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政府 「2050年カーボンニュートラル」を法定化 地球温暖化対策推進法改正案を閣議決定

基本理念の新設で政策の継続性を明確化

 政府は3月2日、「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。地球温暖化対策の推進に関する法律は、日本における地球温暖化対策の中心的役割を担う枠組みで、1998年の制定以降、気候変動を巡る国内外の動向を踏まえ、改正が行われてきました。本改正案は、昨年10~12月に開催された「地球温暖化対策の推進に関する制度検討会」における、地球温暖化対策の更なる推進に向けた今後の制度的対応に関するとりまとめを受けたものです。

 改正案には、昨年10月の政府宣言「2050年カーボンニュートラル」を踏まえた基本理念の新設が盛り込まれました。現行法では、政府に地球温暖化対策計画の策定を義務付け、その中で温室効果ガスの削減目標を定めることが規定されている一方、国際的な枠組みであるパリ協定が定める、世界全体の気温上昇を産業革命前から2℃未満、できれば1.5℃以内に抑制するという目標は規定されていません。このことから、改正案では、パリ協定の目標や、「2050年カーボンニュートラル」という政府宣言を基本的理念として規定し、法に位置付けるとしています。政策の方向性や継続性を明確に示すことで、国民、地方公共団体、事業者等のあらゆる主体に対して予見可能性を与え、取り組みやイノベーションの促進を図る方針です。

 

再エネ活用による脱炭素化促進事業の認定制度を創設

 改正案には、環境配慮や地域貢献など、地域が求める方針に適合した、再生可能エネルギーの活用により脱炭素化を促進する事業(地域脱炭素化促進事業)の認定制度を創設することが盛り込まれました。

 地方公共団体が定める地球温暖化対策の実行計画に、施策の実施に関する目標を追加するとともに、市町村は地域脱炭素化促進事業について、促進区域や環境配慮、地域貢献に関する方針等を定めるよう努力することとしています。市町村から実行計画への適合等の認定を受けた地域脱炭素化促進事業に対しては、関係する行政手続きのワンストップ化などの特例が導入されます。地域課題の解決に貢献する地域脱炭素化促進事業に市町村が積極的に関与することで、地域内での円滑な合意形成を図りやすくする基盤を整えていくとしています。

 

排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進

 2006年より、温室効果ガスを多量に排出する企業に対し、温室効果ガス排出量の算定と国への報告を義務付け、国は報告された情報を集計し、公表する制度が導入されています。改正案では、この算定・報告・公表制度について、電子システムによる報告を原則化し、報告者と情報利用者の双方にとって利便性の向上を図るとしています。

 また、開示請求の手続きを不要とし、公表までの期間を現行の「2年」から「1年未満」とすることで、企業の排出量情報について、より迅速かつ透明性の高い形での見える化を実現し、企業の脱炭素経営に向けた取り組みを促進する方針です。

 

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について

http://www.env.go.jp/press/109218.html