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ニュース&レポート

防災の日特集 求められる大規模地震・豪雨への備え

 9月1日は、様々な災害についての認識を深めるとともに、防災対策の重要性を改めて考える「防災の日」と定められています。今回は、直近で発生した「令和8年熊本地震」と「令和8年8月千葉豪雨」の被害内容を振り返りながら、求められる対策などについてまとめました。

【大規模地震】

「令和8年熊本地震」の発生

震度7の激震と相次ぐ地震活動

 2026年7月281627分頃、熊本県熊本地方の深さ16キロメートルを震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。この地震により、熊本県宇城市及び氷川町において最大震度7が観測されたほか、熊本県熊本地方で長周期地震動階級4が観測されました(図1)。気象庁はこの地震及び一連の地震活動の名称を「令和8年熊本地震」と命名しました。なお、その活動域は広範囲に及んでいます。地震発生以降、8月121200分までに震度1以上を観測した地震が623回発生しており、活動は依然として活発な状態が継続しています。この激しい揺れに伴い地盤沈下や液状化が発生したため、大潮の時期を中心に八代市周辺の沿岸部や河口付近の低地において浸水や冠水への注意が必要な状況となっています。

 最新の被害状況(8月26日8時時点)によると、熊本県内を中心に死者は38名に達しました。そのほか、重傷者33名、中等症者96名、軽傷者68名を含む負傷者が多数発生し、人的被害は402名に上りました。避難所数は64箇所、避難者数は2,589人に上り、猛暑下での厳しい避難生活を余儀なくされています。住宅への被害も甚大であり、全壊が1,695棟、半壊が2,610棟、一部破損が24,062棟に達し、熊本県内における家屋被害の合計は39,567棟に及びました。ライフラインへの影響も深刻で、宇城市では管破損に伴い広範囲で断水が発生し、これを受けて医療施設や福祉施設への応急給水支援が順次実施されました。

被災者生活再建支援法が適用

 大地震によって住まいが深刻な被害を受けた被災者の生活安定と速やかな生活再建を支援するため、「令和8年熊本地震」において、被災者生活再建支援法に基づく生活再建支援金制度が適用されました。この公的支援制度は、市区町村が交付する「罹災証明書」の取得が手続きを進める上での最初のステップとなります。支援金の支給枠組みは、住宅の被害程度に応じて支給される「基礎支援金」と、その後の再建方法に応じて支給される「加算支援金」で構成されています。基礎支援金は、住宅が「全壊」した場合に100万円、大規模な補修が必要な「大規模半壊」の場合に50万円がそれぞれ支給されます。

 更に、その後の生活再建方法に応じて加算される加算支援金は、住宅を「建設・購入」する場合に200万円、補修して住み続ける「補修」を選択する場合に100万円、公営住宅などを「賃借」する場合に50万円が支給されます(図2)。これらを組み合わせることで、住宅を新たに建築または購入して再建を図る世帯に対しては、一戸当たり最大300万円の支援金が交付される仕組みとなっています。施主がこれらの公的支援制度の流れを正しく理解することが、生活の基盤となる住まいの復旧を着実に進めることにつながります。

「首都直下地震」基本計画見直し

新たな被害想定が公表

 「令和8年熊本地震」のような大規模地震は、人口や建物が過密する東京圏で起きた場合、更に広範囲で甚大な被害が予想されます。このような背景から、国は2015年3月の策定から約10年が経過した「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を、最新の被害想定や進捗状況を踏まえて2026年6月に変更しました。見直しの前提となった「都心南部直下地震(マグニチュード7.3)」の新たな被害想定では、風速8m/sの冬の夕方に発生した場合、死者数は最大約1万8千人、全壊・焼失棟数が約40万棟に達すると試算されています。特に死者数及び全壊・焼失棟数の約7割は、過密する木造住宅街等での火災による被害が占めている点が特徴です。

 更に、都市部特有の想定として、電気の停止に伴うキャッシュレス決済の途絶や企業のデータセンター機能の低下などにより、中枢機能が一時的に著しく停滞することが懸念されています。また、想定避難者数は約480万人、帰宅困難者数は約840万人に達し、避難所での7日間の食料不足数は約1,300万食に及ぶと試算されています。加えて、災害関連死者が約1.6万人から4.1万人に達すると推計されるなど、構造物の崩壊だけでなく、過密都市特有の深刻な被害の様相が浮き彫りとなりました。

「自分ごと」化へと方針転換

 これらの被害想定を踏まえた基本計画の変更に伴い、国の防災方針は従来の「行政が国民を守り、国民は守られる者」という受動的な考え方から、「国民、企業、地域、行政が共に災害に立ち向かう」という自律的な方針へと転換されました。併せて、今後10年間の国の減災目標は、想定死者数及び全壊・焼失棟数の双方を「おおむね半減」とする以前の目標から、今回は「半減以上」へと更に引き上げられました(図3)。対策における具体目標の数についても、前回の47個から189個へと大幅に拡充されました(図4)。

