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政府 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 重点14分野の目標と工程表を提示

政府は、菅義偉首相による「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」との宣言を受け、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を昨年12月25日に策定しました。脱炭素化に向けた民間投資を後押しし、「経済と環境の好循環」につなげるための産業政策で、特に成長が期待される重要分野として14分野が掲げられています。今回は、このうち住宅・建築物に関連した内容についてまとめました。

 

発電量の再エネ比率を5~6割に引き上げ

 「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」は、温暖化への対応を成長の機会と捉える時代に突入したとの国際的な認識の下、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて策定されました。政府は、この実現への取り組みを、産業構造や社会経済の変革を通じた大きな成長につなげるべく、民間企業が保有する240兆円におよぶ現預金の活用を促し、雇用と成長を生み出すとしており、2050年で年額190兆円程度の経済効果を見込んでいます。また、電力部門の脱炭素化は大前提とした上で、産業・運輸・家庭部門の電化により、2050年の電力需要が現状から30~50%増加するとの試算に基づき、発電量に占める太陽光を中心とした再生可能エネルギーの比率を約50~60%に引き上げることを参考値として示しました。

 本成長戦略では、今後の産業としての成長が期待され、温室効果ガスの排出削減の観点からも取り組みが不可欠な14の分野を重点分野と定め、実行計画を策定しています(図1)。実行計画には、年限を明確化した目標が盛り込まれ、規制改革・標準化、金融市場を通じた需要の創出と、民間投資の拡大を通じた価格低減に政策の重点が置かれています。また、成長を実現する上で鍵となる重点技術について、2050年までを時間軸として、研究開発フェーズ、実証フェーズ、導入拡大フェーズ、自立商用フェーズに分けて工程表が提示されました。

 

21世紀後半早期にストック平均でZEHを実現

 住宅・建築物分野は、家庭・業務部門のカーボンニュートラルに向けて鍵となる分野として、重要分野の一つに掲げられました。

 この中で住宅について、政府が掲げてきた「2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上でZEH」という目標について、2019年度の実績が2割にとどまっており、目標到達が難しいとの見通しを示しました。また、現状の課題として、供給サイドにおいては、中小工務店における省エネ住宅の取り扱いに関する体制や能力、習熟度の向上を、需要サイドにおいては、既存住宅の省エネ性能向上に掛かる費用負担、消費者のメリットに対する理解度の低さなどを挙げています。

 今後の取り組みとしては、「2030年までに新築住宅の平均でZEH」に加え、「今世紀後半の早期に住宅のストック平均でZEH」を新たな目標として示しました。その上で、当面は省エネ性能が高い住宅や省エネ改修に対する政策支援により自立的な普及への環境を整備しつつ、普及状況を踏まえ、省エネ基準適合率の向上のため、更なる規制的措置の検討の必要性を示唆しています。更に、基準等の見直しにより省エネ性能の向上を図るとともに、屋根の耐荷重が小さい既存住宅・建築物や、壁面や窓などにも設置可能な次世代型太陽電池の開発を念頭に、太陽光発電等の再エネ導入を促進する制度整備を行うとしています。

 

木造による中高層建築物の普及・拡大へ

 建築物については、化石燃料の使用量および二酸化炭素の排出量の抑制の観点から、再生産可能かつ炭素の貯蔵機能を持つ木材の積極的な利用を図ることが必要であるとして、木材利用の促進に積極的に取り組むことが盛り込まれています。特に、木造の割合が1割未満にとどまっている非住宅の中高層建築物において、木造を普及させるため、CLT等の新たな部材を活用した工法等や木造技術の普及と、設計者の育成を課題に挙げています。今後は、先導的な設計・施工技術を用いた、実用的で多様な用途の木造建築物等の整備に対して引き続き支援を行うほか、中高層建築物の設計に関する情報ポータルサイトの整備および設計者の育成を支援していく方針です。

 このほか、断熱サッシや高効率エアコン等の普及拡大のため、官民で連携して価格低減を図るとともに、機器・建材トップランナー基準の大幅強化を行うことなどが盛り込まれました。

図は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」より

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201225012/20201225012.html