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国土交通省・環境省・経済産業省・林野庁 2020年度予算概算要求

 2020年度の予算概算要求が8月30日までに各省庁から出揃いました。一般会計の要求総額は2年連続で過去最大を更新し、105兆円程度となる見通しです。今回は、国土交通省、環境省、経済産業省、林野庁の予算概算要求のうち、住宅・建築物、木材等に関連する内容をまとめました。

 

国土交通省
要求額が10年ぶり7兆円超に
 

国土交通省の2020年度予算概算要求によると、国費総額は一般会計で7兆101億円(2019年度当初予算比1.18倍)となりました。7兆円を超えたのは、2010年度の予算概算要求以来10年ぶりとなります。
同省では、基本的な考え方として、豪雨や台風など、相次ぐ大規模自然災害の発生を踏まえ、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を集中的に実施するとしています。また、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会後も経済の好循環を持続・拡大させていくため、社会資本整備や観光先進国の実現、新技術の活用等を戦略的に推進し、生産性と成長力の引き上げを加速することが強く求められているとしています。更に、地方創生の推進により、地域住民の生活の質を向上させる必要性を挙げています。
こうした考え方を踏まえ、「被災地の復旧・復興」「国民の安全・安心の確保」「生産性と成長力の引き上げの加速」「豊かで暮らしやすい地域づくり」の4つを重点化の柱に掲げています。

 

木造住宅・建築物の生産体制整備を支援
 

住宅局関連では、住宅等の資の向上と、住宅産業の生産性および成長力の引き上げ加速に向け、5月に施行された改正建築物省エネ法の周知・徹底等を図るべく、設計・施工事業者等を対象とした講習会の実施等を行う「省エネ住宅・建築物の整備に向けた体制整備事業」に8億円(同1.31倍)を計上しました。また、中小工務店等の連携による長期優良住宅の整備に対する支援を行う「地域型住宅グリーン化事業」に135億円(同1.04倍)、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」には45億円(同1.00倍)が充てられました。
更に、地域の良質な木造住宅・建築物の生産体制の強化等に向けて、木造住宅や都市部における非住宅、中高層の木造建築物の生産体制の整備を図るとしています。そのため、「木造住宅・都市木造建築物における生産体制整備事業」を創設し、5.9億円を計上しました。同事業は、民間団体等が行う大工技能者の確保・育成の取り組みや都市木造建築物を担う設計者の育成・サポート等の取り組みに対して支援します。
このほか、老朽化したマンションや空き家への対策を強力に推進することで、既存住宅ストックの有効活用、既存住宅流通の活性化を目指すとしています。老朽化マンションの長寿命化に資する改修や建て替えなどを行うモデル的な再生プロジェクトを支援する「老朽化マンション再生モデル事業」を創設し、20億円を計上しました。また、地方自治体による空き家の利活用や除却などを支援する「空き家対策総合支援事業」には50億円(同1.52倍)が充てられました。

 国土交通省 2020年度予算概算要求

 
 
環境省
住宅のZEH化の更なる促進を図る
 

環境省の2020年度予算概算要求は、総額で1兆2,630億円(2019年度当初予算比142%)となりました。地域資源の持続可能な形での活用を通した自立・分散型の社会の形成を図る「地域循環共生圏」の創造に向けて、環境問題だけでなく経済・社会的課題を同時解決し、持続可能な社会を実現することを、施策の方針に掲げています。
健康・快適・安全でサステナブルな暮らしの実現に向けては、ライフスタイルのイノベーションを促進するため、住宅におけるZEH化の更なる推進を図るとし、「戸建住宅におけるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化支援事業」に64.5億円(2019年度当初予算63.5億円)を計上しました。

 環境省 2020年度予算概算要求

 
 
経済産業省
ZEH+への支援を継続
 

経済産業省は2020年度予算概算要求で、総額1兆4,292億円(2019年度当初予算比115.1%)を要求しました。このうち、資源・エネルギー関係は8,362億円(2019年度当初予算7,804億円)を計上しました。
住宅・建築物関連では、「省エネルギー投資促進に向けた支援補助金」に595.3億円(同551.8億円)が充てられました。この中で、ZEHより更に省エネ化し、設備のより効率的な運用等により太陽光発電の自家消費率拡大を目指したZEH+を継続して支援するとしています。また、既存住宅の省エネ改修の促進のため、高性能断熱建材や、蓄熱・調湿材といった次世代省エネ建材等の効果の実証を支援するとしています。

 経済産業省 2020年度予算概算要求

 
 
林野庁
「林業イノベーション」を支援
 

林野庁関係の2020年度予算概算要求は、林業の成長産業化と「林業イノベーション」の推進を重点事項に掲げ、合計3,469.7億円(2019年度当初予算比116.0%)が計上されました。
このうち、「林業成長産業化総合対策」には163億円が充てられました(2019年度当初予算額122.5億円)。同対策は、新たな森林管理システムの下で、森林の経営管理を担う意欲と能力のある林業経営者の育成や、経営の集積・集約化を進める地域への路網の整備・高性能林業機械の導入、「林業イノベーション」に向けた取り組み、CLTを含めた木材の利用拡大等、川上から川下までの取り組みを総合的に支援するものです。
「林業イノベーション」とは、ICTを活用して資源管理や生産管理を行うスマート林業を推進するとともに、早生樹等の利用拡大や、生産性の向上や労災防止に資する自動化機械の開発、木質系新素材の開発等に取り組むものです。
「林業成長産業化総合対策」において「林業イノベーション推進総合対策」が創設され、25億円が計上されました(下図)。「林業イノベーション」の取り組みを支援することで、自然状況等に左右され収穫まで超長期を要する林業特有の課題を克服し、生産性・安全性等の飛躍的な向上を図るとしています。

 

 林野庁 2020年度予算概算要求