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脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会 2025年度に省エネ基準適合義務化の見通し

2030年度以降の省エネ性能目標を示す

 国土交通省、経済産業省、環境省は7月20日、第5回目となる「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」を開催しました。今回は、前回示された素案(6月15日号1面参照)を基に「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方(案)」について議論されたほか、新たに今後の対策の進め方に関するスケジュールなどが公開されました。

 本案では、中期的に目指すべき住宅・建築物の姿として、2030年における新築の住宅・建築物については、平均でZEH・ZEBの実現を目指すとした素案の内容を維持しました。また、2050年に目指すべき姿として、ZEH・ZEB基準の水準となる省エネ性能を有するストックの蓄積を図ることが、新たに盛り込まれました。

 その上で、技術的かつ経済的に利用可能な技術を最大限活用するとの前提の下、2030年度以降に新築される住宅については、ZEHの強化外皮基準に適合させるとともに、再生可能エネルギーを考慮しない設計一次エネルギー消費量について、現行の省エネ基準値から20%削減することを求めています。また、建築物についても同様に、再生可能エネルギーを考慮しない設計一次エネルギー消費量の削減を求めています。

 

省エネ対策強化のスケジュールを公開

 省エネ基準の適合義務化については、基準の水準を「現状において少なくとも確保されるべき省エネ性能」と定義した上で、2025年度に義務化する見通しを示しました(図1)。また、新築に対する支援措置について、先行して省エネ基準への適合を要件化することで早期の適合率の向上を図るとしており、2022年度には補助制度において、2023年度にはフラット35において要件化する方針が示されました。

 併せて、中期的目標を踏まえ、建築物省エネ法に基づく誘導基準や、長期優良住宅等の認定基準のZEH基準の水準への引き上げ、住宅性能表示制度における上位等級の設定などを通じてボリュームゾーンのレベルアップの取り組みを図るとしています。具体的には、2023年度に誘導基準をZEH水準に引き上げた上で、誘導基準への適合率が8割を超えた時点で、遅くとも2030年度までに省エネ基準を誘導基準レベルに引き上げることも盛り込まれました。

 そのほか、検討会で議論されていたZEHの断熱性能を更に上回る外皮基準の設定については、住宅性能表示制度における更なる上位等級の設定や、地方自治体の取り組みの促進について検討することとしています。

 

2030年に太陽光発電設備の設置を一般的に

 住宅・建築物への太陽光発電の設置義務化については、本案では見送られたものの、2050年において、設置が合理的な住宅・建築物には太陽光発電設備の設置が一般的となることを目指すと明記されました。また、更なるエネルギー消費量の削減に向けて、太陽熱利用設備の利用拡大や、住宅における薪ストーブやペレットストーブによるバイオマス活用などについても追記されました。

 そのほか、炭素貯蔵効果が高い木材の利用拡大に向けて、地域における中小工務店等が連携して取り組む省エネ性能が高い木造住宅などへの支援の継続や、LCCM住宅・建築物の普及拡大に向けた取り組みを進めることなどが盛り込まれました。

 

脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000188.html