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菊池建設㈱ 近代数寄屋建築「清風荘」リノベーション 価値ある数寄屋建築を未来へつなぐ技術

 ナイスグループにおいて伝統的な和風住宅や社寺建築を手掛ける菊池建設㈱は、神奈川県鎌倉市において1975年に建築された近代数寄屋建築「清風荘」のリノベーション工事を手掛けました。今回は、既存建物を生かしながら実施された本工事の概要や、同社の今後の事業展開などについてご紹介します。

 

数寄屋建築の意匠を生かしたリノベーション

 菊池建設㈱がリノベーション工事を手掛けた「清風荘」は、数寄屋建築を独自に近代化させた、昭和初期に活躍した建築家の系譜を受け継ぐ建物で、今年で築47年となります。同物件の新たな所有者が、訪れたお客様をおもてなしする迎賓館のような用途を視野に入れたリノベーションを要望されており、数寄屋建築を数多く手掛けている同社の実績が評価され、受注に至りました。

 本工事においては、近代数寄屋建築の意匠を損なうことなく、既存の建物をなるべく生かしながら、新たな部材もふんだんに取り入れています。例えば、和室を本格的な茶室の設えとするために、壁については京都から取り寄せた本聚楽土(ほんじゅらくつち)※1を用いた左官仕上げとし、天井は吉野杉を使用した竿縁(さおぶち)天井※2としています(図1)。また、玄関ホールはカーペット張りから無垢板張りに変更し、既存の造作材や天井などについては、灰汁(あく)洗いと古色調の塗装が施されています(図2)。

 そのほか、ダイニングスペースに設置されたキッチンや食器棚、冷蔵庫は特注で製作されたもので、面材には天然木のタモの突板を用いることで、統一感のある木質空間としています(図3)。

 

オリジナル商品「Gywood®」が既存の造作材と調和

 広縁のフローリングには、ナイスグループのオリジナル商品である「Gywood®」が用いられています(図4)。同商品はスギの表層部を圧密したもので、形状安定性に優れており、歪みの発生が抑えられるため、30㎝と幅が広く、かつ長手方向の接(つ)ぎがない一枚板で施工されています。施工に当たっては、フロア材として必要な実(さね)加工を同社が施した上で納めており、無垢材ならではの美しい木目が、既存の柱や造作材の色合いと調和した仕上がりとなっています。また、広縁の天井には白竹となぐり加工した栗材が使用されており、隣接する茶室との連続性を考慮し、草庵書院としての意匠が整えられています。

 

伝統建築物のリノベーションを事業の柱の一つへ

 歴史的、技術的に価値のある建築物を維持し、後世に残していくためには、適切なリフォームが必要となります。一方で、伝統的な和風建築を手掛けることのできる企業や職人は減少の一途をたどっているのが現状です。同社は、社寺、数寄屋建築で培った、歴史のある貴重な建築物の価値を損なうことなく、維持していくための技術とノウハウを有しており、こうしたリノベーション工事を担えることが同社の存在意義の一つとなっています。今回の事例においても、必要に応じて広間茶室の小屋梁補強や断熱改修を行ったほか、水回りなどには最新の住宅設備機器を導入するなど、伝統建築の価値を継承しつつ、最新の技術が取り入れられています。

 同社では、歴史的価値のある建築物を未来につないでいく担い手としての使命感を持ちながら、こうした建築物のリノベーションを事業領域における一つの柱として見据えています。

※1 主に京都地方で生産される砂壁土の一種で、茶室や和風住宅の上質な上塗土として使用されます。

※2 壁の上端に沿って回り縁を取り付た上で一定間隔に竿縁を通し、その上に天井板を置く天井形式です。