閉じる

ニュース&レポート

政府 「住生活基本計画」閣議決定 ストック活用方針で高まる「住宅履歴(いえかるて)」の重要性

 政府は3月27日、新たな「住生活基本計画」を閣議決定しました。本計画では、既存住宅の活用促進が明確な方針として示され、安心して既存住宅が取引される市場環境の整備を目指す上で、住宅履歴情報の活用等が挙げられています。今回は、住宅履歴情報が重要性を増している背景と、(一社)住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会が推進する「いえかるて」の概要についてご紹介します。

「住宅履歴情報の蓄積・活用」を国が推進

 3月27日に閣議決定された新たな「住生活基本計画」では、2050年の日本社会を見据え、既存住宅の本格的な有効活用が主要な方針として掲げられています。これまでの住宅政策では新築住宅の質を誘導する枠組みが整備されてきましたが、今後は戦後から高度経済成長期に供給された住宅の相続が大量に発生することなどを踏まえ、蓄積された住宅ストックが市場を通じて最大限に活用される、持続可能な社会の実現が目指されています。

 こうした方針のなか、2050年を見据えた目標の一つとして掲げられたのが、「住宅ストックの性能や利用価値が市場で適正に評価され、循環するシステムの構築」です。この目標では、住宅の所有者が自ら維持管理や点検を適切に行い、その努力によって維持された価値が客観的に評価された上で、次の所有者へと確実かつ円滑に引き継がれる仕組みづくりが求められています。具体的には、築年数が経過した住宅であっても、その履歴や性能、これまでの維持管理の状況、将来的に必要となる改修内容や投資額などが「見える化」されることが不可欠であると述べられています。買主が将来のリスクやコストを含めて納得し、安心して取引を行える市場環境を整備する方針が示されました。

 更に、計画を達成するための具体的な施策の中では、長期優良住宅の認定情報の活用と並んで、「住宅履歴情報の蓄積・活用」を促進することが、適正な査定評価や既存住宅の流通促進において極めて重要な役割を果たすと明記されています。つまり、住宅に関する履歴情報を客観的な記録として保存し、次世代へ継承していくことが、国の政策においてストック価値を最大化するための最優先課題として位置付けられていると言えます。こうした背景から、住まいの情報を一元管理し、その価値を証明する住宅履歴の重要性がこれまで以上に高まっています。

履歴の一元管理が可能な「いえかるて」

 この「見える化」を実現する具体的な手段として重要性が増しているのが、住宅履歴情報サービス「いえかるて」です。「いえかるて」は、(一社)住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会が推進している、設計図書や維持管理の記録、リフォームの内容を一元的に蓄積・管理するシステムの総称です(図1)。中古車における点検整備記録簿のように、住宅についてもどのようなメンテナンスが施されてきたかを客観的に証明できる情報の有無が、将来的な資産価値や売却時の評価を左右する時代となっています。「いえかるて」によって情報が適切に蓄積されていることで、所有者は自らの住まいのコンディションを正確に把握し、売買の際にも買主に対して安心材料を提供することができます。

 「いえかるて」に記録することは、施主にとって様々なメリットをもたらします。まず、情報が「見える化」されることで、図面や仕様表、過去の点検結果が蓄積され、目に見えない構造やお手入れの状態等の必要な情報を、誰でも容易に確認できるようになります(図2)。また、「住宅情報の長期保管」も可能にします。住まいの情報は住宅会社を通じて情報サービス機関に預けられ、クラウド上のデジタルデータとして長期にわたり安全に守られます。そのため、地震や台風等で保管していた住宅情報が失われるといったリスクを防ぐことができます。加えて、「いえかるて」に保管した住宅情報を活用し、計画的な長期修繕管理を行うことで、適切な時期にメンテナンスが可能となり、維持管理コストを削減しながら住宅を長持ちさせることができます。更には、適切な履歴情報がある住宅は、将来の売却時に市場で適正な資産評価を受けやすくなるだけでなく、子や孫の代へ引き継ぐ際にも、確かな価値を証明する基盤となります。

