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ニュース&レポート

ナイスビジネスレポート編集部 地震火災を防ぐ「感震ブレーカー」重要性増す

 大規模地震によって引き起こされる二次災害のうち、甚大な被害につながるものの一つが火災です。今回は、首都直下地震の新たな被害想定においても大幅な減災効果につながるとして導入が推進される「感震ブレーカー」についてご紹介します。

首都直下地震では72%の減災効果見込む

 大規模地震において甚大な人的・物的被害を招く要因の一つが地震火災ですが、その大半が電気を原因とした火災です。過去の統計によれば、阪神・淡路大震災で原因が特定された火災の約6割、東日本大震災でも5割強は電気が原因で引き起こされました。地震の揺れによる電気機器の転倒や停電からの復旧時に発生する通電火災は、不在時や避難の際に初期消火ができないことから、大規模な延焼につながるリスクが高まります。

 こうした電気火災を防ぐ有力な手段として、感震ブレーカーの導入が推奨されています。最新の首都直下地震の被害想定(2・3面にて詳報)では、感震ブレーカー等の普及率を現状の約20%から100%に引き上げることで、焼失棟数を約26万8千棟から約7万4千棟へ、約72%削減できるという減災効果が試算されています(図1)。住宅の耐震化と並び、居住者が取り組むべき防災の重要施策の一つと言えます。

タイプ毎の特長を把握した上で導入を

 感震ブレーカーは、一般的に震度5強以上の揺れを検知した際に、自動的に電気供給を遮断して火災事故を防ぐ装置です(図2)。製品は主に「分電盤タイプ」「コンセントタイプ」「簡易タイプ」の三つに大別されます(図3)。分電盤タイプは建物全体の電気を一括遮断するもので、専門業者によって設置されるため、作動の信頼性が確保されています。通電の遮断までに、約3分間の待機時間を設けて避難用の照明を確保できる点が大きな特長です。一方、コンセントタイプは特定の箇所のみを遮断するため、避難路の照明確保が容易で、在宅医療機器など継続的な通電が必要な家庭にも適しています。最も手軽な簡易タイプは、バネの作動や重りの落下によって物理的にブレーカーを落とす器具です。比較的安価で購入でき、電気工事も不要ですが、揺れと同時に即座に一斉遮断されるため、別途停電対策用の照明器具の確保が必要となります。

省庁連携で進める普及促進

 経済産業省や国土交通省などの各省庁等は、感震ブレーカーの設置促進に向けた取り組みを強化しています。経済産業省では、各家庭への電気設備点検の際、感震ブレーカーの必要性周知や自治体の補助金案内を行う取り組みが開始されました。特に、延焼の危険性が著しく高い密集市街地の未解消地区を有する自治体を重点地域とし、購入・取り付けの後押しがなされています。そのほか、国土交通省は、密集市街地の整備改善をハード・ソフト両面で進めており、住宅市街地総合整備事業(密集住宅市街地整備型)等により、地方公共団体による感震ブレーカー設置に関する取り組みを支援しています。

経済産業省 感震ブレーカーの普及啓発
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2015/10/270105-1.html

※ 図は全て経済産業省資料より作成