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ニュース&レポート

ナイスビジネスレポート編集部 国土交通省告示・大臣認定の耐火構造で広がる木造の可能性

 一定の性能を満たせば建築が可能となる性能規定化が進んだ2000年の建築基準法改正を皮切りに、耐火建築物においても木造化が可能となり、木造建築の可能性が大きく広がっています。今回は、耐火建築物を木造で実現する手法を、国土交通省の告示内容を例にご紹介します。 

耐火建築物も木造で建築が可能

 近年、住宅市場の減少見込みや木材への注目の高まりなどを背景に、建設・設計事業者や建築物の施主となる企業が非住宅・中高層建築物の木造化・木質化に取り組む事例が出てきています。非住宅は一般的な木造住宅と比べて、規模や建設地域によっては耐火建築物であることが求められるケースも少なくありません。

 耐火建築物とは、主要構造部を耐火構造としたもの又は耐火性能の技術的基準に適合したもので、外壁開口部で延焼の恐れのある部分に防火設備を有する建築物を指します。耐火構造は「一定時間の火熱が加えられた場合であっても、損傷などが生じない構造」として定められている一方、準耐火構造は「一定時間の火熱が加えられている間、損傷などが生じない構造(火熱が加えられなくなった後は、損傷などが生じることを許容)」とされています。つまり、耐火建築物は、火災終了後も建物が崩壊せず、自立し続ける建築物を指します。

木造軸組工法で耐火構造を実現する「メンブレン型」

 耐火建築物を実現する方法には、国土交通省の告示に基づく仕様や、建築基準法令で要求する性能に適合する構造として指定性能評価機関による性能評価及び大臣認定を受けた仕様を採用する方法があります。構造としては、木材をせっこうボードなどで耐火被覆する「メンブレン型」、木材を難燃処理剤やモルタルなどで燃え止まり層を形成する「燃え止まり型」、構造体力上主要な部分に使用した鋼材を木材で防火被覆する「鋼材内蔵型」の三つが主となります(図1)。特に「メンブレン型」では、木造軸組工法や枠組壁工法、CLTパネル工法における主要構造部を耐火構造にすることができ、国土交通省の告示もこの仕様となっています(下図)。

          

林野庁 建築物における木材の利用の促進に関する基本方針等
https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/kidukai/kihonhousin.html

国土交通省 「ここまでできる木造建築のすすめ」紹介
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mokuzo_susume.html

建設省告示第1399号
https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/pdf/201706/00006704.pdf

国土交通省告示第472号
https://www.mlit.go.jp/common/001227023.pdf