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国土交通省 改正貨物自動車運送事業法・改正物流効率化法が4月より施行 「2024年問題」の解決に向けて求められる荷主側の対応
昨年閣議決定された「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(現:物流効率化法)」及び「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」が4月1日より施行され、物流の持続的成長に向けた取り組みが求められています。今回は、これらの改正内容のうち、荷主に課せられた義務内容等について焦点を当て、ご紹介します。
義務化 運送契約締結時の書面交付
運送サービスの内容や対価等を明記
改正貨物自動車運送事業法により、運送契約の範囲や運賃・料金の明確化を図るため、運送契約締結時に附帯業務等も含む運送サービスの内容やその対価等について記載した書面の交付が義務付けられます。「自らの事業に関してトラック事業者との間で運送契約を締結して貨物の運送を委託する者であって、トラック事業者以外のもの」を真荷主とし、真荷主とトラック事業者が運送契約を締結するときは相互の書面交付が必要となります(図1)。書面の交付はメール等の電磁的方法も可能とされており、荷主はその写しを1年間保存しなければなりません。
交付書面に記載する法定事項は、①運送役務の内容・対価、②運送契約に荷役作業・附帯業務等が含まれる場合には、その内容・対価、③その他特別に生ずる費用に係る料金、④契約の当事者の氏名・名称及び住所、⑤運賃・料金の支払方法、⑥書面を交付した年月日となります(図2)。なお、基本契約書が交わされている場合、①~⑥の法定事項のうち基本契約書に記載されている内容については省略可能となっています。附帯業務の有無が運送ごとに異なり、各運送依頼時にその有無が確定するような場合には、それぞれの運送依頼ごとに当該附帯業務の有無について記載した書面を交付する必要があります。加えて、運送契約締結時に未定の事項がある場合は、当該事項以外について書面交付を行い、後日内容が決定した時点で、その内容について記載した書面を別途交付することが可能です。この場合、当初交付した書面との関連性を確認できるようにする必要があるほか、後日交付する書面は遅くとも運送が行われる前には交付しなければなりません。
国土交通省 改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について
努力義務化 積載効率の向上等、荷待ち・荷役等時間の短縮
発荷主・着荷主の両者が対象
改正物流効率化法により、全ての荷主に対し、物流効率化のために取り組むべき措置や、物流量の把握及び国への報告などについて努力義務が課せられます。具体的には、リードタイムの確保や繁閑差の平準化、納品日数の集約などの「①積載効率の向上等」、トラック予約受付システムの導入や混雑時間を回避した日時指定などの「②荷待ち時間の短縮」、パレット等の輸送用器具導入による荷役等の効率化や事前出荷情報の活用、タグ導入等による検品の効率化などの「③荷役等時間の短縮」の三点と、これらを実行するために責任者の選任や物流データの標準化の実施等の取り組みが求められます(図3)。運送事業者と契約し、貨物の配送・引き取りを行う「第一種荷主」、運送事業者との契約はないが、貨物の受け取り・引き渡しを行う「第二種荷主」のどちらも対象となるほか、両者に該当する事業者は、それぞれの役割で努力義務に取り組む必要があります(図4)。
これらの取り組み状況については、必要に応じて国による調査が行われます。物流事業者を対象として、優良な取り組みや物流改善の取り組み等の把握を目的とした定期的なアンケート調査を実施、主要な荷主等の取り組み状況について回答を点数化し、点数の高低にかかわらず公表するとしています。悪質な事例が発覚した場合は、その実態やそれに対する荷主等の取り組み状況について、必要に応じて荷主等からのヒアリング等を行い、トラック・物流Gメンや公正取引委員会等による働きかけや要請等がなされます。
また、2026年4月には、取扱貨物量の重量が9万トン以上の荷主は「特定荷主」として指定され、物流効率化への取り組みの実施に関する中長期的な計画の作成や物流統括管理者の選任、努力義務の実施状況の定期報告等が義務付けられる予定です。