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ナイスグループ 平屋木造倉庫の建設プロジェクトに参画 平行弦トラスで間口16mの無柱空間を実現
木材・建材・住宅設備機器の販売やプレカット事業などを手掛ける秋山木材産業㈱の敷地内では、木造倉庫の建築が新たに進められており、ナイスグループは構造設計、木材調達・加工、建て方施工を担当しています。今回は、本物件の概要や特長についてご紹介します。
構造設計、木材調達・加工、建て方施工を担当
ナイスグループは、秋山木材産業㈱が新たに取り組むパネル事業において、ストックヤードとして使用される予定の平屋木造倉庫の建設に携わっています。敷地面積は約990㎡、延床面積は約500㎡で、木材使用量は羽柄材、合板を含めて97.59㎥です。倉庫に加えて2階建ての木造事務所の建設も進められており、どちらも昨年11月に着工、今年4月に上棟し、8月に竣工予定となります。
本物件は、ファーストコール(簡易構造検討・超概算見積)機能を有する、ナイスグループの「木造テクニカルセンター」にご相談いただいたことから実現しました。設計は広設計、施工は山匠建設㈲が担当し、ナイスグループは初期段階での構造提案と、下請けとして構造設計、木材調達・加工、建て方施工を行いました。
一般流通材と在来プレカット加工で実現する平行弦トラス
本物件では、一般流通材と在来プレカット加工で構成が可能な平行弦トラス架構によって、間口スパン約16m、高さ約5mの無柱空間を実現しています(図1)。(一社)中大規模木造プレカット技術協会が技術開発を行っている「PWA平行弦トラス」を採用し、上・下弦材には120㎜×240㎜、束材には120㎜×120㎜のサイズの木材を使用しているほか、束材はほぞ差しとビス止めで接合しています。また、倉庫として十分な高さを保ちつつ柱を住宅用の規格材に適合させるため、基礎の高さを約1m確保しています。特注材や製作金物等をほぼ使用しないため、材料や加工にかかるコストを低減した、経済合理性の高い構造となっています。
トラスは自重で中央部がたわむことが想定されるため、斜材には16㎜径の丸鋼ブレースを採用してトラスを軽量化した上で、ブレースの締め具合によりトラス中央部の垂れ下がりやむくりの調整をしています。加えて、上弦材には厚さ24㎜の構造用合板を貼り、水平剛性を高める工夫を施しています。
トラスの高さは1,730㎜で、地上で組んだ後、1,820㎜の間隔で16本設置しています(図2)。なお、完成時にも木造であることが一目でわかるように、トラス部分をあらわしとする仕上がりが予定されており、木造倉庫の事例としてショールームのような活用も検討されています。
4月11日には、秋山木材産業㈱とちば木造建築ネットワークの共催による建設現場見学会が行われ、設計関係者を中心に50名以上の方が参加しました。参加者からは、トラスの構造や平行弦トラスを採用することのメリット、大空間を実現するための設計上の工夫などについて質問が寄せられました。