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福岡・新春賀詞交歓会(ヒルトン福岡シーホーク) 住宅業界の市況予測と各社の戦略

 
 
2019年の景気の見通し
 

平田  国際経済や為替動向など、今年の景気の見通しや、新たな動きなどをお聞かせ下さい。
柴田  景気のファンダメンタルは、昨年より若干下がると見ていますが、2つのプラス要因があります。1つは、消費増税の反動減対策が充実したものの、消費税引き上げ前の駆け込み需要の動きは、やはりあると考えています。もう1つは、昨年の不幸な災害により、全国で約12,000戸が全半壊しており、西日本ではこの復興需要があります。IMFは、反動減対策がプラスに働くことで、日本の景気は昨年より良化するとの予想を示しており国内についてはそれほど心配していません。
一方で、IMFによれば昨年の世界経済の成長率は3.7%なのに対し、今年は3.5%です。アメリカ、欧州、中国ともに数値を下げていますが、あくまでも景気の減速であり、後退ではありません。米中の貿易戦争をはじめ、リスクはありますが、両政府ともに一定の成長率はキープするのではないかと考えています。
平田  永大産業さんは昨年、台風21号で大変な思いをされました。
大道  昨年は被災により、皆様に大変ご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。おかげさまで昨年末に生産・出荷体制を正常化させることができました。景気については、昨年末の大手住宅会社の受注を見ると非常に好調で、消費増税前の駆け込みが受注ベースではすでにはじまっていると見ています。西日本については、災害からの復興需要もあることから、新設住宅着工戸数は堅調に推移すると見ています。
平田  ケイミューさんは2月に価格改定を予定しているそうですが。
木村  今回の価格改定には、物流・エネルギー・資材コストの上昇の影響はもとより、屋根や外壁などの部位の堅牢性をより高め、業界の皆様とともに住まいの安全性を改善していきたいとの強い思いを込めています。また、屋根・外壁材の施工は屋外作業のため、労働環境が厳しく、職人に対してきちんと報いていかなければ、この先、外装工事業が成り立たないとの危機感を強く抱いています。たとえば、昨年の風水害では、多くの住宅が屋根にダメージを受けました。現在の修復率は1割程度とも言われており、職人不足が大きく影響しています。こうした状況を改善するためにも、適正な価格改定を進める必要があります。将来的に住宅市場の減少が避けられない中、今回がラストチャンスと受け止めていますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
平田  ダイキン工業さんは昨夏の記録的な暑さの影響が大きかったですね。
舩田  本年度は猛暑ということもあり、家庭用エアコンの出荷は950万台を超える過去最高水準となる見通しです。ただし、人手不足により施工が間に合わずお客様をお待たせしてしまいました。そのため、今年の夏は早めにピークが到来し、昨年の微減程度で需要が望めると考えています。
当社は、海外の売上高が8割を占め、そのうち中国の比重が最も高くなっています。中国では、米中の貿易戦争や金融の引き締めの影響がすでに出ています。更に、中国では従来はスケルトン住宅に空調を設置していましたが、当局よりこれに規制がかかりました。そのため、北京や上海といった都市部で苦戦しており、実際の数値よりも鈍化しているように感じています。
平田  今年の為替の見通しなどお聞かせ下さい。
國井  為替としては、世界的に見てやはり日本は安定しており、円高が進む可能性があると見ています。現在、当社の海外売上高の7割は中国ですが、アメリカ、オーストラリアのほか、20~30年後を見すえてアジアで新たな市場を拓いていくことが必要だと考えています。日本経済にとって最も高いリスクは消費税の増税ですが、キャッシュレス決済によるポイント還元ではむしろ減税となることから、低成長ではあるものの堅調に推移すると見ています。
一方、人手不足問題が顕在化していますが、RPAをはじめ、ロボットによる業務の自動化が進めば若干の余裕が出てくる可能性もあります。そのほか、住宅業界として、災害が頻発することで持家に対する期待が薄れ、若者の住宅離れが生じることを懸念しています。
平田  パナソニックさんは昨年に創業100周年を迎えられ、新たに「くらしアップデート企業」を打ち出されましたね。
西尾  当社の事業は、家電だけでなく、住宅や非住宅の設備商品、自動車関係など多岐にわたっております。創業以来、人の暮らしをより良くしたいとの思いで事業を進めており、これは住まいに限らず、人が過ごすあらゆる空間を意味します。人々の生活スタイルが多様化する中、今後はそれぞれの暮らしの変化に合わせ、「アップデート」することを目指していきます。たとえば、住まいも家電も、一人ひとりの住まい方や暮らし方に合わせ、商品やサービスを更新できるようにしたいと考えています。
景気については、ハウスメーカーの受注状況や、当社のショールームへのご相談の内容から、駆け込み需要はある程度見込めると考えており、上半期は好調に推移し、7月以降に減速すると見ています。
平田  フクビ化学工業さんは新たに高性能フェノールフォーム断熱材「フェノバボード」事業を新たに取得されました。
八木  「フェノバボード」は、フェノール樹脂製で高い断熱・防火性能を有しています。住宅の省エネ化が進む中で、高性能な断熱材が必要になることは疑いなく、今後は、これを当社が展開する「エアサイクルの家」へも使用していく考えです。更に、不燃素材ですから、非住宅分野でも需要があると考えています。市場の高性能断熱材に対する評価はまだ厳しいところもありますが、長期的な視点でランニングコストが下がるということを伝え、普及を図っていきます。
景気については、新天皇の即位などの祝賀ムードやインバウンドの増加の影響を考慮し、強気に考えています。
平田  今回は当社もパネリストとして参加いたします。新社長としての抱負をお願いします。
杉田  皆様からの「絶対的信頼」にお応えするという理念のもと、これまで培ってきたものを継承するとともに、変化にはスピード感をもって対応していきます。
また、当社は今年のスローガンを「素適ワクワク」としました。社内、そして取引先の皆様が「ワクワク」して元気になれるように取り組んでいきます。2020年には70周年を迎えますが、販売店様・工務店様・メーカー様と一緒に、物流、情報、ストックといった機能を共有し、引き続き「連合軍」となって進んでまいります。

