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ナイス㈱仙台物流センター事務所棟が竣工 日本初 CLTとRCの平面混構造で建設

 ナイス㈱は3月16日、設計から施工まで自社グループで一貫して取り組んできた、日本初となるCLT(直交集成板)と鉄筋コンクリート造(RC)との平面混構造による仙台物流センター事務所棟の新築工事を竣工しました。宮城県産スギを用いたCLTパネルを現しとして内装に用い、宮城県初のCLT建築物となったプロジェクト内容についてご紹介します。

 

計画を通じてCLT普及に貢献
 

ナイス㈱仙台物流センターの事務所棟は、東日本大震災での6mを超える大津波により壊滅的な被害を受けました。これにより、物流業務のみをプレハブの仮設事務所で継続し、建材・住設機器の取り扱い業務は宮城市場(宮城県黒川郡大衡村)に移管して行ってきました。
事務所棟の再建に当たっては、林業の成長産業化に向けて期待が高まるCLTの活用を機軸に、2013年より計画の検討が開始されました。CLT先進国であるヨーロッパでは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造とCLTとの組み合わせによる木造建築物の高層化・大型化が主流となっています。これを受けて同計画の検討に当たっては、地震大国であり高い水準の耐震性能が求められる日本においても早期の実証が必要であると考え、今後のCLT建築物の普及拡大に寄与するCLTと鉄筋コンクリート造との平面混構造で進められました。
同計画は、CLTの普及に向けた建築物の実証や課題抽出を目的とした2014年度林野庁補助事業「CLT等新たな製品・技術活用建築物実証事業」に採択されており、設計プロセスの実証やCLT及び接合部の強度試験などが行われ、これらの結果はCLTの実用化に向けた基準整備に役立てられる予定です。
様々な試験データをベースとして、2015年には自社グループの構造設計一級建築士により、主にタワーマンションなどの超高層建築物に適用される「時刻暦応答解析」を用いて構造設計が実施されました。構造設計については、国の指定性能評価機関である(一財)ベターリビングの構造安全性能評価委員会での性能評価を経て、昨年3月25日に国土交通大臣認定を取得しています。その後、4月8日に建築確認済証を取得し、同年7月21日に日本初のCLTと鉄筋コンクリート造との平面混構造による建築物が着工されました。
この建物は、建築面積187.65㎡、延べ床面積356.70㎡の2階建てで、1階には12m×8mの事務室、2階には9m×8mの会議室からなる大空間をCLTと集成梁を組み合わせることで実現しています。

 

 

 

宮城県産スギ材でCLTパネルを製造
 

同計画は「宮城県森林整備加速化・森林再生事業」の採択事業として、宮城県の木材産業の振興に寄与するため、CLTを構成するラミナ(挽き板)は全て、「優良みやぎ材※」の認定を受けた宮城県産のスギ材を使用しています。
ラミナの製材は地元の製材事業者である㈱山大様(宮城県石巻市)で、CLTパネルの製造及びプレカット加工は銘建工業㈱様のCLT工場(岡山県真庭市)にて行いました。
今回、壁や屋根には5層5プライで150㎜厚のCLTパネルを128枚、床には7層7プライで210㎜厚のCLTパネルを34枚使用しています(図4)。CLTパネルの使用材積はプレカット前で146.82m3に及んでいます。

 

 

 

※ 優良みやぎ材:宮城県木材協同組合と宮城県森林組合連合会などからなる「みやぎ材利用センター」が定めたJAS規格乾燥材に準ずる「優良みやぎ材製品品質規格基準」により認証された品質の明確な建築用木材製品。
 
 
東北を中心に全国の木材を使用
 

内装については、室外側から断熱材を施工する外張り断熱工法を採用することで、CLTの壁と天井を現しとし、CLTの特長である層状の断面を生かした木質感あふれる空間を演出しています(図2)。
このほかにも、内装材として東北地方を中心とした全国の木材が多用されています。1階の応接室にはクリやカツラ、エンジュなど17種類の東北産の広葉樹を用いたアクセントウォールが設置され、木材の持つ木肌の美しさや色味、香りを楽しめる空間となっています(図5)。
また、1階の事務室や2階の会議室におけるCLTパネル部分以外の開口部回りの壁には、スギやヒバ、カラマツ、アカマツなどの針葉樹が用いられています。

 

 

新たに接合工法を開発
 

CLTパネルの接合については、ナイス㈱が開発した鋼製プレートを用いた新たな工法を採用しています。
CLTパネル同士及び鉄筋コンクリートの基礎部分とCLTパネルの接合については、主として室外側から鋼製プレートで固定することで、室内に接合金物が露出することを防ぎ、CLTの現しによる木質感あふれる空間を壊さないよう配慮されています(図6)。
また、基礎部分の接合では通常、パネルにプレカットされたボルト穴に、基礎に埋め込まれたアンカーボルトを通して接合する引きボルト接合が用いられ、プレカットの際に加工位置や深さなど大変高い精度が求められます。同工事では、鋼製プレートによる接合により、加工手間を省くと共に構造躯体の断面欠損を最小限に抑えています。

 

 

BELSの最高ランクを取得
 

この建物は、CLTの持つ断熱性に加え、木質系断熱材と熱伝導率の低い発泡プラスチック系断熱材を採用し、かつ樹脂サッシと複合ガラスによる断熱窓を組み合わせて用いることで、高い外皮性能を実現しました。
更に、高効率な空調設備や給湯器、照明の制御装置などを設置することにより、省エネ基準からの一次エネルギー消費量の削減率は40%に及んでいます。
これにより、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」において、非住宅の木造建築物として東北地方で初めて、最高ランクとなる5つ星の評価を取得しました。

 

仙台営業所として業務スタート
 

ナイス㈱では、東日本大震災の直後より宮城市場に移管して業務を行ってきた資材事業本部仙台営業所について、4月3日より同事務所棟に場所を戻し、建材・住設機器の取り扱い業務をスタートします。
なお、木材に関する取り扱い業務は、従来通り宮城市場にて行います。