1. TOP
  2. ナイスビジネスレポート
  3. 政府 「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定 令和時代の新たな住宅政策の指針示す

政府 「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定 令和時代の新たな住宅政策の指針示す

新たな日常や脱炭素社会の実現といった課題に対応

 政府は3月19日、2030年度までを計画期間とする新たな「住生活基本計画(全国計画)」を閣議決定しました。同計画は、住生活基本法に基づき、国民の住生活の安定の確保および向上の促進に関する基本的な計画として策定されるもので、おおむね5年に一度見直しがなされます。今回は、「2050年カーボンニュートラル」に向けた対策などの気候変動問題、コロナ禍を契機とした多様な住まい方、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などを課題に挙げ、これらに対する施策を総合的に推進するべく、「社会環境の変化」「居住者・コミュニティ」「住宅ストック・産業」の視点から八つの目標を掲げています。

 

①「社会環境の変化」の視点

住宅におけるDXを強力に推進

 「社会環境の変化」の視点では、「『新たな日常』やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現」「頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保」の二つが目標に掲げられました。前者については、職住一体・近接、在宅学習の環境整備や、非接触型の環境整備の推進、地方、郊外、複数地域での居住の推進のほか、住宅に関する契約・取引プロセスや、設計から管理までの全段階におけるDXの推進などが基本的な施策として示されました。また、成果指標として、「DX推進計画を策定し、実行した大手事業者の割合」を2025年までに100%とすることが、新たに加わっています。後者については、ハザードマップの整備・周知等による水災害リスク情報の空白地帯の解消や、豪雨災害等の危険性の高いエリアでの住宅立地の抑制、住宅・住宅地のレジリエンス機能の向上などが盛り込まれました。

 

②「居住者・コミュニティ」の視点

若年・子育て世帯の住宅取得を支援

 「居住者・コミュニティ」の視点では、三つの目標を掲げています。一つ目の「子どもを産み育てやすい住まいの実現」については、若年世帯や子育て世帯の都心居住ニーズをかなえる住宅取得の推進や、職住や職育が近接する環境の整備などが示されました。二つ目の「多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり」については、高齢期に備えた適切な住まい選びの総合的な相談体制の推進や、ヒートショック対策等の観点を踏まえた良好な温熱環境を備えた住宅の整備などのほか、多様な世代がつながり交流するミクストコミュニティの形成を目指すことが盛り込まれました。三つ目の「住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティネット機能の整備」については、公営住宅の計画的な建て替え等や、バリアフリー化や長寿命化等によるストック改善を進める方針です。

 

③「住宅ストック・産業」の視点

住宅の省エネ規制の強化を明記

 「住宅ストック・産業」の視点では、三つの目標が掲げられています。一つ目の「脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成」については、長寿命でライフサイクルCO2排出量が少ない長期優良住宅ストックやZEHストックの拡充、住宅の省エネルギー基準の義務付けや省エネルギー性能表示など、更なる省エネ規制の強化を図ります。そのほか、炭素貯蔵効果の高い木造住宅等の普及、CLT等を活用した中高層住宅等の木造化のほか、省エネルギー性能の向上に関する取り組み状況の情報の集約と、消費者等に分かりやすく公表する仕組みの構築などが打ち出されています。また、「住宅ストックのエネルギー消費量の削減率(2013年比)」を2030年までに18%とする成果指標について、2050年カーボンニュートラルの実現目標からのバックキャスティングの考え方に基づき、規制措置の強化やZEHの普及拡大、既存ストック対策の充実等に関するロードマップを策定することが盛り込まれました。更に、その検証を踏まえ、地球温暖化対策計画およびエネルギー基本計画の見直しの際、住宅ストックにおける省エネルギー基準適合割合およびZEHの供給割合の目標を追加することが示されました。

 このほか、「安心R住宅」や長期優良住宅といった既存住宅の情報が分かりやすく提示される仕組みの改善を通じ、既存住宅流通の活性化を図ることなどが掲げられています。一方、成果指標である「既存住宅流通およびリフォームの市場規模」については、2030年までに14兆円へと見直され、長期的目標として20兆円を目指すことが示されました。

 二つ目の目標である「居住者の利便性や豊かさを向上させる住生活産業の発展」については、大工技能者等の担い手の確保・育成を通じて、地域材の利用や伝統的な建築技術の継承、和の住まいの推進を図るほか、省力化施工、DX等を通じた生産性向上の推進、CLT等を活用した中高層住宅等の新たな分野における木造技術の普及と設計者の育成などを進めるとしています。また、三つ目の目標である「空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進」については、管理不全空き家の除却等や特定空き家等に関する対策の強化、空き家・空き地バンクの活用、空き家の改修・DIY等を通じてセカンドハウスやシェア型住宅など、多様な二地域居住・多地域居住を推進する方針です。

 

国土交通省

https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000167.html