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「山の日」特別企画 林野庁「森林・林業・木材産業の現状と課題」 森林機能の継承に欠かせない適切な森林整備

 8月11日は、山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを趣旨に設立された「山の日」です。今回は特別企画として、日本の森林の機能や課題を振り返るとともに、ナイス㈱が保全・育成を行う「ナイスの森®」に関連する取り組みについてご紹介します。

世界第3位の森林率を誇る「森林大国」日本

 日本の森林面積は、国土の約3分の2に当たる約2,500haに及び、推計で約92億㎥に達する豊かな森林蓄積を有しています。経済協力開発機構(OECD)加盟国との比較においては、フィンランド、スウェーデンに次ぐ第3位の森林率を誇っており、諸外国と比べても極めて高い水準を維持しています(図1)。森林面積の内訳を見ても、人工林の面積が全体の約4割を占める約1,008haで、世界第6位に位置しています。これらから、日本はまさに世界的な森林大国であると言えます。

命の水を育む森林の「水源かん養機能」

 森林は、水源かん養、地球温暖化防止、国土保全、生物多様性保全、そして木材等の林産物供給といった多面的な機能を有しており、国民生活に様々な恩恵をもたらす「緑の社会資本」と位置づけられています。これらの公益的機能が発揮されることによる貨幣評価額は、一部の機能だけでも年間70兆円にのぼると試算されています。このうち、私たちの生活と密接に関連する水源かん養機能は、水資源の貯留、洪水の緩和、水質の浄化という三つの重要な役割から成り立っています。

 第一の役割である水資源の貯留機能は、森林土壌が小さな隙間を多く含んでいることから、しばしばスポンジに例えられます。起伏に富んだ急峻な山地であっても、降った雨は一度森林土壌の隙間に蓄えられ、時間をかけてゆっくりと川へ送り出されます。この機能によって、晴天の日が続いても渓流の水がすぐに枯れることはなく、安定的な河川流量の確保に貢献しています(図2)。

 第二の役割である洪水の緩和機能は、雨水が地中に浸透し、様々な経路をたどって川にゆっくりと流れ出ることで、降雨時における川の流量のピークを低下させる働きです。これは特に、中小規模の洪水に対して顕著な効果を発揮すると考えられています。

 第三の役割である水質の浄化機能は、雨水が森林を通って土壌に染み込み、渓流に流出するまでの過程で、土壌中のミネラル成分などがバランス良く溶け出すことを指します。これにより、濁りが少なく、中性に近いおいしい水を作り出します。

健全な森を次世代へつなぐ「再造林」の重要性

 しかし、これらの重要な森林機能を将来にわたり持続的に発揮させていくためには、適切な保全管理と整備が極めて重要となります。現在、日本の人工林の約6割が51年生以上となり、本格的な利用期を迎えています。2032年にはこの割合は約8割に達する見込みであり、先人たちが植えて育てた豊富な資源を有効に活用していく必要があります。それと同時に、多面的な機能を将来にわたって持続的に発揮させていくためには、木材として利用するために伐採した後、再び苗木を植えて健全な森林を育てる「再造林」を確実に行う循環利用の確立が不可欠となっています。

 持続的な森林経営の推進に向けては、市町村森林整備計画において機能に応じたゾーニングが実施され、計画的な森林施業が進められる方針となっています。特に林地生産力が高い林業適地においては、効率的な施業森林区域を設定し、森林経営計画制度や伐採造林届出制度の適切な運用を図ることで、主伐後の再造林を確実に確保することが目指されています。一方で、現在の木材取引においては、価格決定時に再造林コストが十分に意識されていないという課題も存在しており、サプライチェーン全体でコスト構造への相互理解を深め、国産材の合理的な価格形成を図ることが重要視されています。

 森林資源を「使ったら植える、手入れする」という正の連鎖でつなぐことは、地球温暖化防止や国土保全といった多面的な機能を維持し、国民の安全と安心を根底から支えることにつながります(図3)。適切な間伐や再造林による森林整備を通じて、健全な森林を次世代へと受け継いでいくための取り組みが、今まさに求められています。

