向きに受け止め、前例がないからという理由で止めないことが大切です。新しい発想を取り込み、変化を恐れず進化し続ける。そんな躍動感あふれる組織づくりを、ともに加速させていきたいと考えています。

田 村 :今は一部の優秀なリーダーだけで引っ張る時代ではなく、全社一体で挑戦していく時代です。現場も含めた総力戦で複雑な課題に向き合わなければなりません。全員が主体的に考え、挑戦する組織への進化を、取締役会として全力で後押ししていきます。

鈴 木 :当社はこれまで、時代の大きな変化のたびに挑戦を重ねて乗り越えてきました。だからこそ、これからも変化を理由に守りに入るのではなく、新しいステップへ進む発想を持ち続けることが大事です。変化をチャンスとして捉え、先を見据えた攻めの姿勢で、さらなる高みを目指し続ける姿を注視し、支えてまいります。

― 本日はありがとうございました。