閉じる

ニュース&レポート

  • トップ
  • ニュース&レポート
  • ウッドエンジニアリング 木造部分の構造躯体工事を担当 多機能型地域生活支援拠点「石神井いとなみの起点」が竣工

ウッドエンジニアリング 木造部分の構造躯体工事を担当 多機能型地域生活支援拠点「石神井いとなみの起点」が竣工

 飛島建設㈱とナイス㈱による合弁会社の㈱ウッドエンジニアリングはこのたび、東京都練馬区に誕生した多機能型地域生活支援拠点「石神井いとなみの起点」の構造躯体工事を担当しました。今回は、本物件の概要や特長についてご紹介します。 

多機能型地域生活支援拠点として誕生

 「石神井いとなみの起点」は、東京都練馬区の閑静な住宅街に新たに誕生した、重度障害者グループホーム等の事業を中心とした多機能型地域生活支援拠点です。西武池袋線石神井公園駅から徒歩5分の場所に位置する本施設は、重度の障害のある方々が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けられる共生社会の実現を目指し、計画されました。事業主は社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会、設計監理はケアスタディ・スタジオ・クハラ・ヤギ設計共同体が務め、元請けとしての施工は飛島建設㈱が担当しました。その中で、㈱ウッドエンジニアリングは下請けとして、木造部分の構造躯体工事を担当しました。

 本施設は建築面積516.80㎡、延床面積1,383.39㎡の、1時間耐火構造の木造3階建てです。施設内には、重度障害者グループホームのほか、短期入所や特定相談支援の事業などが併設されています。建築物全体で約208㎥の木材が使用されており、都市部における中大規模木造建築のモデルケースとして、木の温もりを最大限に生かした設計が随所に施されています。

在来軸組工法とラーメン構造の混構造

 構造上の大きな特徴は、1時間耐火構造を採用しながら、在来軸組工法とラーメン構造を適材適所で使い分けた混構造にあります。大部分はメンブレン型の在来軸組工法を主体としつつ、1階の地域交流スペースや中庭といった壁のない大空間や大きな開口部が求められる場所には、木造ラーメン構造が採用されました。これにより、視覚的な広がりが生まれ、地域に開かれた明るい空間を実現しています。

 構造材については、在来軸組工法部分は柱に120角の欧州アカマツ集成材、梁には120×180450㎜の欧州アカマツ集成材やベイマツ集成材が主に使用されています。木造ラーメンフレーム部分については、柱は360角、梁は210×660㎜の高強度なベイマツLVLに、難燃処理を施した60㎜厚のLVLを被覆し、耐火性能を確保しています。

 柱の脚部については、複雑な金物を使用せず、コンクリート基礎へ直接差し込む手法が採用され、接合部の性能を確保しながら、施工の効率化と経済性の向上を両立させています。

木のやすらぎを演出する内外装の木質化

 本プロジェクトは、一人ひとりが安心して自分らしい地域生活を送れるよう支援することを活動の柱の一つとしています。こうした理念に基づき、内装においても利用者が「自分らしく安心して過ごせる」よう、やすらぎを演出する木の質感を最大限に引き出す工夫が施されました。

 1階の地域交流スペース「ひととま」では、構造躯体のLVLの梁や柱に、更に15㎜厚のLVLが仕上げ材として重ねられています。躯体をあえて隠さず「あらわし」にすることで、木材の温もりを伝えながら、ダイナミックで開放感あふれる空間を実現しています(図2)。また、各階の廊下や居室には、壁面に柔らかな質感のシナ合板が全面的に採用されており、住まいとしての心地良さを目指した内装木質化が図られています(図3)。

 外観においては、多摩産材スギを用いたルーバー約900本が施され、施設全体が「大きな木」のような存在感を有しています。このルーバーで囲まれた立体的なデッキスペースは、街路の延長として機能する「まちなか広場」として計画されました。地域住民と入居者が自然に交わり、互いの気配を感じられる場を提供することで、地域社会との心理的な距離感を解消する重要な役割を担っています(図4)。

>(福)東京都手をつなぐ育成会「石神井いとなみの起点」