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2020年の日本経済の見通し ナイスビジネスレポート編集部

2020年の幕が開けました。昨年の日本経済は、国内においては台風をはじめとした自然災害や、消費税率の引き上げ等に影響を受けたほか、更に海外においては米中貿易摩擦が深刻化したことなどにより、不透明さを増しました。2020年はどのような1年になるのか、現況を踏まえながら景気の先行き等をまとめました。

 

「緩やかな回復」との景気判断は維持

政府は昨年12月20日、2019年最後となる「月例経済報告」を公表しました。月例経済報告は、内閣府が景気動向指数に基づき取りまとめるもので、閣議を経て毎月公表される政府の公式な景気判断です。個人消費や民間設備投資、住宅建設をはじめ、経済全般の総括的な動向のほか、先行きの見通しやリスク要因などについて述べられています。
本報告において、政府は「景気は輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」との判断を示し、前月の「輸出を中心に弱さが長引いている」から表現を後退させたものの、基調判断としての「緩やかに回復している」については維持しました。
住宅建設については、「持ち家の着工は、横ばいとなっている。貸家の着工は、緩やかに減少している。分譲住宅の着工は、おおむね横ばいとなっている」とし、持ち家については前月の「弱い動き」から上方修正しました。先行きについては「当面、弱含みで推移していくと見込まれる」と、従来の判断を継続しました。

 

3年ぶりの大型経済対策を実施

政府は12月5日、事業規模26兆円、財政支出13.2兆円におよぶ、2016年8月以来3年ぶりとなる大規模な経済対策を閣議決定しました。政府は、「GDPは名目・実質ともに過去最大規模となった一方で、海外発の経済の下方リスクには一層注意が必要であり、内需が下押しされることがないようにあらかじめ万全の対応が必要な状況にある」ことを経済に対する基本認識として示しています。その上で、この経済対策では、「災害からの復旧・復興と安全・安心の確保」「経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援」「未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上」を三本柱として、年度の補正予算と、翌年度予算を一体として編成する「15カ月予算」の考え方のもと、東京オリンピック・パラリンピック競技大会後も経済成長が持続可能であるという展望を切り拓くことが目指されています。政府は、この経済対策によるGDP押し上げ効果をおおむね1.4%程度と見込み、2019年度の実質GDP成長率を0.9%程度、2020年度を1.4%程度とする見解を示しています(図1)。

 

新春から景気は好転する見通し

政府が昨年12月9日に公表した2019年7~9月期のGDP統計の2次速報値は、民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備など、国内需要については全ての項目が1次速報値より上方修正され、前期比0.4%増(年率換算で1.8%増)と、4四半期連続でプラス成長となりました。これらを受けて、民間シンクタンク各社は2019年度見通しを上方修正し、+0.8~1.0%と予測しています(図1)。一方で、消費税率引き上げ後の10~12月期の落ち込みを懸念する意見も出てきています。
消費増税の駆け込み需要および反動減について、日本銀行は11月1日に公表した「経済・物価情勢の展望」において、非耐久財では消費増税前の9月末にかけて相応の規模で需要増があったと指摘する一方で、耐久財については限定的だとしました。先行きの展望としては、非耐久財では、目先、比較的大きめの落ち込みがあるものの一時的なものにとどまる可能性が高いとしています。また、買い替えサイクルの長い耐久財や住宅着工については、需要増加の規模が小幅であったことを踏まえると、反動減に起因する下押し圧力も、前回対比で限定的にとどまると予想しています。
民間シンクタンクにおいても、「中小店舗でのキャッシュレス決済時のポイント還元、プレミアム付き商品券の導入などの増税対策の効果や、雇用・所得の改善、増税後の物価上昇が小幅であることなどにより、落ち込みは2019年中におおむね一巡する見込み」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱※1)と予測されるなど、新春からプラスに転じるとの見方が大勢を占めています(図2)。

 

 

海外リスクは減衰傾向

景気の下振れリスクとして懸念されていた米中の貿易摩擦については、12月13日に米中が「第一段階の合意」に達し、12月15日に予定されていた対中追加関税の第4弾の発動を見送ったほか、一部追加関税を緩和しています。これに先立ち、(一社)日本貿易会は12月2日、大手商社8社が共同で作成した2020年度の貿易見通しを公表しています。これは、アメリカが対中関税引き上げの第4弾を完全実施することを想定した上で、通関輸出について2019年度が前年度比5.0%減の76.7兆円となるものの、ITサイクルの底入れや、高付加価値品への需要増が機械類などの輸出を価格・数量の両面で押し上げることで、2020年度は同3.1%増の79.0兆円に改善すると見通しています。輸出については、引き続き注視する必要があるものの、上向く可能性が高いと見通しています。

 
2020年度下期を補正予算が下支えか

今後の見通しについては、「低空飛行ながら底割れを回避」(㈱大和総研※2)、「消費増税を乗り越え、緩やかな回復が持続」(㈱日本総合研究所※3)、「内外リスクが徐々に後退、日本経済は底入れへ」(SMBC日興証券㈱※4)など、総じて底堅い推移を見通しています。
2020年度後半には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会による景気押し上げ効果がなくなることに加え、各種経済支援策の終了といったリスクがあるものの、先述の大型経済対策が下支えすることが期待され、今年は回復基調が持続しそうです。

 

 
※1出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱「2019/2020年度短期経済見通し」(2019年12月9日発表)
※2出典:㈱大和総研「第203回日本経済予測(改訂版)」(2019年12月9日発表)
※3出典:㈱日本総合研究所「2019~2021年度改定見通し」(2019年12月9日発表)
※4出典:SMBC日興証券㈱「『2019~2020年度の日本経済の見通し』改訂を発表」(2019年12月9日発表)