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日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 費用負担を抑えた耐震補強プランが最優先

現在、全国の自治体において補助事業が実施されているほか、次世代住宅ポイント制度においても15万ポイントが付与されるなど、住まいの耐震改修については様々な支援がなされています。今回は、木耐協が公表した木造住宅の耐震診断に関する調査結果のポイントについてご紹介します。

 
 
木造住宅の耐震診断補強を推進
 

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(以下、木耐協)は10月18日、耐震診断に関する調査レポートを公表しました。これは、木耐協が2006年4月1日~2019年7月31日の13年4カ月間にわたって耐震診断を実施した、現行の耐震基準への改正前となる1950~2000年5月までに着工された2階建て以下の木造在来工法の住宅のうち、木耐協が耐震診断結果の詳細を把握している27,235棟を対象としたものです。
木耐協は、耐震診断後に実施したアンケート調査の結果として、「耐震補強工事をしない理由」と、「耐震補強工事検討者の予算感と平均施工金額」の2つのトピックについて分析を行いました。

 
 
旧耐震基準は住環境の向上を提案
 

一つ目のトピックでは、「今後、耐震補強工事をお考えですか」という質問に「いいえ」と答えた人に対して実施した、「耐震補強を考えにくい大きな理由はなんですか」という質問に対する4つの回答について集計されています(図1)。この集計結果を分析することで、耐震補強工事の実施に至らなかった要因を分析し、耐震補強工事を普及促進するために必要な方策について提言しています。
集計結果では、「補強費用が高い」が44%と最も高くなりました。これを受けて木耐協は、耐震化を推進するにはまず、費用負担を抑えた補強プランと、負担軽減につながる自治体の補助金やリバースモゲージ等を含めた資金計画の提案が重要になると提言しています。
また、「地震が来たら仕方がない」と考えている人の割合が27%と、全体の4分の1以上を占めました。年代別に見ると、70歳代では36%、80歳代では33%に達し、3人に1人が「地震が来たら仕方がない」と考えていることが分かりました。こうした人に対しては、大地震後に同居していない家族に心配をかけることや、厳しい避難所生活の実態などを伝えていくことが必要だとしています。
「建て替えを検討」しているは、全体では13%、旧耐震基準と新耐震基準の別で見てみると、それぞれ21%と8%と開きがあり、更に、50歳未満では4人に1人が建て替えを検討するなど、築年数や年代に応じて割合が変化しています。
旧耐震基準の住宅は少なくとも築38年以上が経過し、耐震性だけでなく省エネ性能、断熱性能、水回り設備などの点でも満足度が低くなっています。木耐協では、建て替えや住み替えを含めた耐震性の高い住環境を提案することが事業者に求められていると提言しています。

 

 

 

100万円台の資金計画の提案が重要
 

2つ目のトピックとして、「今後、耐震補強工事をお考えですか」という質問に「はい」と答えた方に実施した、「耐震補強工事にかけられるご予算はどのくらいですか」に対する回答から、耐震補強工事検討者の予算感を分析しています。
これによれば、予算を「100万円未満」で検討する人の割合が53%、「200万円未満」が79%と約8割に達しており、100万円台の提案であれば検討者に受け入れやすいと分析しています。
また、耐震補強工事検討者が想定する補強工事の予算と、工事実施者から得られた実施金額の集計についても比較しています。「100万円未満」の回答は、検討者が53%だったのに対して実施者は28%となり、25%の差が生じました(図2)。
この開きを解消するため、木耐協は検討者の住宅と同年代の住宅での施工事例や、一箇所当たりの補強工事金額の目安を伝える等、検討者の予算との乖離(かいり)を減らす工夫が求められるとしました。また、事前に検討者が工事にかけられる予算を確認し、予算内で最大限効果がある耐震補強工事を提案する技術力が必要になると提言しています。

 

 

 

更なる耐震化の促進を

 

政府は、住宅の耐震化率について2020年に95%、2025年には耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することを目標として掲げています。一方、2012年時点での住宅の耐震化率は約82%にとどまっています。現在実施されている次世代住宅ポイント制度においても旧耐震基準で建てられた住宅の耐震化リフォームに対して15万ポイントが付与されるなど、行政により多くの支援がなされています。こうした制度を活用して耐震性を満たさない木造住宅の耐震改修を更に図っていく必要があります。

 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合
 http://www.mokutaikyo.com/dcms_media/other/tyousa_1910.pdf