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改正建築基準法 中層の木造ニーズの拡大に期待

 6月25日に施行された改正建築基準法では、防火関連規制が大幅に見直されました。今回は、前号に引き続き、多様化する木造ニーズへの対応として、木造建築物に係る制限の合理化のうち、中層建築物に関わる内容について一部をご紹介します。

 

防火関連規制の考え方を見直し

 今回の建築基準法の改正では、防火関連規制における主要構造部の制限について、その根本となる考え方の見直しが図られています。
建築基準法では、防火上重要な主要構造部について、火災による火熱に対して一定の性能を確保することを求めています。規模、用途、立地の3つの観点から規制しており、これまではこれらの観点を十分に満たすものとして、一律に「耐火構造」とすることを求めていました(図1左)。
これが、今回の改正では、3つの観点それぞれについて、主要構造部への規制とその他の措置を総合的に講じることで、耐火構造以外も可能としています。耐火構造と同等の性能を有するものとして「性能の高い準耐火構造」を新たに設定しており、設計自由度の拡大が図られています(図1右)。

 

 

中層で木造のあらわしが可能に

 今回の改正では、「性能の高い準耐火構造」が設定されたことに加え、規模の観点からの規制について、木造建築物における耐火構造等としなくて良い範囲が拡大されました。これまでは、高さ13m以下かつ軒高9m以下だったのが、改正後は、高さ16m以下かつ3階以下に変更されました。
また、4階以上についても、耐火構造だけでなく「性能の高い準耐火構造」とすることが可能となりました。そもそも耐火構造は、火災により加熱している間だけでなく、加熱終了後も建築物が倒壊・延焼しないことが求められます。木材は加熱終了後も燃焼が継続する恐れがあることから、木造で耐火構造とする場合は、構造部材を石膏ボードなどで防火被覆しなければなりませんでした。一方、準耐火構造は、倒壊・延焼しないことが求められるのは火災による加熱中のみであることから、木材をあらわしとする燃えしろ設計での木造が可能です。
つまり、今回の改正により、4階以上の中層建築物においても、燃えしろ設計による木造とすることで、梁や柱をあらわしとした、木質感が溢れる空間を演出できるようになりました。
2018年度における住宅以外の建築物の着工棟数を階数別に見ると、3階建ては木造が234棟、木造以外が1,820棟で、木造の割合は約10%にとどまり、4~5階建てでは1%にも満たない状況です(図2)。今回の改正により、新たな木造ニーズとして、これらの中層建築物において木造化、木質化が進むことが期待されています。

 

4階建ては75分準耐火構造で実現

 今回、4階建ての建築物を「性能の高い準耐火構造」として木造で建てる場合の仕様等が示されています。主要構造部の壁や柱などは75分準耐火構造、階段室の壁は90分準耐火構造とすることが求められます。また、防火区画について、随時閉鎖の場合は75分防火設備で床面積の合計200㎡以内ごとに区画し、区画された部分ごとにスプリンクラー設備や自動火災報知設備を設置する、天井の仕上げ材を準不燃材料とするなど、その他の措置を併せて講じることで、木材をあらわしとすることが可能となりました(図3)。
なお、仕様などの具体的な内容については、今回の施行のタイミングで公開されたのは一部にとどまっており、今後、告示等で順次示される予定となっています。

 

 国土交通省
改正建築基準法について
 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000097.html