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環境省・経済産業省・農林水産省 J-クレジット制度の炭素吸収量創出拡大へ 森林分野の制度改定案 取りまとめ

クレジット取引の促進によりCO2排出量を削減

 環境省・経済産業省・農林水産省は6月28日、3省連携で運営する「J-クレジット制度」について森林小委員会を開催し、森林分野のクレジットに関する制度の改定案を取りまとめました。

 J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や森林経営などの取り組みによる、CO2の温室効果ガスの排出削減量や吸収量を、「クレジット」として国が認証する制度です。国は、本制度で創出されたクレジットを企業や自治体等が取引することで、低炭素投資を促進し、国内の温室効果ガス排出量削減につなげることを目指しています(図)。

 クレジットの創出者は、クレジットの売却による更なる設備の導入や、植林・間伐等の実施、購入者は、自社の排出量の埋め合わせ(カーボン・オフセット)のほか、環境貢献のPR等への活用が進められています。

 

森林由来クレジットの創出要件を緩和

 森林分野におけるクレジット創出の方法としては、「森林経営活動」と「植林活動」の二つの方法があります。「森林経営活動」では森林経営計画に沿って適切に施業された森林が、「植林活動」では2012年度時点で森林ではなかった土地に植林された場合が対象となり、これらの森林の成長による温室効果ガスの純吸収量がクレジットとして認められています。

 本改定案では、長期的な方針で森林経営に取り組む必要があることから、認証対象期間が現行の8年間から、最長16年間へと延長されました。また、クレジットの認証に当たっては、現行は認証対象期間中の収支見込みが赤字となることを説明する追加性評価が求められますが、主伐後に再造林を行う場合や、保育・間伐及び保護活動のみの場合には、経済的障壁を有する可能性が高いとして、追加性の証明を不要としました。

 主伐・再造林にかかる温室効果ガスの排出量・吸収量の算定方法も見直されています。現行は、主伐した場合、伐採された森林の炭素蓄積の全量を排出として計上するため、主伐・再造林を含む登録事案が形成されにくいという課題がありました。見直し案では、主伐による温室効果ガス排出の計上後、伐採跡地に再造林を実施した場合には、植栽された樹種が標準伐期齢等に到達した時点の炭素蓄積を計上できることが示されました。

 更に、現行ではクレジット創出の対象外である天然林についても、一定の条件を満たせば、炭素吸収量算定の対象に追加されることとなります。

 

第三者による再造林や、木材利用にも適用へ

 今回の改定案では、少子高齢化の進行等により主伐後の再造林がなされないケースが多く、造林未済地も発生している状況を受け、所有者以外の第三者が再造林を行った場合も、その吸収量をクレジット認証する仕組みも新設されました。

 更に、木材利用による炭素固定量をクレジット化する制度案が新たに示されました。森林整備だけでなく、木材利用によるクレジット創出が可能になるのは初めてのこととなります。具体的には、森林整備プロジェクトの実施地から製材用及び合板用として出荷される木材の炭素固定量のうち、90年を期間として固定され続ける量が算定対象として追加されます。これにより、川上へ利益を還元することで建築用材等として利用可能な品質の高い林木の育成を促すとしています。

 同改定案は、8月5日に開かれる運営委員会での審議を経て決定される見通しです。

 

林野庁 J-クレジット制度
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/ondanka/J-credit.html