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国土交通省 建築確認のオンライン化やAI活用、BIM推進まで 建築確認申請の効率化に向けた施策を順次展開

 2025年の改正建築基準法等の影響から、建築確認手続における申請側・審査側の両方で業務負担が増加し、審査期間が長期化するケースも増えています。今回はこうした状況の中で国土交通省が展開する、建築確認申請業務の効率化に向けた施策等について整理しました。 

確認申請のオンライン化率は50%超

 建築確認申請の効率化に向けて実施された法令整備の一つに、202412月の建築基準法施行規則等の改正が挙げられます。確認済証等を含む官から民への処分通知手続で求めていた押印が廃止されたことで、同改正の施行日である今年の4月から、署名や押印をすることなく建築確認手続を電子で行うことが可能となりました。

 こうした背景もあり、建築確認申請の電子化率はこれまで継続して上昇しており、国土交通省が当初掲げた2025年度末までのオンライン利用率50%という目標を2023年時点で達成、2024年度第1四半期時点で約56%となっています。

国土交通省 建築確認等手続きの電子化について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000133.html

クラウドシステムやAIによる効率化ツールを展開

 国土交通省は4月から、「建築確認電子申請受付システム(クラウド版)」の提供を開始しました。本システムに対応する全国の特定行政庁や指定確認検査機関で共通のクラウドシステムを使うことができるようになったことで、物理的な距離やシステムが異なることによる操作性の違いを気にすることなく、審査期間や費用等に応じて審査機関を選ぶことも可能です。アカウントの発行や操作説明については、(一財)建築行政情報センターのホームページにて公開されています。

(一財)建築行政情報センター 電子申請受付窓口
https://www.icba.or.jp/denshishinsei/reception-list.html#system

 加えて、国土交通省は1110日、AIを活用した建築確認申請図書の事前チェックサービスの提供を開始しました。本サービスは、4月の改正建築基準法の施行によって建築確認手続き等が見直されたことに伴い、設計者等による建築確認申請図書の作成実務が大きく変わったことを受けて開発されたものです。建築確認申請図書において記載が必要な事項のうち、主要な事項について記載の有無をAIが評価するもので、申請予定図書が適切に作成されているかの自己チェックを可能とします。利用料は無料で、提供期間は2026年3月9日(予定)までとなっています。

国土交通省 報道発表資料
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001096.html

2026年4月からはBIM図面審査が開始

 BIMBuilding Information Modelling)とは、コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、部屋の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げなど、建築物の属性情報を併せ持つ建築物情報モデルを構築するものです。3Dモデルの形状と属性情報により空間を確認できることで建築のプロでない人でもイメージを共有できるほか、図面間の整合性の確保が容易になることなどから、国土交通省は建築物の生産プロセス及び維持管理における生産性向上を目的に、建築業界におけるBIM活用に向けた様々な取り組みを進めています。

 2026年4月からは、2D図面審査と同等あるいはそれ以上に手間がかからない申請・審査の実現を目指して、建築確認におけるBIM図面審査が開始されます(図)。申請者はBIMデータの作成等に関する「入出力基準」に基づきBIMソフトウェアで作成したPDFの申請図書を、「設計者チェックリスト」およびIFCデータとともに申請時に提出します。審査対象は従来と同様PDF形式の図書ですが、図面間の整合チェックが不要となり、審査期間の短縮が見込まれます。なお、2029年には、IFCデータを審査対象とする運用も検討されています。

国土交通省 建築BIM推進会議
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/kenchikuBIMsuishinkaigi.html