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国土交通省 建築基準法改正を見据えた検討開始 用途変更の円滑化でストック活用へ

今年度内に方向性をとりまとめ
 

国土交通省はこのほど、諮問機関である社会資本整備審議会の建築分科会と建築基準制度部会の合同会議を開催し、建築基準法の改正に向けた具体策の検討を開始しました。
社会資本整備審議会では、国土交通大臣からの「今後の建築基準制度のあり方について」という諮問に対し2012年から審議を行ってきました。同省では、「住宅・建築物の耐震化促進方策のあり方について」という同審議会の第一次答申を受け、2013年に一定の建築物に耐震診断を義務付けるなどの耐震改修促進法の改正を、「木造建築関連基準等の合理化及び効率的かつ実効性ある確認検査制度等の構築に向けて」という第二次答申を受けて、2014年に構造計算適合性判定の対象見直しや木造3階建ての学校を可能とするなどの建築基準法の改正を行ってきました。
今回は、第三次答申に向けて審議が開始されたもので、同審議会にて今年度中に見直しの方向性がまとめられます。これを受けて同省では来年度以降、建築基準法の改正に反映させたい意向です。

 

空き家の転用に向けた課題を整理
 

同審議会では、見直しの主な観点として、①既存ストックの活用、②木造建築を巡る多様なニーズへの対応、③適切な維持管理・更新による建築物の安全性確保の3つを掲げています(図1)。
中でも、議論の中心とされる既存ストックの有効活用については、増加傾向が続く空き家の問題を背景として、保育所や老人ホームなどの福祉施設といったニーズの高い施設への用途変更を促進する方針です。
しかし、現状では、用途変更に当たって大規模な改修工事が必要となる場合や、建築当時は適法であっても現行基準で「既存不適格」の建築物については改修工事自体が困難な場合もあります。また、3階建て以上の一戸建住宅を飲食店などの特殊建築物に転用する場合には、柱や梁などの主要構造部を耐火構造とすることが新たに要求され、現実的には建て替えざるを得ないといった課題を示しています。
このほか、建築物の安全性の確保といった課題を踏まえ、同審議会では建築基準法の見直しに向けた議論を進め、今年度内に国土交通大臣に答申する予定です。

 

 

国土交通省 社会資本整備審議会
第40回建築分科会・第13回建築基準制度部会
http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/house05_sg_000212.html