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政府・林野庁 2021年度の「森林・林業白書」を閣議決定 ウッドショックを受け国産材の安定供給促す

国産材の利活用に向けた二つの特集テーマ

 政府は5月31日、2021年度の「森林・林業白書」について閣議決定しました。森林・林業白書は、森林・林業基本法に基づき、年1回、政府が作成して国会に提出し、林野庁が公表するもので、森林・林業の動向と政府の施策について紹介されています。同白書を通じて、国内の森林・林業に対する国民の関心と理解をより深めることが目指されています。

 今年度は、特集として、「特集1:2021年の木材不足・価格高騰(いわゆるウッドショック)への対応」と、「特集2:グリーン成長のカギを握る木材需要拡大と木材産業の競争力強化」の二つのテーマが取り上げられています。

 

特集1:2021年の木材不足・価格高騰(いわゆるウッドショック)への対応

国産材への転換と安定供給に向けた取り組み

 特集1では、ウッドショックによる木材不足・価格高騰の状況を整理し、輸入材から国産材への転換や国産材の安定供給に向けた取り組みについて解説しています。

 米国では2020年5月以降、住宅ローン金利の低下や在宅勤務の増加により、住宅着工戸数が急増し、それに伴い北米の製材価格及びコンテナの海上輸送運賃も2020年末から急上昇しました。日本における製材品輸入平均単価についても、産地価格と海上運賃が上昇したことを受け、大幅に上昇しました。

 住宅需要が回復する中、輸入材の代替としての国産材の需要が高まり、2021年3月の製材品及び合板出荷量はコロナ前の水準まで回復したものの、旺盛な需要には十分対応できず価格が上昇しました。

 こうした状況の中、林野庁では、2021年4月以降、中央及び地区別で需給情報連絡協議会を開催し、川上から川下までの関係者による需給情報の共有を行うとともに、国産材製品への転換事例を周知するなど対応してきました。中長期的には、川上から川下までの連携強化や製材工場等の供給力の向上など、国産材の安定供給・安定需要の確保が必要であるとしています。また、2021年度の補正予算により、木材製品の供給力強化に向けた乾燥施設の整備や、原木の安定供給に向けた間伐・路網整備等の取り組みを支援すると述べています。

 

特集2:グリーン成長のカギを握る木材需要拡大と木材産業の競争力強化

建築分野での木材利用を促進

 特集2では、木材の安定的な需要の確保と木材産業の競争力強化に向けた課題と対応についてそれぞれ紹介しています。

 森林・林業基本計画で掲げられている「グリーン成長」を実現するためには、木材、特に製材の安定的な需要をいかに確保し、拡大していくかがポイントであるとして、木材産業の競争力強化が重要であると述べています。建築分野における木材利用の動向を見ると、木造率が8割に達する低層住宅は、国産材活用のための重要な市場となっています。一方、非住宅・中高層建築物の木造率は6%にとどまっており、木材利用の更なる促進に向けて改正木材利用促進法が施行されるなど、都市の木造化・木質化のための取り組みが進められています。

 

更なる需要拡大と技術開発

 森林資源の循環利用を進めていくためには、木材の品質や特性に合わせた利用を促し、原木をフル活用できる環境を整備することが重要であると述べています。その上で、製材工場における原木の利用率向上のための取り組みなどについて、広く展開することが必要であるとしています。

 また、国産材製品の活用について、住宅分野では、木造軸組住宅における国産材利用率が徐々に上昇しているほか、ツーバイフォー工法においても、大手住宅メーカーを中心に利用が進展しているとしています。また、ウッドショックにより輸入材比率が高い横架材等の需給がひっ迫した影響で、国産材への代替の動きが見られたことを受け、こうした事例の共有が必要であると述べています。

 非住宅分野においては、木造化に必要な知見を有する設計者の育成を支援していくほか、設計・施工コスト低減に向けて、普及性の高い標準的な設計や工法等について共有を図っていく必要があると指摘しています。そのほか、木材産業における労働環境の改善や技術開発を通じて、更なる国産材の活用を促進していくとしています。

林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r3hakusyo/index.html