 

各業界の注目すべき動向
 

平田  合板の国産比率が高まっていますが、伊藤忠建材さんは今後をどう見通されていますか。
柴田  昨年、あるホームセンターが南洋材合板の取り扱いをやめ、国産針葉樹に切り替えました。国産材への流れは間違いなくあります。現在、国産材比率は約52%で、近いうちに60%程度まで伸張してくると見ています。南洋材については、現地の人件費、搬送コスト、丸太価格の高騰に加え、環境団体などの影響により取り扱いづらくなっており、相対的に国産合板の競争力が高まっているという状況にあります。
平田  不動産市況は数年内に調整局面が来るという意見もありますが、いかがでしょうか。
大道  先述の通り、駆け込み需要が意識され、受注は好調に推移しており、注文・分譲住宅ともに伸張していますが、一方で二極化が進んでいます。エリアでしっかりと取り組まれている工務店様などが伸びていると感じており、当社としても、こうした皆様に商品を採用していただけるよう、商品を拡充していく必要があると考えています。賃貸住宅については、引き続き最低限の需要はあると見ています。空き家問題などはありますが、古い木造アパートは必ず建て替えられます。こうした潜在需要をしっかりと掘り起こしていく必要があります。
また、非住宅分野の開拓と拡販を推進し、専門部署を創設しました。非住宅では、ドアユニット一つとっても、当社標準の製品仕様ではなく、設計事務所様の設計仕様に基づき、特注サイズとなるケースが多々あります。それに対し、いかに生産システムの効率化を進めていけるかが今後の課題と考えています。
平田  職人不足が進む中、サイディングのプレカットへの期待が高まっています。打開策があればお聞かせ下さい。
木村  サイディングプレカットによる現場の合理化に対する期待感は非常に強まっていると感じています。当社は、これまで軽量化によって職人の負荷を減らすことで、生産性の向上に貢献してきました。将来的にプレカットを実現したいと考えていますが、部材の細分化による積載効率の悪化といった課題もあります。当社の事業分野では、外壁よりも屋根材がプレカットに対応しやすいと考えていますので、まず屋根を追求し、屋根と外壁をセットで考えながら、外壁材の生産性の革新を追求していくのが今後の大きなテーマだと考えています。
平田  全館空調と輻射空調が普及しはじめていますが、これに対する評価はいかがですか。
舩田  全館空調は非常に良いシステムですが、工事費がかなりの高額になる点と、熱源が1カ所になるため、故障時には全体に影響が及ぶという欠点があります。輻射空調は、温冷水を流しその輻射熱で温度を調整するものです。風が起こらないため、身体への負荷が軽減され、高齢者などには適しています。ただし、冷房時には結露が発生することと、日本は湿気が多いため、メンテナンス面などで課題があります。
平田  ノーリツさんは持続可能な開発目標、SDGsへの取り組みを進めていらっしゃいますね。
國井  当社は、SDGsの17のゴールのうち、「つくる責任つかう責任」「気候変動への具体的な対策を」の2つを最重点課題として、国内では排熱を再利用した高効率給湯器「エコジョーズ」やハイブリッド給湯器、海外ではタンクレス給湯器の供給を通じて取り組んでいます。また、東京五輪の宿舎に納入予定の給湯器は、機器のリサイクルのみならず、リサイクル作業を障がい者雇用確保につなげることで「働きがいも経済成長も」というゴールにも貢献しようと考えています。当社が持続的に成長するための事業には機会とリスクがあり、SDGsとの関わりを常に認識しています。
平田  エコソリューションズ社さんは4月に社名変更が予定されています。また、大阪万博への展望はありますか。
西尾  当社は、4月1日よりライフソリューションズ社と社名を変更します。次の100年を見すえ、カンパニーミッションを『「A Better Life」を家、街、社会へ広げていく』、カンパニービジョンを『人起点で「くらし」をより良く、快適にする』と再定義しました。それにふさわしい社名として、ライフソリューションズ社としております。
大阪万博については、会場建設費が1,250億円、地下鉄の延伸費用などが730億円とされ、経済効果は2兆円との試算も出され、当社としても大いに期待しているところです。
平田  未来の素材として注目される「セルロースナノファイバー」と「カーボンナノファイバー」について教えていただけますか。
八木  カーボンナノファイバーは、高結晶性の黒鉛からなるナノファイバーのことを言います。当社では、カーボンに関わる取り組みとして、軽量で強度が高いという特長を持つCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を活用し、橋梁をはじめとしたインフラの補修・補強事業の開発を進めています。一方で、セルロースナノファイバーとは、木をナノレベルまで細くし、樹脂に入れ混ぜ合わせることによって強度を高めたもので、木材と樹脂のメリットが生かせます。現在、プラスチックごみが問題視されていますが、各メーカーはリサイクルを進めていますし、当社はしっかりとSDGsに則り取り組んでいると自負しています。
平田  昨年、脱炭素事業部を立ち上げましたね。
杉田  当社でも、震災後に再生エネルギーに取り組もうとエコ推進部を創設しました。今後は、脱炭素社会の構築に関連する木材や商品、施策を推進するという観点から、脱炭素事業部に名称変更し、機能も拡充しました。また、森林環境税と森林環境譲与税が導入されます。森林は、大径材化をはじめ様々な課題を抱えていますが、森林資源の循環を促進するために、皆様と力を合わせて取り組んでいくことが大切だと考えています。

