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「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」閣議決定 今世紀後半「脱炭素社会」目指すと宣言

環境と成長の好循環を実現

政府は6月11日、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(以下、長期戦略)を閣議決定しました。現在、気候変動問題という地球規模での喫緊の課題に対し、世界全体で温室効果ガスの排出と吸収の均衡に向けた取り組みが加速しています。そのような中、地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」(2015年12月採択)において、全ての締約国に温室効果ガスの削減に向けた長期的な戦略の策定が求められています。これを踏まえ、今回、長期戦略が策定されました。
政府はこの中で、長期的なビジョンとして、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」を掲げ、今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに、2050年までに温室効果ガス排出量の2013年度比80%削減という目標に大胆に取り組むと宣言しています。「脱炭素社会」の実現を掲げるのは、先進7カ国(G7)で初となります。
長期戦略では、基本的な考え方として、ビジネス主導による非連続のイノベーションを通じて環境と成長の好循環の実現が目指されています。そのために、気候変動対応に取り組む企業に世界のファイナンスの流れを向け、グリーン・ファイナンスの推進を図ることが重要だとしています。加えて、イノベーションの成果を国際的に普及するため、ビジネス主導の国際展開や国際協力を図るとしています。

 

カーボンニュートラルなくらしへ
 

長期戦略では、エネルギー、産業、運輸、地域・くらしの各部門におけるビジョンと、それに向けた対策・施策の方向性を示しています。
このうち、地域・くらしの部門では、地域における脱炭素化と、環境・経済・社会を統合的に向上させることでSDGsの達成を図る「地域循環共生圏」を創造し、2050年までに、カーボンニュートラルで、かつレジリエントで快適な地域とくらしを実現することを掲げています(図1)。
具体的な対策としては、カーボンニュートラルなくらしへの転換を図るため、住宅・建築物には太陽光発電の導入が一般的となることを目指すとしています。その際、地域の特性に応じて、電動車やヒートポンプ式給湯器、燃料電池、コージェネレーション(熱電併給)などの普及を図るとともに、HEMS・BEMSやICTを用い、これらが太陽光発電の発電量に合わせて需給調整に活用されることが一般的となることを目指すと示されています。

 


住宅ストック平均をZEH相当に
 

既に、2030年度までに新築住宅及び新築建築物について平均でZEH・ZEBの実現を目指すことが決定されていますが、長期戦略では更に、新築住宅についてLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅を普及させることが盛り込まれました。そして、今世紀後半のできるだけ早期に、住宅やオフィスなど、ストックの平均のエネルギー消費量を正味でおおむねゼロ以下とするために必要となる建材、機器などの革新的な技術開発や普及を促すとしています。
このほか、大工技能者を対象とする省エネルギー施工技術の習得に対する支援などにより、各地域における中小工務店などの省エネルギー住宅生産体制の整備・強化を推進することが示されました。

 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略
 https://www.env.go.jp/press/106869.html