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国土交通省・経済産業省・環境省・林野庁 2022年度予算決定概要 カーボンニュートラル実現へ取り組み加速

 2022年度予算案は、一般会計の総額が107兆5,964億円と10年連続で過去最大を更新し、カーボンニュートラルを見据えたグリーン成長をはじめとして、コロナ禍からの経済回復や災害対策といった課題への対応が盛り込まれています。今回は、現在、国会で審議されている政府予算案のうち、住宅・建築物及び木材利用等に関連する内容を中心にまとめました。(2022年2月22日時点)

 

国土交通省
災害対策、グリーン投資等に手厚く配分

 国土交通省関係予算は、国費総額の一般会計として5兆8,508億円(前年度比99%)、財政投融資として1兆6,683億円(同83%)が計上されました。全体施策として、「国民の安全・安心の確保」「社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」「豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり」の三つを柱に掲げています。

 「国民の安全・安心の確保」では、東日本大震災や相次ぐ大規模自然災害からの復旧・復興を図るとともに、「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」を計画的に進めるとしています。

 「社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」では、ポストコロナを見据え、公共交通の活性化、地域経済を支える観光の本格的な復興等に取り組むほか、住宅・建築物の省エネ対策や木材利用の促進、国土交通分野のDXなどを積極的に進める方針です。

 「豊かで活力ある地方創りと分散型の国づくり」では、共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成、二拠点居住やワーケーションなど住生活環境の充実、スマートシティ・次世代モビリティやコンパクトでゆとりと賑わいのある街づくりなどを推進する考えです。

 

住宅・建築物分野で省エネ対策強化

 住宅局関係予算については、国費総額で1,791億3,800万円(前年度比100%)が充てられました。同局では、「住まい・くらしの安全確保」「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」「誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保」「既存ストックの有効活用と流通市場の形成」「住宅・建築分野のDX・生産性向上の推進」の五つが2022年度の重点施策として掲げられています。

 このうち、「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」においては、2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス排出量の2013年度比46%削減の実現に向けて、住宅・建築物分野の省エネ対策の強化、木材利用の促進を図る方針が示されました。具体的には、住宅・建築物の省エネ化を推進するため、省エネ性能の高い住宅・建築物の整備や、既存住宅の改修等を総合的に支援する「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」を創設し、200億円が計上されました(図1)。同事業では、先導的な脱炭素化住宅であるLCCM住宅の整備に対して支援を行う「LCCM住宅整備推進事業」、炭素貯蔵効果が期待できる木造の中高層住宅・非住宅建築物について、優良なプロジェクトに対して支援を行う「優良木造建築物等整備推進事業」、既存の住宅・建築物の省エネ改修を効果的に促進する「住宅エコリフォーム推進事業」といった新規事業を創設するほか、「地域型住宅グリーン化事業」の拡充や、「長期優良住宅リフォーム推進事業」の一部見直しがなされています。

 

新たな住宅取得支援策も創設

 住宅取得支援策については、2021年度補正予算において「こどもみらい住宅支援事業」が新たに創設され、542億円が計上されています(2022年2月1日号にて詳報)。同事業では、子育て支援及び2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、子育て世帯または若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、既存住宅省エネ改修等に対して補助がなされます。

 具体的には、子育て世帯または若者夫婦世帯が住宅を新築する場合、ZEH等の水準を満たした住宅については一戸当たり100万円、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅等の高い省エネ性能を有する住宅については80万円、一定の省エネ性能を有する住宅については60万円を補助します。また、リフォームについては、全ての世帯を対象とし、工事内容に応じて最大30万円を上限に補助がなされます。ただし、安心R住宅を購入しリフォームを行う場合は上限45万円、子育て世帯または若者夫婦世帯が既存住宅を購入し、リフォームを行う場合は上限が60万円まで増額されます(図2)。

 更に、2022年度税制改正大綱では、住宅取得支援等に関する税制について見直しがなされています。「住宅ローン減税」については、控除率、控除期間等が見直されるとともに、環境性能等に応じた借り入れ限度額の上乗せ措置が講じられた上で、適用期限が4年間延長されます。また、「住宅取得資金に係る贈与税非課税措置」については、非課税限度額を良質な住宅は1,000万円、その他の住宅は500万円とした上で、適用期限が2年間延長となります。

国土交通省 予算・税制改正
https://www.mlit.go.jp/policy/file000004.html#title03

こどもみらい住宅支援事業
https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/

 

経済産業省
足元の経済対策と長期視点の施策を両立

 経済産業省は、2022年度当初予算として1兆2,257億円(前年度当初予算額1兆2,533億円)、2021年度補正予算額として5兆5,579億円を計上しました。経済回復に向けた支援、エネルギー基本計画の実現等による「経済」と「環境」の好循環などを重点ポイントに位置付け、足元の経済対策と長期的視点での施策の両立が図られています。

