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経営方針発表会特別講演収録 新生ナイスグループの今後の方針と取り組みについて

 
 
 
 
信用と信頼の回復に努める

このたび、当社に生じた一連の事象につきまして、大変なご心配をおかけしております。現在、再発防止策を着実に進めており、経営陣の意識改革、法令順守を宣言し、経営体制を刷新して再発防止策を着実に実行するとともに、当社グループの再生に向けて全力で取り組むことをコミットさせていただきます。「すてきナイスグループの経営陣はいかなるときも法令を遵守し、ステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めますとともに、企業価値の向上を目指して果敢に挑戦し、ナイスグループの再生を果たすべく、全力で取り組んでまいります」と、この場を借りて宣言させていただきます。倫理観、価値観、考え方、意識など、これまでに培ってきた当社グループのアイデンティティーをゼロベースで見直し、その上で新たな未来を描いてまいります。その中で、「将来に残すべき良いもの」については、未来への礎として大切に育てていきたいと考えております。
2020年、当社グループは創業70周年を迎えます。この記念すべき年を、「新生ナイスグループ誕生の年」とするべく、販売店様、工務店様、仕入先様をはじめ、あらゆるステークホルダーの皆様の信用と信頼を、1日も早く、着実に回復できるように全力を尽くしてまいります。

 

ガバナンス強化により強固な経営基盤を確立

今回の事象が発生した要因には、二層構造によるガバナンスの機能低下、一戸建住宅事業の急激な拡大、マーケティングが不十分なままでの海外住宅事業への進出、以上の3点があると分析しています。その上で、当社グループがまずなすべきことは、改善計画等の策定と実行を通じて、ガバナンス体制を全力で再構築することにより、将来にわたって持続可能な経営基盤を確立することだと考えています。皆様からの信用と信頼を取り戻し、早期に会社を再生するためには、透明性と誠実さを持った企業風土の構築が急務だと感じています。コンプライアンスの意識を醸成し、公正な判断ができる、風通しのよい企業風土の構築を推進していきます。
二層構造によるガバナンスの機能低下を解消するべく、すてきナイスグループ㈱がナイス㈱を3月31日付で吸収合併するとともに、社名をナイス株式会社へと変更する方針を決定しました。当社グループは、2007年に持株会社体制へと移行しました。しかし、実際には中核事業会社であるナイス㈱の運営に偏重し、様々な手続きが煩雑化してコストアップするなど、二層構造となっていました。ガバナンスの強化と収益構造の再構築を推し進めるためにも、この二層構造を根本的に解消し、改めてシンプルで分かりやすいグループ体制とすることが極めて重要だと判断しました。

 

需要を確実に捉えて明るさが見られる年に

世界情勢においては、昨年後半から米中関係をはじめ不安な動きが多く見られました。新年早々には中東の緊張が急激に高まるなど不穏な動きを見せたことで、世界経済には減速感が広がっています。ただし、米中は1月15日に「第一段階の合意」について正式に署名するなど、地政学リスクは緩和傾向にあります。国内においては、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京五輪)が開催されます。日本銀行は、現在の大規模な金融緩和策を維持することを決定し、2020年度の成長率見通しについては0.2ポイント上方修正し、0.9%と予測するなど、景気が好転するとの見通しを示しています。
こうした中、当社グループとしては追加経済対策の効果や、東京五輪の関連需要による経済効果、更に個人消費についても雇用・所得環境が改善していることなどから、総じて明るさが見られる1年になると考えています。新設住宅着工戸数については、おおよそ85万戸程度と予測するものの、東京五輪に伴う稼働日の減少や物流などの影響が顕在化した場合、82万戸程度にまで下振れする可能性を懸念しています。また、住宅資材市場は、地域格差はあるものの、一定の駆け込み需要が見られた昨年と比較すると、総じて減少傾向にあると見込んでいます。
ただし、新築については依然として85万戸程度の着工が見込まれています。また、リフォーム市場について、国は2025年までにその市場規模を12兆円とする目標を掲げており、将来にわたって着実に市場規模を伸ばすと考えられます。リフォームのみならず、既存住宅流通などの住宅ストックビジネスは、今後も様々な施策の後押しが期待される、成長が期待できる分野と言えるでしょう。更に、木材を切り口とした非住宅分野の広がりや、省エネ・断熱に対する施策とニーズの高まり、自然災害に対する国土強靭化施策等の拡大が見込まれており、これらの需要を最大限に取り込むことで、期待のできる1年になると考えています。また、東京五輪の関連施設に木材が多用されたことが、今後更なるプラスの効果を生み出すことも期待しています。
今年注視すべきキーワードとして「5G」があります。現在の4Gに対して約100倍の速さの通信が可能な「5G」は、多数が同時に接続でき、リアルタイムに近い通信が実現できます。これにより、働き方も大きく変革するでしょう。距離に関係なく付加価値の高い仕事が可能となり、居住地域は大きく変化する可能性があります。住宅業界においても、お客様への提案の仕方や、住まいに求められる立地、仕様、機能など、これまでの常識が全く通用しなくなるかもしれません。

