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特集 ナイスグループ 進む建築物の木造化・木質化

 民間でも建築物の木造化・木質化への取り組みが盛んになっています。ナイスグループではルーツである木材流通をはじめ、建築資材流通や木造一戸建住宅・マンションの供給により培った技術力とノウハウを生かし、多彩なソリューションと独自のネットワークを活用して取引先様の木造建築事業をサポートしています。今回は、ナイスグループが携わった建築事例をご紹介します。

 

ワンストップで木造化・木質化に対応
 

公共建築物等木材利用促進法の施行は、民間の非住宅の木造化にも影響を与えています。木質耐火部材やCLT(直交集成板)をはじめ様々な技術革新が図られたこともあり、2017年度の3階建て以下の低層非住宅の木造化率は2012年度の10.1%から5年連続で増加し、2017年度は14.6%に上昇しています。
ナイスグループは、2015年に新設したナイス㈱建設事業本部を中心に、木造ゼネコン®として非住宅の木造化・木質化を推進しています。その特長は、ワンストップソリューション機能で、木造建築に関する企画・提案をはじめ、実施設計、積算、木材調達、木材加工、施工まで、自社一貫体制によるサポートを実現しています。特に、木材流通事業をルーツとしていることから木材のコーディネート力に強みがあります。47都道府県から森林認証材の調達を可能としており、これは「ウッドデザイン賞2018」において林野庁長官賞を受賞しています。
また、在来軸組工法をはじめ、ナイスグループオリジナルの金物接合による軸組工法「パワービルド工法」、鉄と木のハイブリッド梁による「テクノストラクチャー工法」のほか、㈱シェルターによる「KES構法」、トラス工法、CLT工法など、お客様のニーズに合わせた最適な工法を提案しており、学校から商業施設、高齢者施設まであらゆる施設の建設をサポートしています。

 

川崎市立小杉小学校は、人口が増加する武蔵小杉地区に新設された市立の小学校です。川崎市は、2014年に「川崎市公共建築物等における木材利用促進に関する方針」を制定し、温かみとうるおいのある学習環境づくりのため、小学校等では1㎡当たりで0.01m3の木材を利用することを目標に定めています。本小学校では、同方針に基づき、子どもたちがふれる部分について積極的な木質化が図られています(図1)。更に、外部の天井や壁の一部が木質化されたほか、東側外壁面には木質調のルーバーが設置されるなど、高層マンションが立ち並ぶ街で、周辺の住民にも木の良さが感じられるように配慮されています。木材の総材積は290.96m3、1㎡当たりの木材使用量が0.0255m3に及び、市の目標値の約2.5倍の木材が使われています。ナイスグループは、外部軒天・外壁スギ板、天井スギルーバー、サッシの額縁、カーテンボックス、下地材、内壁ヒノキストランドボード等の木材調達、施工を請け負っています。


 

本建築物は、木造の高齢者複合福祉施設です。昨年4月の有料老人ホーム設置運営基準指導指針の改正により、準耐火構造ではなく一般建築物として建築されています。建物は2棟の居室棟と管理棟、機械棟、介護予防拠点棟からなります。このうち、扇形の特殊な形状の介護予防拠点棟は大スパンに対応する㈱シェルターの「KES構法」、それ以外は「パワービルド工法」が採用されています。適材適所に工法を使い分けることで、建築コストが抑えられています。
屋根は瓦屋根仕様で、建設地の京丹後市は冬場の積雪が1.5mとなり1㎡当たりの雪荷重が450kgにも及ぶため、筋交いの耐力壁を多用することで解決が図られています。
ナイスグループは、㈱シェルターとともに構造設計を担当したほか、木材の調達、加工、施工を担当しています。

 

特別養護老人ホーム久喜ことぶき苑は、延べ床面積4,969.9㎡の大型木造耐火建築物です。建設地は(独)都市再生機構(UR)の共同住宅の跡地で、もともと地下に下水処理のタンクがありました。普通に鉄筋コンクリート造で建設した場合、基礎の杭に影響することが考えられました。また、撤去には約1億円という多額の費用が見込まれていました。この課題を解決するためと、高齢者施設のため入居者にやさしい木を使いたいとのお施主様の希望もあり、木造での建築が検討されました。木造では、地下2メートルまでのタンクの一部分を撤去するだけで建設が可能となることが判明し、採用されました。ナイスグループは、木材の調達・加工・施工を請け負い、合計1,010人工、約3.5カ月の短工期で約5,000㎡の大型木造躯体を施工しています。

 

この建築物は、隣接する西谷保育園の分園として建築されたもので、「パワービルド工法」による木造2階建て、45分の準耐火構造となっています。設計を担当した㈲雄設計室が、園児たちにとって温かみがある木造を提案し採用されました。本園の大きな特徴の一つは、エントランスホールに設置された出節のある奈良県産のヒノキの化粧銘木柱で、園児たちが直接本物の木とふれ合いながら学べるよう配慮されています。
この化粧銘木柱は構造材としても用いられていることから、本物件では構造材を現しとする燃え代設計が採られています。燃え代設計とは、燃え代を省いた有効断面を用いて許容応力度計算を行い、表面部分が燃えても構造耐力上支障のないことを確かめる方法で、通常より柱を太くして対応します。45分準耐火建築物では、構造用製材の燃え代としてプラス45㎜を採る必要があります。

 

ドコモショップベイシア本庄早稲田店は、㈱シェルターの「KES構法」で建築された平屋建てです。同講法は、在来軸組工法では難しい大空間や大スパンといった設計が可能で、本物件でも、最大8mのスパンとなっています。また、室内に壁面が少ないプランのため、方杖形式が採用されています。方杖とは、城郭建築などで用いられる垂直材と水平材がつくる隅の部分を固めるために材の中間から中間を斜めに結んで取り付ける斜材のことで、柱と梁などの取り付け部分が、地震などにより変形するのを防ぎます。本建物では化粧方杖を立体的に表すため、3次元プレカットが施されています。
内装には、国産カラマツの集成材の化粧梁と柱が室内空間を彩るように配されたほか、屋根勾配の垂木や野路合板など木が効果的に現しで用いられています。

 

災害公営住宅「響原復興住宅」は、平成28年熊本地震の復興に向けた災害公営住宅で、(独)都市再生機構が熊本県で手掛けた買取型災害公営住宅の第1号物件となります。平屋建ての10棟20戸で、間取りは2LDKが13戸、3LDKが7戸となっています。土台には九州産のヒノキを用いたほか、柱や束、小屋梁・登り梁、母屋・棟木などの構造材には九州産のスギが用いられ、㈱髙橋建設をはじめ地元企業と連携したナイスグループの木材コーディネート力が発揮されています。内装は、梁が現しとなっているほか、リビングの壁2面は熊本県産のスギの羽目板で木質化されるなど、適度に木が用いられ、入居者の心を癒やす配慮がなされています。