 

各社の方針や注目商品
 

平田  最後に会場の皆様へメッセージをいただければと思います。
柴田  消費増税の経済対策は9カ月間有効な措置です。言い換えれば、増税による反動減が9カ月間先送りになったということです。来年の7月がこの崖に当たり、今年よりも来年の景気が心配です。東京五輪と合わせ、分岐点になる可能性が高いと見ています。
大道  BCPを見直し、万一、災害によって当社事業所が冠水しても長期間工場の稼動が止まらないよう、電気系統やモーター系統の移設、データ復旧対策などを進めています。早期にお客様へご説明できるようにしてまいります。
木村  価格競争ではなく、価値の提案競争が本格化すれば、需要は拡大する可能性はあると基本的に考えております。2年前に発売した「SOLIDO(ソリド)」は、外壁だけでなく、内装など様々な場面で使うことが可能で、素材として高い評価を頂いています。内外装だけでなく、新たな素材をご提案していきます。
舩田  昨年発売したマルチカセット型エアコン「ココタス」は、個室の飲食店など小さな空間での利用が好評でした。当社は、それぞれのスペースにあった空調、湿度コントロールを行う「全室空調」を進めていきます。今回、水捨て不要の除湿乾燥機「カライエ」を発売しました。これからは、住宅と空調をトータルで提案していくことが重要となります。様々なシーンに応じた空調システムをご提案させていただきます。
國井  スマートフォンで入浴者の「見まもり」を活用したヒートショック対策や、スマートスピーカーからおふろ掃除を指示できる給湯器、共働き世帯に向けて自動で簡単に調理ができるマルチグリルなど、機能を追求することに加えて、SDGsと関連する、マーケットだけでなくサプライチェーンも含めた社会課題の解決への取り組みを進めていきます。
西尾  新設住宅着工戸数の減少は避けられませんが、成長カテゴリーはあります。住宅のIoT化、家事の軽減につながるリフォームや既存流通住宅におけるリノベーション、FIT終了後のエネルギーソリューション、こうした分野には成長の余地がありますので、引き続き取り組んでいきます。
八木  樹脂が持つ、軽さや形状の自由性、あるいはほかの素材との親和性、遮音性、断熱性といった性質を発揮し、更に環境にも貢献していける、粒状床衝撃音低減材「サイレントドロップ」のような商品を今後も積極的に開発していきます。
杉田  成長市場である非住宅の木造化、木質化に関する提案を更に進めていきます。また、販売店様の業務効率の改善に役立つソフト「商王」をクラウドで無償提供していますので、ぜひご活用ください。
平田  新たな元号となり、皆様とともに飛躍できる「ワクワク」する年になればと願っています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。