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地震調査研究推進本部・(公社)土木学会 巨大地震の発生確率と被害推計を公表

地震調査研究推進本部
38地点で発生確率上昇
 

 政府の地震調査研究推進本部は6月26日「全国地震動予測地図2018年度版」を公表しました。これは、1月1日を基準日として、その時点で考慮できる全ての地震の位置・規模・確率に基づき、各地点がどの程度の確率で、どの程度揺れるかを計算したものです。今後30年以内に、震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が地図上で示されています(図1)。
2018年度版では、千島海溝沿いの地震、中央構造線断層帯などの四国地域の活断層、日出生(ひじう)断層帯などの九州地域の活断層の一部について新たな長期評価を取り入れるとともに、評価基準日を変更しています。これにより、2017年度版よりも北海道東部をはじめ、多くの地域で確率が上昇しています。全体としては、北海道南東部や仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側及び、糸魚川―静岡構造船断層帯の周辺地域などが高い確率となっています。
各都道府県庁が所在している市の市役所及び北海道の地域振興局における確率では、61地点中38地点で上昇しています。最も高い確率となったのは千葉市の85%で、横浜市82%、水戸市81%と続いています。最も上昇したのは釧路市で、22ポイント上がり47%から69%にまで上昇しています。なお、6月18日に大阪市北区で震度6弱を記録しましたが、大阪市の発生確率は56%でした。

 

 

 
 
(公社)土木学会
巨大災害の経済被害を推計
 

 (公社)土木学会は6月7日、『「国難」をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書』を発表しました。これは、「国難」と呼ばれ得る巨大災害による被害を回復可能な範囲にとどめる方策を示したもので、過去の災害の長期的影響を踏まえて被害を推計し、それを減じるに必要な対策とその経済的効果が示されています。
巨大地震については、阪神・淡路大震災で神戸市が受けた経済活動の被害などを考慮し、20年にわたる経済被害が初めて推計されています。経済活動に与える影響が考慮された結果、南海トラフ巨大地震による経済被害は1,240兆円、同じく首都直下地震は731兆円との推計が示されました。
この「国難」を避けるための具体的な方策として、本レポートでは「高規格幹線道路網の整備」「海岸堤防対策」「港湾・漁港耐震強化対策」「建築物対策」の4点を挙げています。これら4つを行うことで、南海トラフ巨大地震についてはその被害額を約4割以上の約510兆円縮減でき、人的被害についても、4割以上の約14万人程度縮減できるとしています。首都直下地震についても同様に、被害を3分の1程度、約250億円縮減できると推計しています。
「建築物対策」については、耐震化率を100%に引き上げた場合、2013年の耐震化率82%と比較すると、建物崩壊による被害が約20%減少するとしています。非住宅についても同様に、2013年比で16.3%減少するとしており、全体の被害額として約17.8%減少できるとしています。

 「『国難』をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書」