>林野庁 森林・林業・木材産業の現状と課題

>林野庁 水源の森をつくり育てる

「ナイスの森®」の保全・育成で豊かな森林づくりを推進

「ナイスの森®」に関連する2026年度のトピックス

「ウォーターポジティブ」を実現

 森林価値の可視化を目的として、林野庁の「林地における水資源かん養量(貯留機能)の簡易評価手法」に基づき、社有林「ナイスの森®」を含む当社グループの社有林における水資源かん養量1及び水資源かん養貢献量2を算定いたしました。その結果、当社グループの社有林が育む水資源かん養量は年間8,175千㎥に及び、「水資源かん養貢献量」は年間4,852千㎥となりました。これは、当社グループの年間水使用量50千㎥(2025年3月期)の約100倍に達し、水資源かん養貢献量が当社グループの事業活動で利用する水使用量を上回る「ウォーターポジティブ※3」であることを確認いたしました(図5)。

 当社は引き続き、社有林の適切な保全・管理を通じて水資源の保全に貢献してまいります。

※1 林野庁の「林地における水資源涵養量(貯留機能)の簡易評価手法」に基づき算定しております。本算定は、簡易評価であることから、水資源かん養量が1~2割程度過大となる場合があります。
※2 林地を森林として維持し続けることで得られる水資源かん養量の増分について、「水資源かん養貢献量」と独自に定義しています。その場所が「林地」であった場合と「裸地」であった場合の水資源かん養量の差分となります。
※3 「ウォーターポジティブ」には、水を使用した同一流域等においてかん養・回復が行われていることを指す場合と、企業グループ全体として水使用量を上回る水資源への正味の貢献を示す場合があり、本リリースでは後者の考え方に基づいています。

   

「少花粉スギ」の苗木750本を社員が植林

 社有林「ナイス津久井の森」にて、社員による植林会を実施しました。

植林会では、昨冬に群状間伐を実施した0.25haの再造林地において、花粉発生源対策として林野庁が推奨する「少花粉スギ」の苗木を750本植林いたしました。社員が実際に山林へ足を運び、自らの手で苗木を植えることで、国産材の利用意義や森林の循環について理解を深める学びの場といたしました(図6)。

 当社は引き続き、木材流通をルーツとする企業として森林の保全・育成に努め、国産材の利活用を推進してまいります。

    

「ナイス日光の森」を新たに取得

 栃木県鹿沼市の大芦川流域に位置する100haの山林を、「ナイス日光の森」として新たに取得しました。

 同森林は、ブランド材を産出する栃木県の豊かな森林環境に位置するほか、樹高30メートルを超える主伐適齢期の優良木が多く確認されるなど、経済林として高い価値を有しています。更に、近隣の宇都宮市には当社の「建築資材事業拠点」と「住宅事業拠点」の双方が位置していることから、木材流通における効率的な連携やエンドユーザー向けの地域イベントなど、社有林の多角的な活用を見込んで今回の取得に至りました(図7)。当社は今後も、木材の有効活用及び健全な森林形成への貢献を推進してまいります。

全国9カ所に位置する社有林「ナイスの森®

 ナイス㈱は木材流通をルーツとする企業として、「利益の一部を森林に還元する」という考えに基づき、1980年より社有林「ナイスの森® 」の取得を開始しました。現在は、新たに取得した「ナイス日光の森」を含めて全国9カ所に位置しています。グループ会社が所有する社有林と合わせた総面積は2,528.4haに及び、2026年3月期は約11,000トンの二酸化炭素を吸収しました。各地域の森林組合等との連携に加え、グループ会社のナイス原木流通㈱による伐採や選木及び植林・育林などの活動を通じて、健全な森林の形成及び地球環境保護への貢献を目指しています。

※4 年間二酸化炭素吸収量及び炭素貯蔵量は2026年3月期の実績のため、「ナイス日光の森」の実績は含んでいません。