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新春経済講演会 第二部特別講演 アントレプレナーこそが世の中を変える 楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史 氏
1月21日に開催された新春経済講演会において、「アントレプレナーこそが世の中を変える」と題し、楽天グループ㈱代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏にご講演いただきました。講演では、リスクを恐れずに新しいことに挑戦し、社会に変革をもたらす「アントレプレナーシップ」を持つことの重要性について、楽天グループのこれまでの挑戦の歩みとともに語られました。今回は、本講演の要旨をご紹介します。

不透明な時代を切り拓く「アジリティ(機敏さ)」
現在、世界中で政治的・経済的な不透明感が増しており、2026年は世界経済、そして日本経済にとっても激動の年になると考えています。近年急速に普及するAIがあらゆるビジネスに多大な影響を及ぼすことが予想されるほか、為替についても急速な円安が進むなど、大きな変動の中にあります。また、ここ15年間を振り返れば、私たちの暮らしを激変させる新たなテクノロジーが出現しました。スマートフォンや仮想通貨、生成AIなど、私が起業した30年前には想像すらできなかった革命が次々と起きています。
こうした時代において極めて重要となるのが、しっかりとしたビジネスをやっていくということに加え、リスクを恐れず、新たに挑戦する「アントレプレナーシップ(実業家精神)」です。私にとってアントレプレナーとは、単に「起業家」を指すのではなく、企業経営を通じて社会にインパクトを与える「実業家」を意味します。アントレプレナーシップには、予測不能な事態を切り拓く力に加え、「ベロシティ(速度)」「アクセレレーション(加速)」、そして、方向転換の速さを意味する「アジリティ(機敏さ)」を含めた三つのスピードの要素が不可欠です。
この中でもアジリティは極めて重要な要素です。インターネット・ショッピングモールである「楽天市場」から始まり、現在は携帯キャリア事業を含む多様な事業体となった楽天グループも、このアジリティを有する企業であると言えます。しかし、昨今の日本経済を俯瞰すると、企業のアジリティは全体的に低下していると言わざるを得ません。新たな挑戦が生まれず、あるいはそうした挑戦に資金が十分に回っていません。その結果、日本経済は停滞し、過去30年間の成長率はドルベースで見ると大きくマイナスを記録しているのが現状です。
「人生は有限だ」-震災から始まった楽天の挑戦
こうした時代だからこそ、実業家や経営者が世の中を動かしていくべきだと考えています。私は、1988年に㈱日本興業銀行(現 ㈱みずほ銀行)へ入行し、その後ハーバード大学へ留学しました。そこで感じたのが、アメリカでは「アントレプレナーシップこそが経済のドライバーである」ということで、日本の成長にもこうした新しい力が必要だと感じていました。
帰国後、しばらくして起きた出来事が、私の故郷である兵庫県神戸市に甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災です。この震災で多くの方が犠牲となり「人生は有限だ」ということを改めて思い知りました。この原体験が、当時、時価総額で世界トップレベルだった㈱日本興業銀行を飛び出し、楽天グループを創業する原動力となりました。
創業に当たり、企業文化を自分たちで醸成していきたいという想いから、私はあえてベテラン経営者ではなく、当時の自分と年齢の近い若者と歩む道を選びました。アメリカの名だたる企業も、元々ガレージから始まったベンチャーであり、それぞれ強烈なミッションやバリューがその成長を支えていました。私たちも、「コンピューターに強くなくても、シャッター通りになっている地方の商店でも、誰もが世界中にモノを売ることができるようにしたい」という強い想いを持っていたからこそ、世界に先駆け、誰でも簡単にホームページ上にお店を開ける「楽天市場」が誕生するに至ったのだと思います。
