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森林・林業白書 特集 森林資源の循環利用の確立に向けて 木材利用と再造林をつないで次世代に継承を
林野庁は6月2日、2025年度の森林・林業白書を公表しました。特集では、「森林資源の循環利用の確立に向けて~木材利用と再造林をつなぐ~」をテーマとして、木材利用の拡大や再造林の推進に向けた取り組み等を紹介しています。今回はその一部をご紹介します。
世界的潮流と森林資源の循環利用の役割
持続可能な社会の実現を目指し、気候変動対策や生物多様性の保全といった国際的な取り組みが加速しています。パリ協定により日本も2050年までのネット・ゼロ実現を表明しており、生物多様性の損失を止めて回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」の実現も喫緊の課題となっています。こうした持続可能な社会の実現に向けた一連の国際的な動きと、日本国内の主要な取り組みが着実に進展している中、森林は二酸化炭素の吸収源や多様な生態系の構成要素として重要な役割を担っています(図1)。特に木材を建築物等へ利用することは、森林が固定した炭素を長期的に貯蔵する効果があるほか、木材は製造時のエネルギー消費が鉄やコンクリートよりも比較的少ないため、建築物のライフサイクルを通じた排出削減にも貢献します。近年は投資家等からも企業の持続可能性に関する情報開示を求める動きが強まっており、自然資本への対応をビジネス課題として位置付ける動きが加速しています。民間においても木材利用への期待が高まる中で、日本では人工林が本格的な利用期を迎えています。この充実した資源を有効活用し、再造林を推進して循環利用を確立することが不可欠です。

建築物の木造化を推進する制度整備と環境変化
こうした背景から、現在は建築物の木造化を促進するための制度面や技術面での環境整備が進んでいます。1998年の性能規定化を機に、強度や耐火性能を満たすことで中高層建築物の主要構造部に木材を利用することが可能となりました。更に、2021年の「都市(まち)の木造化推進法」の施行により、法の対象が民間を含む建築物一般へと拡大されたことで、多様な分野での活用が加速しており、高い耐火性能を有する木質耐火部材やJAS構造材の開発が進んでいます。特にCLTについては普及に向けたロードマップが作成され、標準的な木造化モデルの普及も図られています。
新たな動きとして、建築物の建設から解体までのライフサイクル全体を通じた排出削減も求められています。建築分野の排出は、使用段階のエネルギー消費によるオペレーションカーボンと、資材製造や施工等の段階によるエンボディドカーボンに分類されます(図2)。政府は2028年度を目途にライフサイクルカーボン評価の実施を促す制度の開始を目指しており、木材の優位性が更に高まることが期待されます。また、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)の見直しにより、企業の木材利用による炭素蓄積量を排出量調整に用いることが可能となるなど、利用を後押しする環境が整いつつあります。

再造林の着実な推進と持続可能な循環の仕組み
森林資源の循環利用を確立する上では、主伐後の再造林を確実に行うことが大きな課題です。現在は自然的・社会的な条件が良い林業適地の選定が推進されており、森林施業の基盤となる路網の整備が進められています。主伐が本格化する中で、従来の造林方法では初期費用が販売収入を上回ることや、育林従事者の減少などが、再造林を進める上での壁となっています。このため、初期費用を縮減するとともに、徹底した省力化を推進することが重要です。具体的には、コンテナ苗の活用や林業機械を用いた一貫作業の導入に加え、成長に優れた特定苗木等を活用した下刈り回数の削減など、低コスト化に向けた取り組みが展開されています。
加えて、木材利用と再造林を確実につなぐためには、サプライチェーンの各段階での適切な価格形成が求められます。川上から川下までの関係者が育成コストへの理解を深め、合理的な価格で取引する協定の締結などの事例も現れています。また、森林所有者の負担を減らすため、再造林を担う事業者をはじめ、素材生産・流通・加工などの各事業者が連携し、費用を支援する基金などを設立する動きが広がっています。(図3)。他分野からの参画も得ながら、森林・林業・木材産業の好循環を生み出し、森林資源の循環利用を確立していくことが求められます。


