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環境省・(国研)国立環境研究所 2023年度温室効果ガス排出・吸収量 総排出量 2013年度比27.1%減少で過去最少を記録
2050年ネット・ゼロに向けた減少傾向が継続
環境省と(国研)国立環境研究所は4月25日、2023年度の日本国内における温室効果ガス排出・吸収量を公表しました。これによると、2023年度の総排出量はCO2換算で約10億1,700万トンとなり、前年度比で4.2%(約4,490万トン)の減少、2013年度比では27.1%(約3億7,810万トン)の減少となりました。総排出量は過去最少を更新し、2050年ネット・ゼロに向けた減少傾向が継続しています(図1)。前年度からの排出量減少の主な要因は、電源構成に占める再生可能エネルギー等の合計割合が増加するなど電源の脱炭素化が進んだことや、製造業の国内生産活動の減少によってエネルギー消費量が減少したことなどが挙げられています。
また、ガス別の排出量の推移については、CO2排出量が約9億8,900万トンとなり、前年度比4.1%減少、2013年度比24.8%減少となりました。前年度からのCO2排出量の変化を部門別に見ると、産業部門が4.0%減少の約3億4,000万トン、運輸部門が0.7%減少の約1億9,000万トン、業務その他部門が6.2%減少の約1億6,500万トン、家庭部門が6.8%減少の約1億4,700万トンとなり、エネルギー起源CO2排出量は全ての部門で減少しました。
吸収源対策は新たな取り組みの検討が加速
森林等の吸収源対策については、2023年度の吸収量は前年度とほぼ同量の約5,370万トンとなり、2013年度からの削減量のうち14.2%に相当する吸収量が確保されました(図2)。
このうち、今後の吸収源として期待が大きいブルーカーボンの取り組みについて、関係省庁や官民の連携による推進体制を構築し、検討が進められる方針です。また、CO2吸収型コンクリート等のCCU技術*については、対象技術を新たに追加し、2023年度の吸収量(CO2固定量)は約121トン(前年度は約27トン)となりました。
*CCU(Carbon Capture and Utilization)技術:CO2を大気に排出するのではなく、回収して燃料やプラスチック、その他の製品に再利用する技術