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ニュース&レポート

政府 2025年度補正予算案18.3兆円を閣議決定 住宅・建築物の省エネ化で物価高への対応目指す

 政府は、物価高対応や成長投資を柱とする2025年度補正予算案を閣議決定し、一般会計総額18.3兆円を計上しました。今回はこのうち、住宅・建築物分野の省エネ化の推進や住宅価格高騰への対応などに関連する各省庁の予算の内容を中心にご紹介します。 

経済対策に17.7兆円を計上

 1128日に閣議決定された2025年度の補正予算案は、一般会計の総額で183,034億円(前年度比131.3%)に上りました。歳出については、同月21日に公表された経済対策の関係経費として177,028億円を計上し、分野別に見ると、「生活の安全保障・物価高への対応」に8兆9,041億円、「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」に6兆4,330億円、「防衛力と外交力の強化」に1兆6,560億円、「今後の備え(予備費の確保)」に7,098億円が充てられました。これらの予算に基づき、各省庁は具体的な補助事業や施策の展開を進めていきます。

財務省
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2025/20251128.html

国土交通省 住宅価格の高騰対策に17.5億円

 国土交通省の補正予算の総額は3兆557億円(同135.9%)となり、公共事業関係費として2兆873億円(同109.1%)、非公共事業費として9,684億円(同288.9%)が計上されました。

 このうち住宅分野については、足元の物価高への対応として、住宅価格の高騰対策に175,200万円が充てられます。住宅取得負担の軽減のため、都市圏の既成住宅地における空き家等の流通促進によるアフォーダブルな住宅供給の加速化や、固定金利型住宅ローンの利用の円滑化等が実施される方針です。また、省エネ性能の高い住宅に対する支援に2,050億円が充てられ、GX志向型住宅等の新築や省エネ改修等への支援が実施されます(詳細は1面に掲載)。そのほか、能登半島の復旧・復興に向けた住まいの確保等として2102,400万円を計上し、恒久的な住まいの確保に向け、自力再建困難な被災者向けに自治体が整備する災害公営住宅への支援等が実施されます。

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo05_hh_000297.html

環境省 住宅の断熱改修のほか、建築物のZEB化支援も

 環境省の補正予算の総額は4,875億円(同105.1%)となりました。住宅・建築物の脱炭素化、資源循環事業の促進等を通じて物価高への対応を図るほか、地域脱炭素の推進、民間企業等への再エネ導入、工場・事業場の省CO2化等による地域・くらしの脱炭素化等を進めるとしています。

 住宅・建築物分野では、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」に1,125億円を計上し、くらし関連分野のGXを加速させるため、経済産業省・国土交通省と連携しながら、断熱窓への改修による即効性の高いリフォームが推進されます(図1)。加えて、GX志向型住宅の導入支援に750億円が充てられるほか、既存住宅の断熱リフォーム(トータル断熱、居間だけ断熱)の支援事業にも10億円が計上されました。そのほか、「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」に48億円が充てられ、高効率な設備導入や省CO2改修の可能性調査、建築物のライフサイクルカーボン削減を目指す取り組み等が支援される方針です。

環境省
https://www.env.go.jp/guide/budget/r06/r06-hos-gaiyo_00004.html

経済産業省 省エネ型給湯器の補助を引き続き実施

 経済産業省の補正予算の総額は2.7兆円(同61.4%)となりました。住宅分野では、「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」に570億円が計上され、ヒートポンプ給湯器等の高効率給湯器の導入や、寒冷地の高額な電気代の要因となっている蓄熱暖房機等の設備の一新等が支援されます。加えて、「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」に35億円が充てられ、既存賃貸集合住宅における小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ等)の導入に係る費用が補助されます。

 そのほか、中小企業・小規模事業者をはじめとする賃上げ環境の整備に向けて、「中堅等大規模成長投資補助金」に4,121億円、「中小企業生産性革命推進事業」に3,400億円が充てられ、人手不足に対応する生産性向上に向けた大規模な設備投資等に支援がなされます。

経済産業省
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2025/hosei/index.html

林野庁 予算額は前年と同水準、国産材の競争力強化等を支援

 林野庁の補正予算の総額は1,419億円(同100.2%)となりました。このうち、国産材の国際競争力及び国産材供給力の強化や国産材への転換に向けて、「林業・木材産業国際競争力強化総合対策」に450億円を充て、原木・木材製品等の生産体制の強化や非住宅分野等における木材製品の消費拡大、林業の担い手の育成・確保等の支援が図られます。

 また、「花粉症解決に向けた緊急総合対策<一部公共>」に56億円が計上され、スギ人工林の伐採・植替え等の加速化やスギ材の需要拡大、花粉の少ない苗木の生産拡大が促進されます。

 そのほか、防災、減災、国土強靱化の推進として、森林整備による対策に201億円が充てられ、道路等のインフラ施設周辺の干ばつや再造林、林道の開設・改良等の対策が推進されます。

林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/R7hosei.html