当時は実現不可能と言われたサービスでしたが、その革新性から、いざ開始すれば注文が殺到すると自負していました。しかし、現実には全くモノが売れませんでした。そもそもインターネットで店を開こうとする人もほとんどおらず、「楽天市場」の最初の出店数は13店舗、初月の取扱高は32万円でした。それでもあきらめずに取り組んだことで事業は成長を続け、様々な事業展開へとつながっていきました。オンライントラベルサイト「楽天トラベル」、共通ポイントプログラム「楽天ポイント」、オンライン証券「楽天証券」を立ち上げてきたほか、プロ野球や生命保険への参入も果たしています。
楽天グループは、少子化による日本マーケットの縮小に加え、競合の多くが海外企業であることから、会員制オンラインリワードサイト「Rakuten Rewards」、コミュニケーションアプリ「Rakuten Viber」、電子書籍サービス「Rakuten Kobo」など、グローバルにビジネスを展開しています。グローバル取扱高は2024年度で44.8兆円規模まで成長しましたが、ここまでの道のりはまさしく挑戦に次ぐ挑戦の連続でした。
「携帯市場の民主化」と「楽天エコシステム」の進化
携帯キャリア事業への参入は、まさに大きな挑戦の一つです。参入の理由は、「低価格」「高品質」「無制限」なサービスを提供することで、誰もが基本的人権として手軽かつ自由にスマートフォンを楽しめる社会-すなわち「携帯市場の民主化」を実現することにありました。
特に、日本の携帯料金は、世界的に見ても高過ぎると感じていました。実際、楽天グループ参入前の2018年時点での東京におけるスマートフォン利用料金は、一人当たり7,022円と主要都市の中でも高い水準でした。こうした状況を受け、料金水準を下げるために挑戦し続けた結果、2024年には一人当たり2,972円まで低下しました(図1)。当社の試算によると、「楽天モバイル」の参入が日本の消費者物価指数の抑制に働き、約4兆円が家計に還元されたことになります。物価の低下が必ずしも経済にとってプラスになるとは限らないものの、インフラは経済活動の基盤であり、「安くて、早くて、便利なもの」を届ける責任があると考えています。

また、「楽天モバイル」は、メンバーシップを軸に多様なサービスを結びつける「楽天エコシステム(経済圏)」を、更に進化させる鍵となるものです。スマートフォンは、単なる通信機器ではありません。銀行や学校、病院の代わりにもなる、あらゆる機能が集約されたデバイスです。私たちが通信インフラを提供することによって、ユーザーが楽天グループのサービスをより日常的に、深く利用する流れが強化されました。具体的には、「楽天モバイル」の契約を軸としたポイント還元率の引き上げにより、「楽天市場」や「楽天カード」等の利用を促し、貯まったポイントで通信費を支払うという強固な循環が生まれています。携帯キャリア事業への参入により、あらゆる消費行動を「楽天エコシステム」に集約させ、シナジーを最大化させることができたと考えています。
世界初※となる「完全仮想化」への挑戦
携帯キャリア事業には、他のインターネットビジネスと大きく異なり、周波数という有限な資源の割り当てに加え、莫大な投資を要する基地局インフラの整備が必要となります。周波数の割り当てについては、市場競争を促す観点から、総務省より認可をいただくことができました。課題は、基地局の構築でした。大容量かつ低価格による「携帯事業の民主化」を実現するために、従来の複雑な運用手法を根底から変える必要があると考えました。そこで私たちが挑んだのが、基地局ごとに設置された特定メーカーの専用ハードウェアに依存した従来の仕組みでなく、すべての機能をソフトウェアに置き換える「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」の導入です。これにより、汎用ハードウェアが利用可能となり、設備投資や運用コストの大幅な削減につながりました(図2)。一見簡単に聞こえるかもしれませんが、ガソリン車から電気自動車への革命を超えるチャレンジだったと思っています。携帯電話の通信を支える信号処理には、凄まじい計算量が求められます。音声通話や高画質動画の視聴、決済インフラとしての即時性など、何千万ものユーザーによる通信データをリアルタイムで制御し、かつ強固なセキュリティを維持しなければならないからです。

