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政府 地震調査研究推進本部 「全国地震動予測地図2020年版」を公表

政府の地震調査研究推進本部は3月26日、2年ぶりとなる「全国地震動予測地図2020年版」を公表しました。都道府県ごとに地震動予測地図が掲載されるなど、2018年版から変更が加えられています。今回は、2020年度版について確率論的地震動予測地図の内容を中心にまとめました。

 

地震の分類や地図の配色などを変更

 全国地震動予測地図は、将来、日本で発生が懸念される地震による強い揺れを予測し、その結果を地図として表したもので、「確率論的地震動予測地図」と「震源断層を特定した地震動予測地図」という性質の異なる2種類の地図で構成されています。確率論的地震動予測地図は、現時点で考慮し得る全ての地震の位置・規模・確率に基づき、各地点の地震発生確率と揺れをまとめて計算し、その分布を示した地図群で、2020年版は2020年1月1日を評価基準日としています。また、震源断層を特定した地震動予測地図は、ある特定の震源断層において、各地点がどのように揺れるのかを計算し、その分布を地図で示したものとなります。

 2020年版では、従来と異なり、地震分類を「活断層などの浅い地震」と「海溝型地震」の2種類に再編したほか、利用者の利便性向上を目的として、地方ごとや都府県(北海道は振興局)ごとに地震動予測地図が掲載されています。また、色の規格や統一化に関する動向や多様な色覚に対応するべく、地図の配色が変更されるなど、2018年版から変更がなされています。

 

東日本大震災の余震データを新たに考慮

 公表された確率論的地震動予測地図のうち、「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」の地図を見ると、北海道南東部や仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側および糸魚川-静岡構造線断層帯の周辺地域などの確率が高くなっています(図1)。また、今回、震源断層をあらかじめ特定しにくい地震について、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後の地震活動を考慮したモデルへと変更がなされたことにより、東北地方や関東地方北部の太平洋側における確率が2018年版から増加しています(図2)。同様に、関東地方では、地下構造モデルの改良を行ったことによる確率の増減が見られるほか、日本海溝沿いのプレート間巨大地震や南海トラフ沿いで発生する大地震について、従来よりも震源域の多様性を考慮したモデルに変更されたことに伴い、山梨県・静岡県・長野県東部で確率が減少しています。

 

地盤構造モデルの更新等により発生確率が大幅に変動

 今回、都道府県庁所在地の市役所(東京都は都庁)および北海道の各振興局の地点における、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が参考値として示されました。これによると、水戸市役所の81%が最も高く、次いで徳島市、高知市の75%、静岡市の70%となっています。2018年版と比較すると、29地点で確率が増加しており、中でも、和歌山市役所で10ポイント増の68%、さいたま市役所で5ポイント増の60%となるなど、特に増加幅が大きくなりました。一方で、大阪市役所は25ポイント減の30%、千葉市役所は23ポイント減の62%、横浜市役所は13ポイント減の38%となるなど、大幅に減少しました。同推進本部では、こうした大幅な確率の増減について、いずれも地盤構造モデルの更新による影響が大きいとしています。また、甲府市役所も14ポイント減の36%と大幅に減少しましたが、この要因としては、南海トラフ沿いで発生する大地震のモデルの変更による影響が大きいことが示されました。

 

全国どこでも発生する可能性がある大地震

 地震調査研究推進本部では、地震動予測地図は最新の知見に基づいて作成しているものの、使用できるデータには限りがあり、結果には不確実さが残るとしています。そのため、国内にはまだ活断層調査等が十分でない地域があり、今後の調査によって、これまで知られていなかった過去の地震や活断層の存在が明らかにされ、確率が上がる可能性があると指摘しています。実際、2005年の福岡県西方沖の地震や、2007年の能登半島地震では、確率が低い地域であったにも関わらず、強い揺れが発生して大きな被害が生じました。こうしたことから、現時点では相対的に発生確率が低い地域においても、油断しないよう注意を呼び掛けています。

 

地震調査研究推進本部HP「地震動予測地図2020年版」

https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2020/