 

ESGとSDGsを経営基盤の核に

こうした時代において、現在、企業活動に求められているのはESG※1であり、SDGs※2です。昨年の台風15号および19号をはじめ、日本各地で自然災害が頻発・激甚化しています。地球温暖化の影響とも言われ、「脱炭素社会」の構築に向けて、企業としても真剣に取り組まなければならないと痛感しています。
国は昨年、今世紀後半までの長期の取り組みとして、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を策定し、長期的なビジョンとして、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」を今世紀後半のできるだけ早期に実現することを、G7で初めて掲げました。パリ協定では、家庭部門において2030年までに「2013年度比で温室効果ガス排出量を39%削減する」ことを掲げています。この達成に向けて、私たち住宅業界は、新築住宅における省エネ基準適合の推進、既存住宅の断熱改修などを推進していく必要があります。
住宅の省エネ性能を高め、断熱性を向上させることは、人の健康にも大きな影響を与えることが明らかになってきています。当社グループでは、これからも健康と環境にやさしい家づくり「スマートウェルネス住宅」について継続して取り組んでいきます。
また、平成の時代は、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震と3つの大きな震災を経験しました。首都直下地震は今後30年以内の発生確率が70%、南海トラフ地震は70~80%と予測されています。令和の時代になっても大地震の発生は切迫した脅威であり、住宅の耐震化は依然として大きな課題の一つです。国は今年までに住宅の耐震化率を95%に、2025年までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標として掲げています。平成の震災ではっきりしたことは、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅は建て替えを進め、2000年の改正以前の新耐震基準で建てられた住宅は、耐震診断を実施した上で、必要であれば耐震補強を進めなければならないということです。住宅事業に携わる私たちにとって、住む人の命を守る家づくりは普遍的な社会的使命だと捉えています。当社グループは、今後も引き続き住宅の耐震化に向けた活動を継続するとともに、耐風性能の向上、太陽光発電システム・蓄電池の導入の促進をはじめ、地域コミュニティーにおける共助の支援など、激甚化する自然災害全体への対応に取り組んでいきます。

※1 ESG:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字で、企業経営や成長においてこれらの非財務情報を重視する考え方
※2 SDGs(Sustainable Development Goals):2030年までに達成すべき環境や開発に関する17の目標

 

