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木材利用促進月間特集 「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」 木材利用の明確な効果訴求を実現

 10月は「木材利用促進月間」と定められ、脱炭素社会の実現や地域経済の活性化に向けた木材利用の推進が全国で図られています。今回は、建築物における木材利用の効果を客観的に評価・可視化し、施主をはじめ一般消費者への訴求にも活用できる「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」について特集しました。 

木材利用の意義を体系立てて説明できるツール

 林野庁が策定した「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」は、建築事業者や不動産事業者が、投資家や金融機関に対して建築物への木材利用の効果を適切に訴求し、それが評価される環境を整備することを目的として作成されています。本ガイダンスでは、サステナビリティ情報開示の動向を説明するためのツールなどを踏まえ、「カーボンニュートラルへの貢献」「持続可能な資源の利用」「快適空間の実現」という三つの評価分野における項目や評価方法を整理しています。本ガイダンスを活用することで、建築事業者や金融機関にとどまらず、施主を含む一般消費者に対しても、「建築物に木材を使うと、どんな良いことがあるのか」を体系的に説明することができます。

評価分野① カーボンニュートラルへの貢献

 建築分野は世界の温室効果ガス排出量の約二割、エネルギー起源二酸化炭素の約四割を占めており、資材製造等のエンボディドカーボンの削減とライフサイクル全体の排出削減が求められています。こうした背景から、製造時の温室効果ガス排出量が少ない木材の活用と、建築物への炭素貯蔵を行う取り組みが効果的とされています。評価方法としては、エンボディドカーボンの削減に関してライフサイクルアセスメントにより算定した木材製品の製造に係る排出量を示します。また、主軸となる炭素貯蔵量については、林野庁のガイドラインに基づき、使用した木材の材積や密度、炭素含有率から算定する計算式(Cs=W×D×Cf×44/12)を用いて評価します。この客観的な計算手法を活用することで、地場の工務店や販売店は施主に対し、住宅建設によって何トンの二酸化炭素を家の中に長期間固定し脱炭素社会の実現に寄与できるかという明確な数値を提示し、効果的に訴求することが可能となります。

評価分野② 持続可能な資源の利用

 国内の人工林が利用期を迎える中で、林業の収益性確保や労働力不足が課題となっており、「伐って、使って、植えて、育てる」という森林の循環利用と持続的な森林経営の確立が求められています。このような背景から、建築物の所在地周辺や国内で生産された地域産材や国産材を積極的に活用し、安定した需要を創出する取り組みが効果的とされています。需要創出は地域の林業や木材産業に安定的な雇用と利益をもたらし、森林所有者への適切な利益還元を通じて再造林を促進し、地域経済の維持・活性化や国土保全など森林の有する公益的機能の発揮に貢献します。評価方法としては、地域産材の利用量や割合、産地情報を明確に示すほか、産業連関表等を活用して地域経済への波及効果を算定する手法が推奨されています。地場の工務店や販売店にとっては、地元の森林から産出された木材を使うことが地元の林業や木材産業の雇用や利益を生み、伐採後の再造林や森林保全の循環につながるというストーリーを伝え、住まいづくりを通じた地域社会への貢献を納得感をもって訴求できる利点があります。

評価分野③ 快適空間の実現

 建築物の内装木質化は人々の働き方や暮らし方に良好な影響を与え、健康増進やウェルビーイングの実現、従業員の確保や施設の利用者増加といった経営的メリットにつながることが明らかになっています。このような背景から、オフィスの執務室や店舗、住宅等の用途に応じて、床や壁、天井、家具等に木材を取り入れる取り組みやバイオフィリックデザイン等の設計手法を導入することが効果的とされています。内装木質化は、施主が日々の暮らしの中で最も直接的にメリットを体感できる分野となっています。評価方法としては、ガイドラインに集積されている客観的な調査データや科学的検証事例を参照しながら、心理面でのリラックス効果や身体面でのストレス状態の低下、集中力や作業効率の向上といった効果を客観的な指標で提示します。これにより、在宅ワークや子育てといった住まい手のライフスタイルに合わせた快適性や健康面のメリットを施主に対して具体的に提案することが可能となります。

>建築物への木材利用に係る評価ガイダンス