楽天グループはこれまでの業界の常識を根底から覆し、世界で初めて全機能をソフトウェアとして実装するモバイルネットワークの構築に成功したのです。
私たちがこの挑戦を宣言した際、世界のトップ企業は「成功するはずがない」「前例がない」と冷ややかな反応を示しました。しかし、アントレプレナーシップを持ち続けて不可能と言われた領域に挑戦し続けたことで、成功させることができました。
私の夢は、「楽天モバイル」を日本一の携帯会社にすることだけではありません。この革新的な技術を世界中に普及させることです。世界ではまだ、古い通信規格が主流の地域も少なくありません。誰もが安価に携帯電話を利用でき、AIの活用や遠隔学習など、あらゆるコンテンツを平等に享受できる世界の実現を目指しています。
※ 大規模商用ネットワークとして(2019年10月1日時点)/ ステラアソシエ調べ。
衛星とスマホの直接通信の試み「第二のアポロ計画」
日本は世界と比べて、地震や津波、台風といった自然災害のリスクが極めて高い国です。2024年1月に発生した能登半島地震の際には、停電による基地局の機能不全が相次ぎ、被災地で携帯電話が繋がらないという深刻な事態に陥りました。加えて、全キャリアを含め、日本におけるネットワークの面積カバー率は国土の約60%に留まり、残りの約40%は依然として電波の届かないエリアとなっています。
こうした現状を打破すべく、私たちが取り組んでいるのが「Rakuten最強衛星サービス」です(図3)。宇宙に打ち上げた低軌道衛星と市販のスマートフォンを直接つなぎ、高速インターネット通信を実現するプロジェクトです。この「第二のアポロ計画」とも呼ぶべき挑戦が結実すれば、山間部や離島、海上など、従来は圏外だったエリアでも、専用端末なしでスマートフォンが利用可能になります。これは、災害時の安否確認を容易にし、多くの命を救うことにもつながります。2026年第4四半期の国内サービス開始に向け、現在準備を進めています。

社会構造を根底から変える
次に、AIについてです。人間の脳内では、神経細胞の間で情報が伝わる際、微弱な電気が流れています。コンピューターの半導体も、電気信号によって情報を処理します。その意味で、人間の脳はデジタルな仕組みで動いているとも言えます。AIとは、この脳の神経ネットワークをコンピューター上のプログラムで再現したものです。
生成AIのモデル自体は以前から存在していましたが、大量のデータを同時並行で処理できるGPUの登場によりスピードが加速し、飛躍的に進化しました。楽天グループでも、独自の大規模言語モデル「Rakuten AI」を展開しています。私たちの強みは、世界に類を見ないほど、密度が濃く情報量の多いデータを有している点です。毎月5,000万人に近いユーザーが楽天グループのサービスを利用し、「楽天モバイル」の全契約数は1,000万回線を超えています。これらの蓄積された膨大な購買・行動ログデータがAIの精度を高めています。他社のAIとも連携しながら、あらゆるサービスにAIを組み込み、世界中へと展開していきます。
AIがもたらすインパクトは過去の技術革新と比べて性質が異なるということです。これまでは、スマートフォンでテレビのコンテンツを視聴できる、クレジットカードや現金ではなく決済ができるなど、代替手段としての側面が強いものでした。しかし、AIは私たちの根本的な行動パターンや、社会構造そのものを根底から変えてしまう可能性を秘めています。
日本の未来を動かす「オフェンス」の精神
こうした変革の時代において、我々に求められていることは二つあると考えています。一つは、世界がどのように変容していくのか、「未来を予測する力」です。人間には現状を維持しようとする防衛本能が備わっており、今の延長線上に未来があると思いがちです。しかし、実際は異なります。特にAIの進化がもたらす変革は、私たちの想像を遥かに超えていくでしょう。
