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ウッドファイバー㈱ 脱炭素化の実現に貢献 木質繊維断熱材「ウッドファイバー」

 脱炭素が世界的な潮流となり、欧州を中心とした各国において、温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」の目標が掲げられています。日本においても、政府が温室効果ガスの削減目標を従来よりも7割以上引き上げる方針を打ち出すなど、官民を挙げて積極的な取り組みが進められています。こうした中、今回は、国内で製造される唯一の木質繊維断熱材である「ウッドファイバー」についてご紹介します。

環境先進国ドイツで生まれた断熱材

 地球温暖化対策の世界的枠組みであるパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃より低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求することが目標に掲げられ、その達成のため、21世紀末のなるべく早期に、世界全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすること、つまり脱炭素化が長期目標として定められています。日本においては、昨年10月に「2050年カーボンニュートラル」宣言がなされ、今年3月には、地球温暖化対策推進法の改正により、宣言内容が法の基本理念として位置付けられました。経済産業省によると、「2050年カーボンニュートラル」を表明している国は世界124カ国・1地域(1月20日時点)におよび、11月にはイギリスにて国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催されることから、脱炭素化の機運が一層高まると見込まれます。

 木質繊維断熱材は、木材をバイオマスエネルギーとして燃やしてしまうのではなく、二酸化炭素を吸収し、その炭素を固定し続けることができる素材として、環境先進国である欧州諸国で多く用いられています。ウッドファイバーは、国を挙げて環境建築を推進するドイツで開発された木質繊維断熱材をベースとして、日本の特性に合わせて改良された商品です(図1)。ドイツは、新築する全ての建築物に、日本よりも高いレベルの省エネ基準を課しており、同商品はそれらの高い基準に適応した技術が使われています。

 

国産材の有効活用と省エネルギー生産

 ウッドファイバーは、国内唯一の木質繊維断熱材メーカーであるウッドファイバー㈱が、カラマツやトドマツといった北海道産針葉樹の間伐材や倒木などを有効活用して製造しています。原材料であるチップを繊維化し、防蟻・不燃処理を施した上でマット成型したものです(図2)。地産地消のニーズの高まりから、各地域の原木を使用した製造にも対応しており、これまでに奈良県や栃木県などの地域産材で製造した実績があります。

 更に、製造過程においても、樹皮(バーク)を燃料とするボイラーを利用することで、石油などの化石燃料をなるべく使用しない省エネルギー生産を実現しています。

 

蓄熱性能で温度変化の少ない室内環境

 同商品の最大の特長は、他の充填用断熱材と同等レベルの断熱性能に加え、蓄熱性能や吸放湿性能といった木材の優れた性質を併せ持っている点です。蓄熱性能が優れている、つまり壁に熱を蓄えておく力が大きく、室内への熱の侵入が遅れることから、年間を通して温度変化が少なくなり、快適な室内環境をつくり出します(図3)。これから迎える暑い夏においては、日差しの熱が到達しにくいため、室内の壁や天井の温度が低いまま保たれます。併せて、窓からの熱の流入を防ぐために、庇やアウターシェード、外付けブラインドなどを設置すれば、蓄熱効果をより保ちやすくなります。冬は、薪ストーブやオイルヒーターなどの輻射(ふくしゃ)熱を利用した暖房との相性が良く、暖房器具から出る赤外線によって壁や天井が暖められ、それらに蓄えられた熱が放出されることで、じんわりとした温かさが持続します。

 

健康的で快適な環境を実現する多機能効果

 ウッドファイバーは、木の繊維に無数にある中空の孔(あな)に水を蓄えることができ、圧倒的に高い吸放湿性能を有しています。そのため、室内の湿度を一定に保つことができ、壁内部の結露を抑制できます(図4)。これにより、カビやダニ、ウイルスなどの発生リスクを抑制し、健康的で快適な環境にするとともに、家の耐久性を高めることにもつながります。

 また、同商品は繊維系の多孔質吸音材料で、音が入るとそのエネルギーが減衰される効果があります。優れた吸音性能により、話し声やテレビの音をはじめ、屋外の車のエンジン音などの生活騒音を軽減できます。更に、燃焼時に表面が炭化して延焼を防ぐという木材の特性に加え、製造過程で難燃剤を添加することで、その特長を更に強化し、高い防火性能を発揮します。

 施工性の良さも特長の一つで、適度な密度と柔軟性を持ち合わせているため、柱の間に隙間なくしっかりと納まります。地震などで躯体が揺れ動いても形状の変化や位置のズレなどが生じにくく、断熱材としての性能を維持し続けることができます(図1)。

 同商品は、厚さ50㎜、90㎜、100㎜、120㎜の4種類の規格があり、オーダーメイドでの対応も可能です。