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国土交通省 高断熱住宅の設計のポイントを取りまとめ 「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」を公開
断熱等級6以上の住宅の特性を踏まえて整理
国土交通省は4月17日、「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」を公開しました。本ガイドは、断熱性が極めて高い住宅の設計は従前の住宅設計とは異なる面が多々あることを受け、省エネ性能に優れた高い断熱性の住宅における断熱・気密工法以外の計画・設計上積極的に検討すべきポイントを整理し、断熱性の高さを生かしたより豊かな生活と更なる省エネの実現を目的としています。
本ガイドでは、断熱等性能等級6及び7を有する住宅の特性を踏まえ、高断熱住宅の計画・設計上の留意点を「季節・方位・時間に応じて日射を調整できる設計」「家中を快適にするための適切な暖冷房設備・換気設備の設置」「レジリエンス性の向上」の三つの視点で整理しています。
日射を調整できる開口部や軒・庇の設計を解説
「季節・方位・時間に応じて日射を調整できる設計」では、①開口部・開口部材による日射調整、②軒・庇と日射遮蔽部材の組み合せによる外部での日射調整について解説しています。①開口部・開口部材による日射調整では、窓には日射熱を取り入れる役割と遮る役割の両面があり、それぞれに適した窓があることから、冬季の日射取得と夏期の日射遮蔽のバランスを考慮することが必要とし、寒冷地・温暖地・蒸暑地の各地域において方位別に設置すべき窓の種類の目安が示されています(図)。②軒・庇と日射遮蔽部材の組み合せによる外部での日射調整では、すだれやスクリーン、シャッター等外付けの日射遮蔽部材を使用した、初夏・初秋など太陽高度がやや低い時期を含めた日射遮蔽の方法について説明されています。
「家中を快適にするための適切な暖冷房設備・換気設備の設置」では、①適切な暖冷房設備の選定、②暖冷房方式と設置位置、③快適な室内空気環境の維持を検討すべき内容として取り上げています。①適切な暖冷房設備の選定では、暖冷房負荷に応じた暖冷房設備の選択や、継続的な除湿運転の重要性について説明しています。②暖冷房方式と設置位置では、少ない台数のエアコンで家全体を暖冷房する主な方式として、吹き抜けや階段室を介して空気を循環させる方式のほか、全館空調システムや小屋裏・1階床上にエアコンを設置する方式が示されています。③快適な室内空気環境の維持では、適切な気密性能の確保や換気システムの説明に加えて、室外からの水蒸気の侵入によって冷房で冷やされた内装下地に結露が発生する夏型結露への対策にも言及しています。
住まい手とのコミュニケーションのポイントも紹介
「レジリエンス性の向上」では、災害時や非常時の在宅避難を可能とする高効率設備機器等を用いた設計について解説しています。具体的には、太陽光発電システム、蓄電池、エネファーム(家庭用燃料電池)、高効率給湯機器(貯湯タイプ)の各設備の平常時及び災害時・非常時における導入効果がまとめられています。
本ガイドでは合わせて、住まい手とともに最適な住まい方を考えることが設計者や供給者の重要な役割とし、三つの視点による計画・設計内容に応じた「住宅の設計内容と望ましい住みこなし方の理解を深めるための住まい手とのコミュニケーションのポイント」を紹介しています。