点検業務の効率化にも寄与

 工務店にとっても「いえかるて」を導入することで、業務の生産性と顧客満足度の向上が見込めます。実務面での第一のメリットは、点検・アフター業務の大幅な効率化です。現在、入居から1年目、2年目、5年目、住宅の瑕疵担保期間が切れる10年目、それ以降は5年毎に定期点検を行うことが多くなっており、点検項目も多岐にわたります(図3)。「いえかるて」によって断面図や仕様表を即座に参照できれば、目に見えない箇所の状況を的確に推測でき、より正確で短時間の作業が可能となります。また、リフォーム提案における精度の向上も挙げられます。既存設備の型番やクロスの品番、張替面積などの記録が残っていれば、見積作成時の現場調査の負担が軽減され、発注ミスも防ぐことができます。更に、施主の要望に合わせた最適な改修提案を可能にすることで、ニーズに合致した付加価値の高いサービスを提供できます。住宅情報を「大切な財産」として共有し、適切に管理し続けることは、地域における住まいの良きパートナーとしてのつながりを深め、結果的に施主の満足度を高めることにつながります。

>(一社)住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会 いえかるて

プロパティオン ナイスグループが展開するクラウド型住宅履歴システム

「電子書庫」や「現場瞬撮」で履歴情報を容易に蓄積

 ナイスグループのプロパティオン㈱は、住宅履歴情報の蓄積・活用の支援サービス及び整備などを通じて、工務店様の現場実務をデジタル技術でサポートします。本サービスの中核を成す「電子書庫」機能では、地盤調査報告書から建築確認申請書類、検査済証、竣工図、更には住宅設備の保証書や取扱説明書、日々の点検報告書、修繕・リフォームの記録に至るまで、住まいに関するあらゆる情報を電子化し、施主ごとに整理された専用ページで一元管理することが可能です。カテゴリ別に書類を整理整頓することができるため、情報の検索性が飛躍的に向上し、アフターメンテナンス時の現場確認や将来のリフォームの打ち合わせにおいても、過去の情報を素早く参照して的確な判断を行うことができます。また、各書類は「公開・非公開」の設定を柔軟に行えるため、施主に見せる資料と社内用の見積書などを分けて管理でき、業務の効率化と情報の安全性を両立しています。

 住宅履歴の構築において現場の負担を大幅に軽減するのが、「現場瞬撮」機能です。これは、あらかじめシステム上で作成した二次元バーコードを工事現場に掲出することで、スマートフォンやタブレットを通じて現場にて撮影した写真を履歴として保存できる仕組みです。施工前後の写真を圧倒的な量で蓄積できるだけでなく、工程ごとに写真を一括登録することも容易です。例えば、着工時の挨拶と共に現場の状況をアップロードすれば、リアルタイムで施主に工事の進捗を報告することが可能になり、建築プロセスに対する透明性が高まります。登録された写真は初期設定で非公開となっているため、社内で内容を十分にチェックした後に必要なものだけを選択して施主に公開するといった実務的な運用が行えます。これにより、自社の施工品質を証明するツールとして、施主に大きな安心感を提供することにつながります。

顧客管理機能でOB施主との接点強化

 工務店経営の支援に向けてプロパティオン㈱が提供するサービスのうち、もう一つの柱が「顧客管理機能」です。

 OB施主との良好な関係を継続し、適切なタイミングでリフォームやメンテナンスの提案を行うことは、安定的な受注を確保する上で極めて重要です。プロパティオン㈱の顧客管理システムは、単なる住所録にとどまりません。登録された顧客情報を地図上に自動でプロットし、Googleマップ等との連携により商圏を視覚的に把握することができるほか、訪問時のメールの一斉送信や期日指定の予約送信、DMラベルのPDF出力といった事務効率を高める機能が実装されています。工事完了日や引渡日と連動した「点検リマインドメール」機能では、アフターフォローの漏れを防ぐとともに、給湯器等の設備機器の交換時期に合わせた最適な提案を自動化するなど、OB施主への継続的な接点づくりと新たな受注機会の創出に寄与します。プロパティオン㈱のサービスの詳細については、弊社担当営業までお問い合わせください。

>プロパティオン㈱