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(一社)日本木造住宅産業協会 国産材利用実態の深堀調査報告 国産材利用が拡大傾向も、求められる安定供給体制
(一社)日本木造住宅産業協会はこのたび、昨年2月に公表した「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査」について深堀調査を実施し、その結果を公表しました。今回は深堀りによって明らかになった分析結果についてご紹介します。
供給戸数別の分析やヒアリング調査で深堀り
(一社)日本木造住宅産業協会は昨年2月、2023年度の住宅供給実績に基づいて国産材利用状況について調査した「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査」の報告書を公表しました。住宅供給会社93社、プレカット会社84社の回答に基づいた本調査では、国産材利用が徐々に広がりつつあることが明らかになりました。
今回実施された深堀調査では、上記報告書の結果に対してテーマを定めて更に深堀りを行い、報告書では表現しきれなかった内容について分析されました。具体的には、住宅供給会社を供給戸数別に区分A(1~9戸/年)、区分B(10~499戸/年)、区分C(500~10,000戸/年)の3区分に分けて国産材使用比率の集計を行ったほか、木材の調達状況やウッドショックの影響に関して、実態の把握に向けたヒアリング調査等が行われました。
供給規模が大きいほど集成材採用率が増加
国産材使用比率の調査では、供給規模と材種選定の間には明確な相関関係があることが分かりました。調査結果によると、小規模な「区分A」では国産製材の使用比率が50.1%と半数程度を占めています。これに対して、「区分B」では25.3%、「区分C」では19.4%となっており、供給戸数規模が大きくなるほど国産製材の使用比率が下がっていることが明らかになりました(図1)。

一方で、国産集成材の使用比率は、区分Aで2.3%、区分Bで17.8%、区分Cでは28.2%となっており、供給規模の拡大に伴って上昇しています。この傾向は外国産材に限定しても同様に認められます。この理由として、供給戸数規模が大きくなるほど安定調達・安定品質を実現するために、集成材を採用する会社が増えることが考えられます。部位別で見ると、特に梁や桁などの横架材に関しては、全区分において外国産集成材が主流となっています(図2)。外国産材の採用が多い要因として、高いヤング係数や寸法安定性に加え、品質のばらつきや無垢材特有の反り・割れが少ないといった性能面、更には安定供給という実務的な要件を満たしていることが挙げられています。

合理性の観点でJAS材採用の声も
JAS材の採用状況についても調査が行われました。JAS製材は価格面や入手性の面から採用が進みにくいとされ、国内の流通全体に占める割合は1割程度と推測されています。しかし、本調査における住宅供給会社の回答では、製材におけるJAS比率が35.1%(国産・外国産合計)という高い割合を示しました。この要因についてヒアリング調査で深掘りしたところ、JAS材採用の背景には調達ルートの固定化と組織化があることが分かりました。自社やグループ内にプレカット工場を持つ企業ではJAS材調達が標準化されており、地場企業においても近接する森林組合等との長年の取引関係によって安定的に確保されています。また、性能規格が明確なJAS材は、構造検討時のエビデンスとして機能するほか、顧客説明における説得力が増し、理解を得やすいといったメリットがあります。特に規格化住宅を扱う企業にとっては、非JAS材を個別に評価・説明するよりも、JAS材に統一する方が合理的であるとの認識が広がっています。
大手の7割がウッドショック後に国産材割合増加
ウッドショックの影響についても分析が行われました。ウッドショック時と比べた2023年の国産材利用割合については、供給規模が大きい企業ほど「増えた」と回答する割合が高く、区分Cでは69.2%に達しました。一方、区分Aでは91.7%が「変わらない」と回答しています(図3)。これは小規模企業が従来の調達ルートの範囲内で対応可能であったのに対し、大量の木材を必要とする大手企業は、外国産材の供給停滞を受けて戦略的に国産材への代替を進めた結果と考えられます。ヒアリングに応じた各社は、価格上昇の影響はあったものの、事業停止に至るような状況には陥らなかったという認識を示しています。その要因として、特定の樹種に固執せず、同等の性能を持つ複数樹種を横断的に使用する設計方針や、自社プレカット工場をバッファとして市況に応じた樹種や断面の調整を迅速に行ったことが挙げられます。現在、国産材は為替リスクや国際情勢に左右されにくく、安定調達が可能な材料として、外国産材を補完する以上の位置づけを確立しつつあります。

国産集成材の供給制約が課題の一つ
今後の国産材利用拡大に向けた課題としては、横架材として使用できる国産集成材の供給制約が指摘されています。小梁など限定的な部位での採用については前向きに検討されているものの、梁せいの大きな横架材を安定的に供給する体制が十分に整っているとは言えないとしています。また、製材に関しては、無垢材に対する反り・割れといった品質面のばらつきへの懸念が依然として大きいほか、一時的な価格競争力ではなく、長期的に価格と供給量が見通せる仕組みが求められています。
更に、エンドユーザーの意識変化への対応も重要としています。国産材利用の意義は、快適さや自然素材の温かみといったイメージだけではなく、SDGs、トレーサビリティ、地域経済への貢献といった企業姿勢も大切であることが認識されており、こうした背景をどのように整理し、発信していくかが今後の重要な課題として挙げられています。国産材利用の拡大には、住宅会社単体の努力にとどまらず、山側からプレカット、設計を含むサプライチェーン全体を一体として再構築していく視点が不可欠となっています。

