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国土交通省 脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策、建築基準制度のあり方 省エネ基準適合義務化へ最終取りまとめ

建築物分野での温室効果ガス削減の中期目標達成へ

 国土交通省は1月20日、社会資本整備審議会第46回建築分科会、第23回建築環境部会及び第20回建築基準制度部会の合同会議を開催し、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策、建築基準制度のあり方」について取りまとめを行いました。

 本取りまとめでは、「建築物の省エネ性能の一層の向上」「CO2貯蔵に寄与する建築物における木材の利用促進」「CO2貯蔵に寄与する既存建築ストックの長寿命化」の三つの観点で、現状と課題及び施策の方向性などについて整理されています。これにより、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新たな地球温暖化対策計画に位置付けられた建築物分野における温室効果ガス削減の中期目標の達成が目指されています。

省エネ性能の底上げと省エネ基準の段階的引き上げ

 「建築物の省エネ性能の一層の向上」については、具体的施策の方向性として、「新築建築物における省エネ基準への適合の確保」「省エネ基準の段階的引き上げを見据えたより高い省エネ性能の確保」「既存建築ストックの省エネ化等の促進」「建築物における再生可能エネルギーの利用促進」の四つが挙げられています。

 このうち、新築建築物における省エネ基準への適合については、適合確保による省エネ性能の底上げが基本として、現状は中・大規模非住宅建築物において適合が義務化されています。一方、新築の小規模非住宅建築物では89%、新築住宅全体では81%が省エネ基準に適合しており、同基準に適合した建築物が一般化しつつあります。そのような中、本取りまとめでは、2025年度以降に新築される原則全ての建築物を対象に、現行の省エネ基準への適合を義務付ける必要があるとしています。

 更に、より高い省エネ性能の確保を目指し、省エネ基準を段階的に引き上げていく方針も示されました。具体的には、建築物省エネ法に基づく誘導基準等について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能に整合させて引き上げるとともに、住宅性能表示制度において、現行の省エネ基準を上回る多段階の断熱等級を設定する必要性に言及しています。

 そのほか、既存建築ストックの省エネ化を促進するために、増改築部分のみ省エネ基準への適合を求めるなど、過度な負担とならない合理的な規制等が提示されています。

高さ規制の緩和で木造化を促進

「CO2貯蔵に寄与する建築物における木材の利用促進」については、「小規模木造建築物等の構造安全性を確認するための措置」「中・大規模建築物の木造化や、混構造などの部分的な木造化の促進」の二つが挙げられています。

 小規模建築物については、断熱材や省エネ設備設置スペース確保のために階高の高い建築物のニーズが高まっていることから、設計等の負担を軽減するための対策が提示されています。具体的には、3階建ての建築物のうち、簡易な構造計算によって構造安全性を確かめることが可能な範囲について、現行の「高さ13m以下かつ軒高9m以下」から「高さ16m以下かつ階数3以下」に見直すべきと提言しています。

 また、中・大規模建築物の木造化については、延べ面積3,000㎡超の木造建築物等への防火規定を合理化し、燃えしろ設計による現しでの木造化を可能とするなどの方向性を示しました。

既存ストックへの現行基準の遡及適用を合理化

 最後に、「CO2貯蔵に寄与する既存建築ストックの長寿命化」については、建築物のライフサイクルを通じたCO2排出量を抑制するために、既存建築ストックの長期活用を推進することが重要だとしています。一方で、現在、既存不適格建築物を改修する際には、原則として、建物全体において現行基準に適合させる必要があり、これが改修の障害となっていると指摘しています。

 そのため、本取りまとめでは、既存不適格建築物に対する防火・避難規定や集団規定の現行基準への遡及適用について、合理化を図ることが示されました。このうち、防火・避難規定については、直近の火災事案を踏まえて、改修等の円滑化と防火上・避難上の安全性の向上の両立が図られるよう、十分に配慮することなどを求めています。

 同省では、今後、本取りまとめを実現するための法案を速やかに国会に提出するとともに、予算・税制・融資等における省エネ対策への重点的な支援等に取り組むよう求めるとしています。

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s202_kenchiku01.html