もう一つ不可欠なのは、やはり「アントレプレナーシップ」です。たとえ組織の規模が大きくなろうとも、自らがオーナーであるかのような当事者意識と、現状を打破する突破力を持ち続けるべきです。これからの時代、受け身の姿勢は最大のリスクとなります。守りを固める「ディフェンス」だけでなく、攻める「オフェンス」の姿勢が重要となります。
一定のリスクを背負い、新たな領域へ挑戦するマインドを、私たちも皆様とともに持ち続けていきたいと考えています。日本経済をより力強く、より良い方向へと動かしていけるよう、ともに歩んでいきましょう。
質疑応答セッション
講演の後、ライブでの質疑応答セッションが行われました。会場内では多くの手が挙がり、寄せられた問いに対し、三木谷氏より回答がなされました。会場が熱気に包まれた、対話の一部をご紹介します。
―著書『成功の法則100ケ条』の中で、「毎日0.1%の努力を積み重ねることで、365日後には1.44倍も成長することができる」というお話があります。アントレプレナーシップの醸成も含めて、こうした成長への哲学を社員に浸透させるために、リーダーとしてどのような行動が必要だとお考えでしょうか。
三木谷 かつて、安倍晋三元首相とリーダーシップ論について語り合う機会がありました。その際、安倍元首相は中国の古典にある「三鏡の教え」を引用され、リーダーは三つの鏡が必要であると仰っていました。一つ目は「人の鏡」。周囲の意見に真摯に耳を傾け、時には厳しい忠告も受け入れることで、自己の言動を客観的に修正し続けることです。二つ目は「歴史の鏡」。将来を予測し危機に対応するためには、過去の興亡の歴史から学ぶ姿勢が欠かせません。そして三つ目が「銅の鏡」。リーダーの表情や態度が組織全体に伝染します。だからこそ、常に明るい表情を絶やさず、組織の活力を引き出すことが重要だというお話でした。
私はこの「三つの鏡」に、もう一つ付け加えたいと考えています。それが「世界の鏡」です。世界に目を向ければ、今この瞬間も多様なイノベーションが次々と生まれています。こうした世界の最前線で起きている事象をどん欲に学び、吸収していくことが大切です。楽天グループにおいても、独創的な価値を生み出すと同時に、世界の成功事例を自社に置き換えたらどうなるかという視点を常に持つようにしています。
こうした哲学やストーリーを社員に対していかに高い頻度で、かつ濃密に伝え続けることができるか。その継続的な対話が重要ではないでしょうか。
―AIが自ら改良を重ね、人類の知能を包括的に上回る「シンギュラリティ」は起こるとお考えでしょうか。もし起こるのであれば、それはいつ頃になると予測されますか。また、その後の人々の暮らしはどのように変化するでしょうか。
三木谷 シンギュラリティには、二つの定義があると考えています。一つは、これまで人間にしかできなかった知的な作業をコンピューターが代替すること。もう一つは、AIが自ら創造性や判断力を持ち、自律的にアウトプットを生み出し始めることです。この変化は、既に現実のものとなりつつあります。
例えば、ロシア・ウクライナ戦争の最前線では、兵器が自ら標的を識別して攻撃するという、映画のような事態が実際に起きています。現在はまだ人間が設定したアルゴリズムに従っていますが、今後はAIが主観のようなものを持ち、自律的に意思決定を行う可能性も否定できません。その先にある世界がどのような姿になるのかは、正直なところ私にも未知数です。
しかし、その過程で確実に言えるのは、ビジネスにおける生産性は劇的に向上するということです。これまで100人を要していた業務が50人で完結し、あるいは同じ人員であれば売上を数倍にまで引き上げられる。そのような時代が今後5年以内には到来すると確信しています。
―もしも、現在の経験や知識をすべて持ったまま、楽天グループを創業当時に戻って新たに起業するとしたら、どのようなテーマを選ばれるでしょうか。理由も併せてお聞かせください。
三木谷 起業において最も重要なのは、「パッション」を持てるかどうかです。私はビジネスという営みそのものが好きだからこそ、今日まで打ち込んでこられており、パッションを持ち続けたからこそ、今の楽天グループの成長があると確信しています。