 住宅関連の具体的な対策としては、大規模地震時に倒壊しないよう住宅等の耐震化率を大幅に向上させ、耐震性が不十分な住宅ストックを「おおむね解消」することが目標に設定されました。また、火災による甚大な被害を防ぐため、電気に起因する出火を防止する「感震ブレーカー」の設置率を「おおむね設置」まで引き上げる普及促進目標が明記されたほか、著しく危険な密集市街地の解消率100%の達成が掲げられました。更に、日常的に食料品を多めに購入して使いながら備蓄する「ローリングストック」などの家庭備蓄を推進し、3日分以上の飲料水や食料品の備蓄を家庭で100%達成することや、家具の転倒・落下・移動防止対策を徹底する家具固定率100%の達成など、足元の事前行動の重要性が盛り込まれました。

 

【豪雨】

「令和8年8月千葉豪雨」の発生

線状降水帯による短時間での局地的大雨

 2026年8月13日、湿った空気の流入に伴う低気圧の影響により、千葉県内において線状降水帯が発生し、これまでに経験したことのないような短時間での局地的大雨をもたらしました。千葉市で3時間降水量187.0㎜、6時間降水量204.0㎜を観測したほか、佐倉市で158.5㎜、船橋市で121.5㎜の3時間降水量を記録するなど、局地的な大雨となりました。気象庁は命の危険が迫っているとして、千葉県内の多数の市町村に対して大雨特別警報を発表しました。

 被害状況として、千葉県内における大雨に伴う人的被害は死者13名、行方不明者1名、負傷者46名に上りました。また、住家被害は埼玉県内も含めて全体合計で4,562棟に達し、全壊3棟、半壊302棟のほか、床上浸水2,181棟、床下浸水1,995棟、一部破損81棟の浸水及び建物被害が記録されました(8月2510時時点)。この豪雨は、利根川水系の坂川や新坂川、国分川、都川水系の葭川などの河川の氾濫危険水位を超過しました。更に、下水汚水ポンプ場の機能停止、水道管破損による断水、道路法面の崩落に伴う通行止めのほか、鉄道の道床流出や土砂流入などの交通インフラにも大きな被害が生じました。また、移動中のタクシーが水没し、乗員が巻き込まれる等の人的被害も発生しました。

5段階の警戒レベル

 「令和8年8月千葉豪雨」においては、非常に激しい大雨の発生に伴い、気象庁より警戒レベル5に相当する大雨特別警報が発表されました。警戒レベル5が表す状況は「緊急安全確保」であり、既に何らかの災害が発生している可能性が極めて高く、命の危険が迫っているため、その場で直ちに身の安全を確保しなければならない段階を指します。特別警報が発表されてからの避難では手遅れとなるため、地元自治体から発令される避難情報に従い、警戒レベル4までに必ず危険な場所からの避難を終えておくことが大原則となります。

 警戒レベルは1から5の段階で示され、取るべき行動が整理されています。警戒レベル1は早期注意情報の段階であり、災害への心構えを高めます。警戒レベル2は大雨注意報などが発表される段階であり、ハザードマップ等で自らの避難行動を再確認します。警戒レベル3は「高齢者等避難」が発令される段階であり、避難に時間を要する高齢者や障害のある方、乳幼児、及び避難を支援する人は、危険な場所から安全な場所への避難を開始しなければなりません。警戒レベル4は「避難指示」の段階であり、対象地域の危険な場所にいる人は全員、速やかかつ確実に避難を完了しなければなりません。もし屋外移動が危険な状況において浸水等の危険が迫った場合には、少しでも高い場所に移動する「垂直避難」などの行動が求められます。

スマートフォンで危険度を確認できる「キキクル」

 急激に高まる水災害のリスクに対して、気象庁では、自らの判断で適切な早期避難を可能にするシステム「キキクル」を提供しています。「キキクル」は、大雨による災害の危険がどこでどのレベルまで迫っているかを、スマートフォンやパソコンから視覚的に確認できるシステムです。土砂災害の危険度を示す「土砂キキクル」、浸水害を示す「浸水キキクル」、洪水災害を示す「洪水キキクル」が公開されています。危険度の情報は10分ごとに更新され、色分けされた地図を見るだけで最新の状況がひと目で把握できます。

 更に、より確実かつ迅速に情報を受け取るため、あらかじめ登録しておいた地域で危険度が高まった際に自動でスマートフォン等へお知らせが届く「プッシュ型通知サービス」の活用が効果的です。何も起きていない平時の段階から通知サービスに登録しておくことで、逃げ遅れを防ぐための確実なタイミングでの避難判断や、離れた場所に住む家族への避難の呼びかけが可能となります。「自らの命は自らが守る」意識を一人ひとりが持ち、こうしたリアルタイムの防災情報を日頃の備えや迅速な避難行動に連動させることが強く求められています。