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国土交通省 「国土交通グリーンチャレンジ」取りまとめ グリーン社会の実現に向けた重点プロジェクトを公表

分野横断・官民連携の視点で取り組む

 国土交通省は7月6日、2050年カーボンニュートラル、グリーン社会の実現に向けて戦略的に取り組む重点プロジェクト「国土交通グリーンチャレンジ」を公表しました。これは、国内のCO2排出量の約5割を占める運輸、家庭・業務部門の環境分野での施策等について、社会資本整備審議会・交通政策審議会の環境部会・技術部会に設置された「グリーン社会WG」における調査審議の成果を踏まえ、取りまとめられたものです。

 本取りまとめでは、2050年という長期を見据えつつ、2030年までの10年間に重点的に取り組む分野横断・官民連携のプロジェクトや政策パッケージが示されました。また、グリーン社会の実現の鍵は「連携」であるとして、政府一体となって取り組むグリーン成長戦略や地域脱炭素ロードマップ等と方向性を同じくし、関係省庁や地方自治体、民間事業者等との連携により、持続可能で強靭なグリーン社会を将来世代に引き継いでいけるよう、総力を上げて取り組むと述べています。

 基本的な取り組み方針として、分野横断・官民連携の観点からの取り組み強化や、緩和策・適応策等の一体的推進といった「分野横断・官民連携による統合的・複合的アプローチ」と、緩和策・適応策の両面で長期的視点から今とるべき対策を実施していく「時間軸を踏まえた戦略的アプローチ」の二つを挙げています。その上で、取り組みのベースとなる横断的視点として、「イノベーション等に関する産学官の連携」「地域との連携」「国民・企業の行動変容の促進」「デジタル技術、データの活用」「グリーンファイナンスの活用」「国際貢献・国際展開」の六つを挙げています。

 重点プロジェクトとしては、「省エネ・再エネ拡大等につながるスマートで強靭なくらしとまちづくり」「グリーンインフラを活用した自然共生地域づくり」「自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの構築」「デジタルとグリーンによる持続可能な交通・物流サービスの展開」「港湾・海事分野におけるカーボンニュートラルの実現、グリーン化の推進」「インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル、循環型社会の実現」の六つについて、課題と対応の方向性、主な施策がまとめられています。

 

住宅・建築物分野の省エネ対策に重点

 本取りまとめにおいて、重点的に取り組むべきプロジェクトとして最初に掲げられたのが「省エネ・再エネ拡大等につながるスマートで強靭なくらしとまちづくり」です。その背景として、家庭・業務等の民生部門からのCO2排出量が日本全体の約3割を占め、その削減に向けては、住宅・建築物分野における省エネ化・再エネ化の推進が喫緊の課題であることが挙げられています。

 そのため、主な施策として、改正建築物省エネ法に基づく中・大規模建築物の省エネ基準への適合義務制度や、一戸建住宅等における建築士から建築主への省エネ性能に関する説明義務制度、住宅トップランナー制度などの措置の適切な運用を掲げています。また、LCCM住宅・建築物及びZEH・ZEBの普及促進や、住宅・建築物の長寿命化を図り、良質な住宅ストックの形成を促進するとともに、断熱改修の推進等を通じた既存の住宅・建築物の省エネ改修を促進し、既存ストック対策の充実強化を図ると述べています。更に、長期優良住宅の認定基準の見直し(4面にて詳報)など、省エネ性能等に関する認定・表示制度の充実・普及に加えて、住宅・建築物の省エネ対策の強化に関するロードマップを示し、その実現を図るとしています。

 木造建築物の普及拡大に向けては、CLT等を活用した中高層の住宅・建築物の木造化を促進するため、建築基準の合理化や先導的な設計・施工技術の導入支援、設計者の育成などに取り組むほか、官庁施設の木造化・木質化の推進などを主な施策として挙げています。

 そのほか、「インフラ等を活用した地域再エネの導入・利用拡大」「脱炭素と気候変動適応策に配慮したまちづくりへの転換」といった施策に併せて取り組むことで、気候変動リスクにも対応したスマートで強靭なまちづくりを推進するとしています。

 

国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo10_hh_000252.html