パートナー企業とともに非住宅と既存住宅を強化

当社グループは、住まい・暮らしを取り巻く事業として、川上から川下まで、幅広い機能を有しています。改めて、建築資材・住宅セグメントの垣根を取り払い、真の意味で総合力・シナジーを発揮することで、新しいお役立ちを積極果敢に行っていきます。その上で、建築資材セグメントについては、収益力の強化を見据えながら「国産材の利用拡大と木材販売」「取引先様とのパートナーシップ」「木造非住宅分野への取り組み」「ストック市場への取り組み」の4点を、新たな事業方針として掲げました。
このうち、「国産材の利用拡大および木材販売の拡大」については、唯一の再生可能な建築資材である「木材」の利活用を更に促進することで、事業の拡大を図るとともに森林資源の循環利用へ貢献していきます。2010年の公共建築物等木材利用促進法の施行以来、木材の利活用に対する関心が民間にも波及しています。更に、今年度には初めて森林環境譲与税が自治体に向けて配分され、2020年度については配分額が当初予定の200億円から400億円に倍増となるほか、全額の600億円が配分される時期も2024年度に前倒しが決定されるなど、木材利用は更なる追い風を受けています。当社グループは、全国の優良な製材事業者様やプレカット事業者様との強力な関係性により、品質・価格・供給の3つの面で安定した国産製材品をコーディネートでき、非住宅の木造化・木質化に必須となるJAS製材品や、森林認証材を全国47都道府県から調達する仕組みを構築しています。今後は、これらの取り扱いを更に強化することで、皆様からのご要望にお応えしていきます。
木質化に役立つ商材についても、商品開発・販売を強化していきます。現在、南九州を中心に生育する「飫肥スギ」の大径木の赤身部分だけを用いた「ObiRED(オビレッド)®」や、軟らかい針葉樹の無垢材の表層部を特に高密度化することで、素材としての硬さや強度、形状安定性を高めた「Gywood(ギュッド)®」を展開しています。これらに加えて、環境に優しく、職人の手仕事で表現される深い味わいがあるしっくいに、ヒノキの木粉と精油を入れ込むことでヒノキの香りをもたせた「ヒノキのしっくい」など、国産材の利用拡大への貢献を目指し、新商品の開発を精力的に行っていきます。
都市部の木質化という点では、新築需要はもちろん、既存建築物の木質化という需要もあり、大きな市場があります。内外装の木質化に加え、木塀など幅広く取り組んでいきます。また、今春には国産材をリフォームの一部に活用することで金利を優遇する新たなリフォームローンの準備を進めていますのでご活用下さい。
続いて、「取引先様とのパートナーシップ」についてです。販売店様とメーカー様、建販商社様、木材問屋様とナイス㈱によるネットワークであるナイスパートナー会は、現在、1,000社以上の企業様に加入いただいています。今後、会員企業様と今まで以上のより強固な関係を築き、ともに発展していきたいと考えています。
また、工務店様の日々の活動をサポートするサービス「ナイスサポートシステム」は、集客活動から商談、設計、顧客管理に至るまで、販売店様・工務店様のあらゆる業務に対応しており、現在は約2,000社にご利用いただいています。そのメニューの一つとして、販売店様・工務店様の環境配慮型の家づくりをお手伝いする「戸建て住宅パッケージサービス」を提供しています。これは、省エネ・創エネ・蓄エネ・IoTといった複雑化する高性能住宅の商材を1冊にまとめた標準仕様書や価格表が、自社の家づくりの特徴を盛り込みながら、自社名義にカスタマイズして作成できるというサービスです。こうしたカタログ等で興味を持ったお客様は、より詳細な情報を調べようと、その会社様のホームページを検索します。ナイスサポートシステムでは、そのホームページの作成や公開後の更新も行っているほか、月間で約10万件の閲覧がある住まいづくりの情報サイト「e-house」内にリンクを掲載することができ、お客様との出会いに向けた総合的なサポートを行っています。
次に、「木造非住宅分野への取り組み」についてです。建築物の木造化率は増加傾向にある一方で、5階建て以下の建築物の木造化率は10%程度にとどまっています。ここには、現在の持ち家に匹敵する規模の潜在市場があると考えています。販売店様や工務店様、設計事務所様、ゼネコン様と協力し、こうした建築物の木造化・木質化の需要に対応していくために、皆様からの最初の相談窓口となるファーストコールセンターとして、「木造テクニカルセンター」を設置しています。こちらを窓口としてご要望を受け、当社グループが持つ設計・開発力、木材調達力、生産加工力、施工力により、皆様の非住宅における木造化・木質化の取り組みを強力にサポートしていきます。施主様や施工主様のニーズに応じて、元請けとして全てを建築、あるいは木工事部分だけを施工、更には部材調達のみ、構造設計のみといった、フレキシブルな対応が全国で行えるのは当社グループをおいてほかにはありません。施主様となる行政や、設計を担当する設計事務所様、生産・加工を行う製材事業者・プレカット事業者様、流通を担う販売店様、施工を担当する工務店様、ビルダー様、ゼネコン様の皆様とともに「ウッド・ビルディング・ネットワーク」を構築し、ともに取り組んでいきます。
最後に、「ストック市場への取り組み」について、現在、日本の住宅ストックは約5,000万戸とされていますが、このうち断熱性能において現行基準を満たすものは、わずか7%しかありません。つまり、4,500万戸以上の住宅は断熱性能が不足しているということです。高血圧の予防といった健康リスクの低減に、高断熱で暖かい住環境が貢献するということが最近の研究で明らかになりつつあり、超高齢社会の日本において大きなマーケットがあります。こうしたリフォーム需要を獲得するために、当社グループでは「リフォームパッケージサービス」をご提供しています。これは、断熱やエネルギーなど、リフォームのテーマに応じた商材をパッケージ化して、消費者にご提案しやすいように1冊のカタログとしてまとめたものです。ナイスサポートシステムの会員企業様へは、社名を入れたデータを無料で提供しています。
このうち、断熱リフォームについては、改修が大がかかりとなり引っ越し等が伴うため、おすすめしにくいという意見が聞かれます。そこで、施工性に優れて住まいながらできる断熱リフォーム商材の取り扱いを強化しています。その一つ、「あったかMADO」は既存のサッシ枠を生かしながら窓回り全体の断熱性能を向上させる新しいカバー工法による窓リフォーム商品で、標準的な窓であれば1時間程度で施工できます。また、床下の断熱リフォームについても、床をはがすことなく施工ができる商品を材工で供給していきます。
更に、高齢者の中には資金面等からリフォームに踏み切れないという方がいます。そこで、「リバースモーゲージ型住宅ローン」を提供しています。これは、60歳以上を対象に、自宅を担保に住み替えや建て替え、リフォーム、住宅ローンの借り換えの資金を融資するというものです。融資期間は無期限で、毎月の支払いは利息のみとなります。元本は生前に一括で返済するか、もしくは亡くなった時に担保物件を売却して返済することができます。ぜひご活用下さい。

