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(一社)ステキ信頼リフォーム推進協会が同時登録 住宅リフォーム事業者団体登録制度・「安心R住宅」制度

 (一社)ステキ信頼リフォーム推進協会はこのほど、住宅リフォーム事業者団体登録制度と「安心R住宅」制度において、国土交通大臣よりそれぞれ事業者団体として登録されました。今回は両制度の概要と、6月6日の同協会の定時総会に合わせて開催された講演会をご紹介します。

 

高い技術力と信頼性でリフォーム事業を創造
 

(一社)ステキ信頼リフォーム推進協会(会長:坂本雄三東京大学名誉教授)はこのほど、消費者にとって安心・信頼できるリフォーム事業者を登録する「住宅リフォーム事業者団体登録制度」と、安心な既存住宅の流通を促進する「『安心R住宅』制度」(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)の両制度において、国土交通大臣より同時に事業者団体として登録されました。これにより、同協会所属の事業者については、建設業登録などをしている事業者(たくみ会員)は国土交通大臣登録の標章が、また、宅建業登録をしている事業者(流通会員)は一定の要件を満たす良質な既存住宅に「安心R住宅」の標章が、それぞれ使用できるようになりました。

 

良質な住宅ストックの「形成」と「流通」
 

日本の住宅施策は、「量の確保」を主流としてきた住宅供給から、「いいものをつくってきちんと手入れをして長く大切に使う」という高品質・長寿命住宅の整備へと、大きく方向が転換されています。
住生活基本計画において政府は、適切なリフォームの実施などにより住宅の価値が低下せず、その魅力が市場できちんと評価されて流通することで、資産として次の世代に承継されていく新たな流れの創出や、耐震性や省エネ性能を満たさない住宅をリフォームすることで、安全で質の高い住宅ストックへと更新していくことなどを目指しています。
これにより、2013年に4兆円だった既存住宅流通の市場規模を2025年までに8兆円に、同じく7兆円だったリフォームの市場規模を12兆円にまで拡大させるとしています。
一方で、リフォーム事業は様々な事業者が担っており、工事内容や技術も高度化、多様化しています。消費者にとっては、事業者の技術力や価格相場等が分かりにくく、気軽に相談できるところが少ないなどといった課題があると指摘しています。また、流通する既存住宅についても、耐震性の有無や、設備の老朽化をはじめ、公開されている物件の情報が充分ではないといった課題があり、「不安」「汚い」「分からない」というマイナスイメージがあるとしています。
これを解消していくためには、既存住宅の質や性能を向上させるとともに、良質な住宅をいかに適正に評価するかが、大切となってきます。住宅関連業界としては、良好なリフォームを推進することにより、消費者に対する関連業界の信頼を醸成した上で、リフォーム事業の透明性や信頼性を確保し、業界の健全な発展につなげることが不可欠となってきています。

 

住宅リフォーム事業者団体登録制度
 

こうした状況を受け、国土交通省は2014年に住宅リフォーム事業者団体登録制度、2017年に「安心R住宅」制度を創設しました。
住宅リフォーム事業者団体登録制度は、要件を満たす住宅リフォーム事業者団体を、「安心リフォームの証」として国が登録・公表するものです。登録団体を通じ、リフォーム事業者の業務の適正な運営を確保するとともに、消費者への情報提供等を行い、消費者が住宅リフォーム事業者を選択する際の判断材料にできるなど、安心してリフォームできる市場環境の整備を図っています。
登録団体は、所属するリフォーム事業者に対して、情報提供や指導、人材育成などを行い、国に対しては、消費者相談や人材育成活動などを報告することが求められます。また、リフォーム事業者は、一定以上の工事についてリフォーム瑕疵保険等に加入する必要があります。
本制度で登録された団体とその団体に所属するリフォーム事業者は、名刺や広告時などに「安心リフォームの証」となる標章を使用できることに加え、国土交通省により、広く公表されることとなります。更に、災害時や補助事業の案内時などにおいては、国土交通省のホームページでリフォーム事業者の検索サイトが設置されるなど、消費者に対して国から適宜情報提供が行われることとなります。

 

 住宅リフォーム事業者団体登録制度
 http://www.j-reform.com/reform-dantai/
「安心R住宅」制度
 

「安心R住宅」制度は、既存住宅の流通促進に向けて、従来のマイナスイメージを払拭し、「住みたい」「買いたい」既存住宅を選択できる環境の整備を目的としたものです。本制度においては、耐震性があり、インスペクションが行われた住宅で、リフォーム等について情報提供が行われる既存住宅取引の広告時に、登録団体より所属する宅建業者に対して標章の使用を許諾するものです。昨年度は、1,266件の既存住宅(一戸建住宅467件、共同住宅799件)が「安心R住宅」として流通しました。
また、6月3日にポイント発行申請の受付が開始された「次世代住宅ポイント制度」においては、「安心R住宅」を購入してリフォームを行う場合には、1戸当たり45万ポイントと、通常よりも15万ポイント多く付与されるなど、優遇措置がなされ、更なる制度の普及促進が図られています。

 

 
 
 
定時総会に合わせて講演会を開催
 

同協会は6月6日、東京都千代田区にて令和元年度定時社員総会に合わせて講演会を開催しました。
同協会の会長を務める東京大学の坂本雄三名誉教授は、挨拶の中で「当協会の活動開始から、間もなく2年を迎えます。このたび、住宅リフォーム事業者団体登録制度と『安心R住宅』制度の事業者団体として同時登録され、活動の基盤を築くことができました。そのほか、3月にはジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2019において、『耐震模型等の啓発ツール活用により官民連携の住宅耐震化普及啓発活動』((一財)強靭な理想の住宅を創る会・NPO法人住まいの構造改革推進協会と共同)が最優秀レジリエンス賞を受賞するなど、多方面から活動を評価いただきました。耐震改修をはじめ、リフォーム技術やコストパフォーマンスは向上を重ねています。リフォームは、将来に対する投資です。引き続き消費者の意欲を刺激するような取り組みを推進し、関連業界の発展に注力していきたい」と述べました。
続いて、国土交通省住宅局住宅生産課住宅ストック活用リフォーム推進官の松井康治氏が来賓として挨拶され、「『安心R住宅』制度は、リフォームの実施、もしくは提案がなされていることが要件の一つとなっています。同協会が両制度に同時登録されたことで、両制度の更なる発展と、より一層のリフォーム促進につながってほしい」と両制度発展への期待を述べられました。そのほか、(一財)ベターリビング常務理事の長﨑卓氏らからも同協会の活動への期待が寄せられました。
講演会では、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科の伊香賀俊治教授による「国土交通省スマートウェルネス住宅等推進調査事業成果報告『住環境における温度と健康の関係』~住まいの断熱化の重要性~」と題した講演などが行われました(講演要旨は7月1日号に掲載予定)。