 このうち、資源・エネルギー関係予算では、「住宅・建築物需給一体型等省エネルギー投資促進事業」に80億9,000万円が計上されています。同事業では、住宅・ビルの徹底的な省エネ推進のために、①現行のZEHより省エネを更に深堀りするとともに、太陽光発電の自家消費率拡大を目指した次世代ZEH+等の実証、②先端的な技術等を導入した大規模建築物のZEB化実証、③既存住宅の改修に対し、先進的な建材や工法を用いた省エネリフォームの実証について支援がなされます。

 また、感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援には、補正予算として3兆335億円と手厚く配分されています。コロナ禍で大きな影響を受ける中堅・中小・小規模事業者等に、事業規模に応じて事業復活支援金が支給されます。また、長期化するコロナ禍の影響により厳しい状況にある事業者等が、足元で必要とする資金繰りなどの支援に万全を期す方針です。

経済産業省
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2022/index.html

 

環境省
他省との連携で建築物の脱炭素化を推進

 環境省は、2022年度当初予算における一般会計の一般政策経費等として1,502億円(対前年度比102%)、エネルギー対策特別会計として1,659億円(同103%)を計上したほか、2021年度補正予算としてそれぞれ915億円と450億円を計上しました。デジタルを含む脱炭素技術の更なるイノベーションの推進や、再生可能エネルギーなどの地域資源を徹底活用したグリーン社会の実現といった「時代の要請への対応」と、公害健康被害の救済・補償をはじめとする同省の「不変の原点の追求」という二つをコアミッションとして掲げ、あらゆる施策を展開していく考えです。

 具体的な施策として、従来の国土交通省・経済産業省との連携による「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」を継続し、65億5,000万円が充てられました。同事業では、一戸建住宅(建売・注文)において、ZEHの交付要件を満たす住宅を新築する場合に一戸当たり55万円が補助されるほか、ZEH以上の省エネや、設備の効率的運用等により再エネの自家消費率拡大を目指した一戸建住宅(ZEH+)に対して、一戸当たり100万円が補助されます(図3)。

 また、「建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業」に55億円が計上され、このうち「新築建築物のZEB化支援事業」では、業務用施設を中心に、エネルギー自立化が可能であり、換気機能等の感染症対策も兼ね備えたレジリエンス強化型ZEBの普及が図られます。

 

 

林野庁
「新しい林業」に向けた施策を開始

 2022年度の林野関係予算では、「カーボンニュートラル実現に向けた森林・林業・木材産業によるグリーン成長」を重点事項として掲げています。当初予算として2,985億円(前年度当初予算額3,033億円)を計上、2021年度の補正予算追加額1,242億円と併せ、4,227億円が確保されています。

 公共事業関係予算として合計2,700億円を計上する一方、非公共事業関係予算としては、当初予算1,013億円に補正予算追加額223億円を加えた、1,236億円が計上されています。このうち、「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」については、116億円を計上し、間伐や再造林、木材加工流通施設の整備、都市部における木材利用の強化等、川上から川下までの取り組みを総合的に支援します。

 同対策内では、「『新しい林業』に向けた林業経営育成対策」及び「カーボンニュートラル実現に向けた国民運動展開対策」を新設し、それぞれ5億円と2億円が計上されました。「『新しい林業』に向けた林業経営育成対策」では、経営レベルで「伐って、使って、植える」を実現できるような林業経営体の経営モデルの構築などを通じて、「長期にわたる持続的な経営」を担う林業経営体の育成が図られます。一方、「カーボンニュートラル実現に向けた国民運動展開対策」では、植林等の森林づくりの推進、森林空間利用の促進、建築物等での木材利用拡大の機運醸成を図り、「木づかい運動」の促進等の取り組みを支援します(図4)。

 

都市の木材利用促進やウッドショックに対応

 「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」のうち、川下向けの施策として、「建築用木材供給・利用強化対策」に12億5,700万円(前年度当初予算額12億5,100万円)、「木材需要の創出・輸出力強化対策」に4億4,200万円(同5億600万円)を計上しています。

 「建築用木材供給・利用強化対策」では、都市部における木材利用の強化等を図るため、建築用木材の利用の実証への支援や、製材、CLT等の建築物への利用環境整備への支援と併せて、建築用木材の安定的・効率的な供給体制を強化していく考えです。このうち、都市部における建築用木材の利用実証や地域材による設計合理化等の技術開発・普及等を支援する「都市の木材利用総合対策事業」に3億7,600万円を、引き続き注視が必要な木材需給動向に対応するため、建築用木材の安定的・効率的な供給体制を強化する「建築用木材供給強化促進事業」には1億600万円を充てています。

 また、「木材需要の創出・輸出力強化対策」では、非住宅建築物等の木造化・木質化、木質バイオマスのエネルギー利用、木材製品の輸出の推進等による木材需要の拡大を支援するとともに、国別・地域別の合法伐採木材関係情報の提供等を行います。非住宅建築物の木質化による利用者の生産性向上等、木の効果を実証する取り組みなどを支援する目的で、「非住宅建築物等木材利用促進事業」を新設して9,600万円を計上したほか、地域による体制づくり、企業間の連携によるモデル的な輸出の取り組み等を支援する「木材製品輸出拡大実行戦略推進事業」も新設、こちらには7,500万円を充てています。

林野庁
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/R4kettei.html