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「BELS」開始から1年 評価取得件数が大幅増加 外皮と一次エネ消費量への対応が急務に

 建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」の住宅版について、昨年4月の運用開始から1年が経過しました。同制度の評価取得が地域型住宅グリーン化事業など住宅関連補助制度の要件に掲げられたことを背景に、住宅における評価取得件数は大幅に増加しました。今回は、BELSの概要や補助制度など同制度に関連する動きをまとめました。

 

1万5千件超がBELS評価を取得
 

建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」の住宅版は、2020年の住宅における省エネ基準適合義務化を見据え、昨年4月にスタートしました。全国統一の指標により省エネ性能が分かりやすく表示されることで、住宅取得時の判断基準の一つにすると共に、省エネ住宅が適切に評価される環境の整備を目的としています(図1)。
同制度では、省エネ基準(建築物省エネ法)に基づき「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」の2つの指標を用いて、国が指定する第三者機関が省エネ性能を評価します。外皮性能については外皮平均熱貫流率(UA値)の適合の可否が表示されます。また、一次エネルギー消費量については、省エネ基準相当を2つ星として削減率に応じて5ランクに分類され、最高ランクを5つ星とした星の数で表示されます。
住宅における評価取得件数は制度開始より大幅に増加しており、2月末時点で累計1万5,047件に上っています(図2)。

 

 

 

ZEH支援事業でBELS評価が必須に
 

評価取得が大きく増加した背景の一つには、国による住宅関連補助制度の要件に掲げられたことが挙げられます。昨年度は、国土交通省の地域型住宅グリーン化事業において高度省エネ型のゼロ・エネルギー住宅に関する申請書類の一つとして用いられたほか、経済産業省のZEH支援事業及びZEH普及加速事業における審査時の加点要素として用いられました。
今年度においては、地域型住宅グリーン化事業で昨年度と同様に、高度省エネ型の確認に用いられる方針です。また、ZEH支援事業では、申請手続きの柔軟化のため、補助金申請時における外皮計算書とエネルギー計算書の提出が不要となりますが、実績報告書の提出までにBELSの評価取得が求められます。
なお今年度より、ZEH支援事業におけるBELSの活用を踏まえ、BELS評価ラベルにZEHマークを表示することが可能となりました(図1)。これにより、「ZEH」「Nearly ZEH」「ゼロエネ相当」の3つに相当する住宅について、ラベルの表示によって一般消費者がそれぞれの省エネ性能を判別しやすくなります(3月15日号1面で既報)。

 

トップランナー基準も指標を統一
 

建売戸建住宅を年間150戸以上供給する事業者に省エネ性能の目標水準への達成を課す「住宅事業建築主基準(トップランナー基準)」についても、BELSと同様に、「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」による評価方法へ4月1日より統一されます。
これまでは、設備仕様を専用プログラムに入力して算出する一次エネルギー消費量が指標として用られてきました。これからは、外皮性能は省エネ基準へ適合させ、一次エネルギー消費量は省エネ基準から10%削減させる性能が2020年度を目標年度として新たに課せられることになります。この水準は、住宅性能表示制度の一次エネルギー消費量等級の等級5に相当し、BELS評価では3つ星となります。
(独)住宅金融支援機構の「フラット35S」金利Aプラン(10年間金利引き下げ)の利用においてトップランナー基準における「住宅事業建築主基準に係る適合証」は、省エネルギー性に関する基準の確認書類としては3月末をもって廃止となりました。これにかわるものとして今後は、一次エネルギー消費量等級5相当の性能を有することの証明が必要となり、BELSの3つ星以上の評価書はこの性能を確認する書類の一つとして用いることが可能となります。ただし、現場での物件検査において、設計図書通りに施工がなされているかの確認が行われる点に注意が必要です。

 

 

省エネ性能「見える化」をチャンスに
 

4月より、省エネ性能の指標が「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」の2つにいよいよ一本化され、同時に補助制度におけるBELSの活用などにより、省エネ性能を数値で示すことによる「見える化」が本格的に普及しています。
2020年の省エネ基準への適合義務化は、事業者の方々にとって越えなければならない一つの壁である一方、省エネ基準レベルはBELSの2つ星にしかならないのが現状です(表1)。今後、BELSの活用による省エネ性能の表示が一層進むことが予想される中、更に上位の省エネ性能に対応することで、「見える化」をチャンスに変え、差別化を図っていくことが大切と言えます。