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政府 2027年度予算概算要求 過去最大の143兆656億円 4省庁が打ち出す省エネ・脱炭素・木材活用の重点施策
財務省は9月4日、2027年度予算の一般会計の概算要求総額が143兆656億円になったことを発表しました。補正と当初の一体化が図られたほか、経済成長や危機管理に向けた「強く豊かな日本」投資枠に12兆1,730億円が計上されるなど、4年連続で過去最大を更新しました。今回は、国土交通省、経済産業省、環境省、林野庁の要求内容から、住宅・木材業界に関連する主な項目をピックアップしてご紹介します。
国土交通省 新たな住生活基本計画を具現化する五つの柱
国土交通省の2027年度予算概算要求額は8兆7,694億円で、このうち住宅局関係予算は前年度当初予算比2.43倍となる4,187億円となりました。新たな住生活基本計画の目標達成に向けて、以下の五つの重点施策を柱に据え、持続可能で災害に強い住まいづくりに対して全面的に支援がなされます。
①住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備
災害リスクを踏まえた防災・減災対策、被災地での住まいの確保、老朽市街地における自主的なエリア更新の促進などが支援対象となります。地域の防災力向上に向けて、延焼リスクが高い地域を対象とした「密集集落防災事業」が新設されました。管理が不全な空き家の除却促進などによる密集集落の安全性向上や、住宅・施設の流通・循環・更新の円滑化による住環境の整備が推進されます。
②既存ストックの有効活用と流通市場の形成
多世代にわたり活用されるストックを形成し、適正な維持管理によって市場で適正に評価され、循環するシステムの構築が目指されます。この一環として、空き家のサブリース事業や状態の良好な空き家を賃貸流通させる取り組みなどを金融面から支援するため、住宅金融支援機構による「住宅ストックを活用した賃貸住宅融資制度」が創設されます。多様な住宅ストックを賃貸住宅として活用する新たなソーシャルビジネスを支援し、その普及・定着が図られます。
③誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保
子育て世帯等が安心して暮らせる住まいの実現や、住宅セーフティネット機能の強化が進められます。「子育て支援型共同住宅推進事業」が延長され、こどもの安全・安心対策や親同士の交流機会の創出に関する施設の設置などが支援対象となります。賃貸住宅の新築・改修、分譲マンションの改修において、住宅内での事故防止や防犯性の確保などに向けた工事を行う場合に補助金が支給される仕組みです。
④住宅・建築物分野の省エネ・脱炭素取組の推進
「みらいエコ住宅事業2027」に2,000億円が計上され、ZEH水準の性能が確保された住宅の新築や既存住宅の省エネ改修等が一体的にサポートされます。また、新規事業として「建築物ライフサイクルカーボン削減推進事業」が創設され、建築物の資材製造、施工、使用から解体に至るまでの各段階において、温室効果ガス排出量を削減する取り組みに対して支援が行われます(図)。

⑤供給力強化に向けた担い手の確保・生産性の向上
建築分野の担い手確保に向け、処遇改善やリスキリングなどの取り組みへの支援が強化されるほか、所有者自らが既存建築ストックの維持管理・修繕等に取り組める環境整備が進められます。また、生産性向上については、建築行政手続きにおける総合的なDX化や、BIMの活用・普及に向けた施策などが支援の対象となります。
環境省 窓改修や高性能住宅への支援を強化
環境省の2027年度予算概算要求額は、一般会計とエネルギー対策特別会計の合計で8,981億円となりました。住宅分野では、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」に980億円が計上されました。住宅及び一部非住宅建築物を対象に、内窓設置や外窓交換、ガラス交換といった窓の断熱改修工事が手厚く補助されます。
また、「脱炭素志向型住宅の導入支援事業」には500億円が計上され、ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を備えた新築住宅の導入に対して支援が行われます。これらの取り組みを通じて、くらし関連分野のGXを加速させるとともに、住宅の省エネ化を推進することで、エネルギー価格高騰から国民生活を守ることが目指されます。
経済産業省 住宅の省エネ・GXを加速
経済産業省の2027年度予算概算要求額は7兆7,859億円となり、このうち資源エネルギー・GX関連としては1兆9,838億円が計上されました。住宅分野においては、「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」に530億円が充てられています。この補助金を通じて、家庭における最大のエネルギー消費源である給湯分野において高効率給湯器の導入を支援し、その普及を進めることで、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成が目指されます。具体的には、ヒートポンプ給湯器やハイブリッド給湯器、家庭用燃料電池といった機器の導入に対して補助金が支給され、従来型給湯器から取り換える場合には、加算措置が講じられます。加えて、設置スペース等の都合からヒートポンプ給湯器等の導入が困難な既存賃貸集合住宅への対策では、小型の省エネ型給湯器の導入を促す「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」として、35億円が計上されました。
林野庁 林業・木材産業分野の成長産業化
林野庁の2027年度予算概算要求額は3,956億円となり、百年つづく「森の国・木の街」の礎の確立に向けて、森林・林業・木材産業に関する諸施策の推進が掲げられました。このうち、林業・木材産業分野の成長産業化に向けては、都道府県が策定する計画に基づき、川上から川下までの関係者が連携して生産性や付加価値の向上に取り組む「『森の国・木の街』創造連携イニシアティブ事業」が創設されます。本事業では、森林の集積・集約化やスマート林業技術の実装、路網整備から都市の木造化・木質化に至るまでが包括的に支援されます。
また、花粉症発生源対策の一環として「花粉の少ない苗木の生産拡大」が実施され、苗木大量増産技術の開発、官民一体となった苗木増産体制の強化、花粉の少ない苗木の広域流通等が推進される見通しです。
森林資源の循環利用の推進
森林資源の循環利用の推進に向けては、総合的な施策が展開されます。「森林循環利用・付加価値創出対策」では、森林境界の明確化や集積・集約化、再造林の省力・低コスト化、先進的な林業機械の導入や広葉樹の利活用といった生産・供給側の基盤整備が盛り込まれました。さらに、JAS構造材やCLT等を活用した建築物の木造化、日本産木材製品の輸出促進、木育などによる消費者の理解醸成を進めるとともに、山村地域の活性化や「森業(もりぎょう)」を通じた新たな森林価値の創造が後押しされます。加えて、「森と木の人材育成・確保総合対策」においては、新規就業者への体系的な研修や林業大学校で学ぶ就業前の方への給付金支給、森林プランナーの育成、林業経営体の安全診断をはじめとする労働安全対策などが支援対象となります。

