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NPO法人 住まいの構造改革推進協会 18年にわたり木造住宅の耐震化促進に貢献

 NPO法人住まいの構造改革推進協会は、(一社)ステキ信頼リフォーム推進協会にその業務を引き継ぎ、2021年末をもって発展的に解散する予定です。今回は、2003年の設立以来、18年超にわたり住宅の耐震化に向けて活動してきた、同協会の軌跡を振り返ります。

阪神・淡路大震災の悲劇を繰り返してはならない

 1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、死者6,434名、行方不明者3名、負傷者43,792名、住宅については約10万5,000棟が全壊、約14万4,000棟が半壊するなど、甚大な被害が生じました。この時、死因の8割以上が家屋の倒壊や家具の転倒などによる圧死・窒息死とされており、まさに住まいが凶器となってしまった瞬間でした。更に、倒壊した家屋の多くが、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅であったことが分かっています。

 これを受けて、ナイスグループでは、二度と同じ悲劇を繰り返してはならない、住まいは命を守るものでなければならないとの強い思いの下、政府による中央防災会議の設置と時を同じくする2001年、旧耐震基準と新耐震基準における構造安全性の違い、そして、旧耐震基準で建てられた住宅の建て替えまたは耐震改修の必要性を訴え、「住まいの構造改革」の提唱を開始しました。2003年にはナイス㈱が発起人となって住まいの構造改革推進協会(以下、住構協)を設立、翌2004年にはNPO法人の認可を受けました。以後、住構協は、「阪神・淡路大震災の悲劇を風化させてはならない!」を合言葉に、販売店様や工務店様、メーカー様とともに安全で安心な住まいの啓発と普及を目的に、活動を続けてきました(図1)。

耐震技術認定者を養成し耐震化率の向上に貢献

 住構協は、建材・住設機器メーカー様などの推進会員、販売店様などの賛助会員、工務店様やリフォーム会社様などの正会員から構成されます。正会員である工務店様やリフォーム会社様が、耐震診断の基礎知識・耐震補強方法等を習得できるよう、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)等と連携しながら認定講習や実地研修などを実施し、これまでに1,600名超の耐震技術認定者を養成してきました(図2)。こうした技術者によって全国各地で耐震診断・耐震補強などが実施され、住宅の耐震化率の向上に貢献してきました。

 また、「住まいの耐震博覧会」をはじめとした数多くのイベントに出展し、動く耐震模型を活用して実際の揺れ方の違いなどを説明し、旧耐震基準、新耐震基準、現行基準の耐震性能の違いを分かりやすく伝えることで、エンドユーザーが自宅の耐震化の必要性について考え、耐震リフォームなどのアクションを起こす機会を創出してきました(図3)。そのほか、2005年には『凶器になる家ならない家』(金谷年展氏との共著、日経BP社)、2008年には『地震から命を守る家づくり』(ダイヤモンド社)を出版するなど、幅広い情報発信を行ってきました。

大地震の際には倒壊原因を調査・報告

 木造住宅の耐震技術の向上にも寄与するべく、積極的に被災地の現地調査を行い、実態の把握にも努めました。2004年の新潟県中越地震、2005年の福岡県西方沖地震、2007年の新潟県中越沖地震、能登半島地震、2016年の熊本地震など、地震の発生後はすぐに現地に入り、地震によって被害を受けた家屋について、その原因調査なども実施しています(図4)。こうした調査結果については、会員様と共有するとともに、エンドユーザーに対しても訴求し、地震の恐ろしさとその対策について考えるきっかけを提供し続けてきました。

 これらの活動が評価され、次世代に向けたレジリエンス社会の構築への取り組みを発掘、評価、表彰する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)」を、2015年、2017年、2019年の3回にわたり受賞しています。

ステキ信頼リフォーム推進協会へ業務を継承

 こうした中、2003年には約1,150万戸あった耐震性が不足する住宅戸数は、2018年には約700万戸にまで解消され、耐震化率も約75%から約87%まで上昇しました。住まいについては、南海トラフ地震や首都直下地震などの大地震の発生が懸念される一方で、台風や集中豪雨等の気象災害の激甚化と、それらに付随する大規模停電の発生、更には、高断熱化による省エネ・省CO2化、超高齢社会の到来に伴うバリアフリー化など、耐震化の促進にとどまらず、健康で快適な暮らしの実現に向けて多くの課題が山積しており、住宅業界はこれらの課題に対して幅広く対応していくことが求められています。

 こうした中、2017年には、住構協がこれまで推進してきた事業をより一層拡大・発展させる趣旨で、(一社)ステキ信頼リフォーム推進協会が設立されました。住構協は、同推進協会の設立趣旨に基づき、これらの課題に対して総合的に取り組むことが可能な同推進協会に事業の全てを継承し、2021年末をもって事業を終了、解散する予定です。