これからのAIの時代において、先行きは不透明ですが、確実に見えていることもあります。それは、社会全体で「カネ」「ヒト」「時間」の三つが余っていくということです。これらが過剰になる世界で、いかに新たな価値を提供できるか。そこをテーマに据えるでしょう。
先日、ロサンゼルス・ドジャースのオーナーらが、プロバスケットボールチームのレイカーズを約1兆5,000億円で買収しました。この破格の金額は、単なるブランド価値だけでなく、ライブスポーツという代替不可能な体験が、今後いかに巨大な価値を持つかを見越した結果でしょう。また、別の切り口では、AI技術そのもので競うのではなく、AIを徹底的に活用し、既存の非効率なプロセスを効率化するビジネスも、有力な選択肢になると考えます。
―現在、特に注力されている「楽天モバイル」の利用者数や、楽天グループ全体の流通総額について、今後掲げている具体的な数値目標やビジョンをお聞かせいただけますか。
三木谷 楽天モバイルの長期的な展望として掲げているのは、現在の「3大キャリア+1」という業界構造そのものを変革し、既存3社と肩を並べる存在へと成長させることです。また、楽天グループ全体の流通総額についても、時代の潮流を的確にとらえ、安定的かつ持続的な成長を実現するモデルを追求しています。その過程において不可欠なのが「AI化の推進」です。AIをビジネスの根幹として積極的に取り入れていかなければ、今後の激しい競争環境の中で持続的な成長を遂げることは困難であると強く感じています。
―創業90年を迎える材木店の後継者として日々励んでおりますが、地方の老舗企業ゆえの保守的な風土があり、変化を阻む現状に直面しています。今後はアントレプレナーシップを持って変革に挑みたいと考えています。企業文化のベースとなる「ミッション」をどのように見つけていくべきか、アドバイスをお願いします。
三木谷 木造建築や森林事業は、これからのAI時代においても非常に有望な分野の一つです。木材が持つ普遍的な価値は決して失われることなく、むしろ新たな形で創造され続けていくでしょう。
組織においてミッションが確立されると、働く理由が明確になり、全体に活気が生まれます。ビジネスである以上、利益を追求するのは当然ですが、それ以上にそこに大義があるかが極めて重要です。大義を掲げるなら、「木材を通じて日本を元気にする」といった、スケールの大きなものを打ち出すべきです。大切なのは、その壮大なミッションを具体的な小さな目標に落とし込んで戦略を立てることです。山登りと同じで、最初の一歩を踏み出すルートが、目指すべき頂上の方向を正しく向いていなければなりません。
更に、企業の一体感を生み出すためには、経営者は「しつこい」くらいでなければいけません。とにかく理想を語り続けることで、賛同者が一人、また一人と増え、次第に組織のコンセンサスが形成されていきます。また、組織で統一された「行動・習慣」を持つことも有効です。楽天グループでは、毎週月曜の朝に全社員で「朝会」を行い、各事業の進捗や成功事例の共有、テクノロジートレンドのレポートなど、情報の同期を図っています。そして朝会の後には、全員で掃除を行います。これにより当事者意識を醸成し、初心を忘れないようにしています。このように、共通の行動を継続することが、強い一体感を生みます。ぜひ、取り入れてみてください。
―エージェントが普及する中で、営業担当の介在価値や人間との住み分けをどう考えるべきでしょうか。
三木谷 AIに任せるべき領域はAIが担い、人間は人間にしかできないことに注力する。そしてAIの活用によって人間の能力を拡張させる。この視点が重要です。AIがこれほどまでに普及した理由の一つは、その挙動が「人間らしく」なった点にあります。これは、裏を返せば、「人間は結局、人間が好きである」という本質を物語っているのではないでしょうか。
だからこそ、顧客対応においては「人間らしさ」を残すことが不可欠であり、対面営業の価値は今後も失われるものではないと考えています。対人コミュニケーションという表舞台は人間が担い、その裏側でAIが顧客分析や最適な提案資料の作成をサポートする。こうした役割の補完関係を築くことこそが、これからの営業の理想形であると考えています。


