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ニュース&レポート

国土交通省 住宅セーフティネット法等の改正案成立 要配慮者が安心して居住できる環境を整備

高まるセーフティネット住宅のニーズへ対応

 高齢者をはじめとする住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進及びその居住の安定の確保を図る「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等の一部を改正する法律案」が5月30日、衆議院本会議で可決され、成立しました。

 単身世帯の増加、持ち家率の低下などにより、今後、高齢者や低所得者などの住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが更に高まることが想定されています。一方で、賃貸の空室は一定数存在するものの、孤独死や死亡後の残置物処理、家賃滞納といった入居後の課題に対する不安から、要配慮者に対して懸念を持つ大家が多いのが現状です。

 同改正法では、要配慮者に対して入居前や入居後の支援を行う居住支援法人など、地域の担い手の協力を得ながら、要配慮者が安心して居住できる環境を整備することが目指されます。

大家と要配慮者の双方が安心できる環境整備

 同改正法における施策のポイントとして、「大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備」「居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進」「住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化」の三つが挙げられています。

 「大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備」では、賃借人の死亡時まで契約の更新がなく、死亡時に終了する終身建物賃貸借制度の利用を促進するために、住宅ごとの認可から事業者ごとの認可へ手続きが簡素化されます。また、入居者死亡時の残置物処理を円滑に行うため、居住支援法人の業務に、入居者からの委託に基づく残置物処理が追加されます。加えて、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度も創設されます。家賃債務保証業者が要配慮者の家賃債務を保証する場合、(独)住宅金融支援機構がその保証を引き受ける「家賃債務保証保険」がありますが、同制度の創設によって、その保証リスクの低減が図られます。

居住サポート住宅の供給を促進

 「居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進」では、居住サポート住宅の認定制度が創設され、居住支援法人等が、要配慮者のニーズに応じて、安否確認、見守り、適切な福祉サービスへのつなぎを行う住宅の供給が促進されます(図)。その上で、生活保護受給者が入居する場合には、住宅扶助費(家賃)について代理納付が原則となるほか、入居する要配慮者の家賃債務保証について、原則として認定保証業者が引き受けることとなります。これらの取り組みによって、要配慮者に対する大家の不安軽減が図られます。

居住サポート住宅のイメージ

 「住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化」では、国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同で基本方針を策定するほか、市区町村による居住支援協議会の設置を促進し、住宅と福祉の関係者が連携した総合的かつ包括的な居住支援体制が整備されます。

 同省は、同改正法の施行後10年のKPIとして、居住サポート住宅を10万戸供給することや、居住支援協議会を設立した市区町村の人口カバー率を9割に引き上げることなどを掲げています。

>国土交通省 報道発表資料