 

住宅ストックへの取り組みを強化

住宅セグメントについては、ストックビジネス分野、マンション部門、一戸建住宅部門の事業方針について説明します。当社グループには、ストックビジネスを担う部門として、既存住宅の流通を担うナイス㈱住宅事業本部情報館事業部、マンションや一戸建住宅の管理、修理営繕、リフォームを行うナイスコミュニティーグループ、賃貸管理を行うナイス賃貸情報サービス㈱、法人仲介を行う横浜不動産情報㈱、そして、エリア密着のCATV会社であるYOUテレビ㈱を有しています。これらが相互に連携することで、既存住宅に関するあらゆるお悩みに対するソリューションを提供し、事業の拡大を図っていく考えです。これまでに当社が供給したマンションや一戸建住宅をはじめ、管理物件、YOUテレビ視聴世帯数などを合計すると、当社グループと関係するお客様は延べ38万世帯を超えています。このお客様が、当社のストックビジネスにおける非常に大きな財産となります。ストックビジネス各部門の業績は右肩上がりであり、今後の更なる成長が期待できる分野と言えます。
マンション部門について、当社グループは2015年から自社で供給する全てのマンションを免震構造とし、ブランド名「ノブレス」として展開しています。当社グループはこれまでに、全国で75棟の免震マンションを供給し、首都圏では49棟とナンバーワンの実績があります※3。地震への備えという観点から、引き続き免震構造を原則とし、土地の形上といった条件によっては耐震等級2の耐震構造を採用していきます。その上で、好立地を厳選の上で安定した供給戸数を継続して確保していきます。
最後に、一戸建住宅事業については、収益モデルを再構築するために、ビジネスモデルと管理基盤の見直しを実施していきます。具体的には、地域特性に応じたエリアごとの商品開発、年間の新規着工数・計上戸数の安定化と平準化、用地仕入れ時に適正な在庫水準を管理する仕組みの整備、配棟計画や許認可の取得時の地域特性に基づく企画の重視、開発行為継続の是非における基準の明確化、そして、顧客接点を重視した販売などについて取り組んでいきます。このうち、商品開発については、これまで本社の設計部門において画一的に全国の一戸建住宅商品の仕様・設備等を決定していたことを改め、地域の特性に合わせた商品開発へと移行していきます。ただし、「将来に残すべきもの」として、耐震等級3の確保、パワービルド工法の標準仕様、長期優良住宅、国産材の活用、「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」の取得については、今後も全国共通のスペックとして継続していきます。

※3 首都圏供給棟数実績1位/東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部(筑波地区、土浦地区)(対象期間:1996年1月~2019年10月15日/茨城県、栃木県、群馬県、山梨県(対象期間:1996年1月~2019年6月30日)◎データ資料:MRC調べ(2019年11月20日現在)

 

新生ナイスグループ誕生の年に

新生ナイスグループにとって何よりも重要なことは、これまでに述べた事業方針や経営方針、戦略などに、ESGとSDGsの考え方をしっかりと反映させていくことだと考えています。これまで、「耐震」「健康」「環境貢献」、そして「木材利用の拡大」を重要なテーマとして事業に取り組んできました。今後は、「理念の追求」にとどまることなく、収益性をしっかりと確保しながら、ESGの視点からバランスの取れた事業運営の推進を図っていきます。
当社グループは今年、創業70周年を迎えます。皆様の長きにわたるご支援に改めて感謝申し上げます。本年を「新生ナイスグループ誕生の年」と位置付け、全力で信用と信頼の回復に向けて取り組んでまいりますので、変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。