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ナイスビジネスレポート編集部 建築確認・省エネ適判の審査体制の負担増 着工遅れのリスクを視野に入れた対応を

 国土交通省は5月27日、「改正建築物省エネ法・建築基準法の円滑施行に関する連絡会議」を開催し、改正法施行前後の建築確認・省エネ適判に関する審査状況を公表しました。今回は、そこから読み取れる審査体制の負担増加による着工遅れのリスクと、影響が懸念される「住宅省エネ2025キャンペーン」の交付申請状況を整理し、こうした状況下で活用いただけるナイスサポートセンターの支援内容をご紹介します。

申請件数が交付件数を上回る状況続く

 国土交通省は5月27日、改正建築物省エネ法・建築基準法の施行前後における建築確認・省エネ適判の申請・審査状況について公表しました。同省は、確認申請等窓口における混雑・混乱の早期把握のため、特定行政庁・指定確認検査機関及び所管行政庁・登録省エネ適判機関に対し、3月1日から6月30日を調査期間として申請・交付件数等の情報提供を要請しており、5月前半までの推移が明らかにされました。

 建築確認については、特定行政庁・指定確認検査機関の合計の申請件数が3月前半は25,219件であったものの、施行後の4月前半には16,073件と約4割減となり、それ以降横ばいで推移しました(図1)。交付件数は3月後半に24,313件と集中した後、4月前半で7,858件と急減し、4月後半からは同様に横ばいとなりました。4月に入ってからは申請件数に対して交付件数が少なく、要処理件数も右肩上がりに上昇していることから、検査機関に負担がかかっていることが予想されます。

全国計(特定行政庁・指定確認検査機関計)

 省エネ適判については、所管行政庁・省エネ適判機関の合計の受付件数が3月前半は626件、3月後半は874件となったのに対し、4月前半は2,295件、4月後半は4,075件、5月前半は3,762件と施行後に急増、4月後半をピークに減少傾向となっています(図2)。交付件数も4月後半まで増加した後、5月前半は横ばいとなっていますが、本受付前件数はこれまで継続して増加している状況です。なお、このうち所管行政庁のみに限った場合は、交付件数が4月前半まで12~18件で推移していたのに対し、4月後半は36件、5月後半は49件となっており、受付件数に対する処理率が上昇傾向にあります。ただ、受付・交付件数ともに、全体に占める割合は1~2%に留まっています。

全国計(所轄行政庁・省エネ適判機関計)

実際に交付が遅れるケースも

 加えて、設計者団体、住宅生産団体、建設業団体、不動産関係団体等の各団体に所属する事業者等からの、確認手続きの進捗や着工等の状況に関する情報共有がなされました。このうち、あるハウスメーカーでは、新2号建築物について、同一期間に構造審査(許容応力度計算)と省エネ適判(長期優良住宅認定を活用)を申請しており、申請書提出から確認済証交付まで概ね30~35日程となっており、改正法施行前に比べ、一週間程度伸びている状況が報告されました。その他、「法改正前の駆け込みで性能評価機関(長期優良住宅)が混み合っており、評価書の交付が大幅に遅れている」「審査機関ごと、あるいは同じ審査機関でも担当者ごとに判断が異なる場合があり、修正作業が膨大になっている」といった指摘が挙げられました。

改正建築物省エネ法・建築基準法の円滑施行に関する連絡会議

GX志向型住宅、予算額の31%を消化

 こうした状況の中、四つの補助事業からなる「住宅省エネ2025キャンペーン」が3月31日より交付申請を受け付けており、このうちの子育てグリーン住宅支援事業におけるGX志向型住宅では、比較的早い予算消化率が見られています(図3)。

各事業の交付申請状況(6月24日時点)

 GX志向型住宅の申請受付期間は第一期・第二期・第三期に分かれており、5月14日~31日の第一期では、交付申請戸数が5,130戸、交付申請金額が82億800万円となりました。申請を開始して約2週間で、予算額500億円の約16%が消化されたことになります。また、6月1日~30日の第二期では、24日時点で31%の消化率にまで達しています。第一期・第二期では、それぞれ交付申請の上限額が150億円と定められ、上限に達しなかった場合、残予算は翌期に持ち越されていました。ですが、7月1日~12月31日の第三期では、予算上限の500億円に達した時点で申請が打ち切られるため、申請が遅れた場合、補助金が受けられなくなる可能性があります。

 本キャンペーンでは、各事業において交付が見込まれるものに対し、交付申請を予約して予算を一定期間確保することが可能ですが、GX志向型住宅を含む子育てグリーン住宅支援事業の新築住宅における交付申請は、建築着工前の予約が可能となっています。工事請負契約書や確認済証等、必要書類をポータル経由で提出することで予約ができ、提出から3カ月間または12月31日のいずれか早い日まで予算が確保されます。先述した検査機関の負担増加による着工遅れの発生リスクも考慮すると、より早めの対応が推奨されます。

「住宅省エネ2025キャンペーン」