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(一社)日本木造住宅産業協会 「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査」 国産材の使用割合が過去最高を更新

 (一社)日本木造住宅産業協会が3年ごとに実施する「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査」について、このたび最新の報告書が公表されました。今回は同調査の概要と調査結果をご紹介します。

住宅供給会社・プレカット会社が対象

 「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査」は、日本の木造軸組工法住宅における国産材や外国産材の使用実態を把握することを目的に、(一社)日本木造住宅産業協会が2006年度から3年ごとに実施しているもので、このたび第7回目の調査報告書が公表されました。本報告書では、住宅供給会社である同協会の一種正会員会社とプレカット会社を対象に行われた、2023年度に各社が供給した住宅に関するアンケートの結果が集計されています。なお、ナイス㈱及びナイスプレカット㈱も本調査へ協力を行いました。

 住宅供給会社の有効回答社数は87社で、年間着工戸数の総計は56,957戸であり、国土交通省による2023年度の「建築着工統計調査報告」から算出した木造軸組工法住宅戸数349,213戸の16.3%を占めています※1。また、プレカット会社の有効回答社数は79社で年間着工戸数は123,194戸であり、同木造軸組工法住宅戸数の35.3%を占めています※1。

供給戸数5,000戸未満で横架材の国産材比率が増加

 本報告書によると、住宅供給会社の2023年度の国産材の使用割合は52.7%(2020年度(前回調査)比4.2ポイント増加)となり、過去最高を更新しました。住宅一戸当たりの部材別に国産材使用割合を見ると、柱材(管柱、通し柱)が57.4%、横架材が9.5%、土台等(土台、大引、母屋・棟木)が74.6%、羽柄材(間柱、根太、胴縁、垂木、貫)が63.4%、面材が78.9%となっています。また、プレカット会社の2023年度の国産材の使用割合は41.7%(同7.6ポイント増加)となりました。2014年に31.5%に落ち込んでからは徐々に回復傾向にあり、住宅供給会社と同様、土台や大引での国産材比率が高まっています。

住宅供給会社の部材別国産材使用割合

 全体として国産材の使用割合は増加傾向となったものの、個々の部位では増加傾向が顕著な部位があった一方で、増加傾向が鈍い、もしくは若干の減少となった部位もあるとし、今回の調査では、これまでも国産材比率の低い傾向にあった横架材について供給戸数別に分析が行われています。その結果、供給戸数が5,000戸未満の全てのグループで国産材比率は増加しており、特に増加の割合が大きかったのは「500~999戸」のグループで43.0%(2020年度比37ポイント増加)、「1~9戸」のグループで30.9%(同21.2ポイント増加)となりました。

供給戸数別の横架材国産材比率

 加えて、住宅供給会社に対する「今後、特に重点的に国産材の使用量を増やしたい部材は何か?」という質問への回答は、1位が「管柱」、2位が「横架材」、3位が「土台」となりました(図3)。2020年度は2位が「土台」、3位が「横架材」となっており、今回の調査で順位が入れ替わっています。

国産材使用量を増やしたい部材アンケートグラフ

安定供給や価格など実利面を不安視する声も

 同調査では、住宅供給会社に対し、国産材を使用する理由、使用しない理由についても調査が行われました。国産材を使用する理由として最も回答数が多かったのは、「脱炭素・SDGs推進による企業価値の向上」で31.0%、次いで「地産地消の推進による地域貢献」が28.2%、「他社との差別化につながる」が25.4%と続いています。同協会は、実利的な理由よりもコンセプト重視の傾向が読み取れる点が興味深いと述べています。一方、国産材を使用しない理由については、「外国産材の方が安定的に調達できる」と「同じ品質・強度の外国産材より価格が高い」がいずれも50.7%で最も多くなりました(図4)。国産材を使用する理由とは対照的に、安定供給と価格という実利的な部分を不安視する声が多いことが分かる結果となりました。

国産材を使用しない理由のアンケートグラフ

 同協会は、国産材使用割合は木造住宅の着工数の減少や国産材の供給・需要の推移によって影響されるとした上で、今回の調査結果を踏まえ、住宅供給会社とプレカット会社の総合的な調査結果の検証、地域別・会社規模別などのより詳細な分析や追加調査を実施する予定です。また、それをもとに国産材の利用促進に向けた様々なテーマに取り組む方針です。

(一社)日本木造住宅産業協会
「木造軸組工法住宅における国産材利用の実態調査報告書(第7回)」〔会員限定〕

※1 木造軸組住宅戸数=木造住宅戸数-木造プレハブ住宅戸数-ツーバイフォー住宅戸数で計算
※2 根太、胴縁、垂木、貫