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木と住まいの大博覧会2017東京 木材総合シンポジウム第2弾 健康な住まいのヒント 香る木づかい

 木と住まいの大博覧会では、2月4~5日の2日間にわたり、(一社)木と住まい研究協会の主催で木材総合シンポジウムが行われました。今回は、2月5日に開催されたパネルディスカッション「健康な住まいのヒント 香る木づかい」の内容をご紹介します。

 

 

住まいにもたらす木の効能
 

平田 健康に暮らせる住まいづくりという観点において、木の活用に注目が集まっています。木の効能についてお聞かせください。
鮫島 10年前に東京都から長野県に移住し、現在は薪ストーブのある木造住宅で暮らしています。リビングの床と壁にはカラマツの3層パネルを用いており、ラミナには心材と辺材の両方を使っているため、新築当初は色にばらつきがあ・閧ワしたが、10年が経・゚して色が濃くなり、統一感が出てきました。木の家は、建てた時よりも長い年月を経ることで深みが増す、まさに成長する家です。
リビングは北土間と一体となっており、床には石と木の部分があります。家で飼っている犬たちが寝る場所は木の床の部分で、犬も木の持つ温かみを感じているのだと思います。内装に木を用いることはメンタル面で大変良いと実感しています。また、湿度は冬が40%程度、夏でも60%程度と安定しており、木の特性でもある調湿効果の高さが分かります。
川井 木材は製造過程が省資源で省エネルギーな材料です。大気中のCO2を吸収して成長する木を加工してつくられる木造住宅は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて3分の2程度のエネルギーで済みます。
日本固有のスギは、木目が垂直で重量が軽いという特長があります。また、断熱性や保温性、調湿性に優れ、最近では空気浄化機能があることも分かってきています。スギの持つこれらの機能を最大限に引き出すため、繊維方向に直交して溝(スリット)を施し、木口を多く露出させた「杉木口スリット材」を開発しました。居住空間に使用することで、調湿効果や空気浄化機能が期待できます。
伊香賀 横浜市とナイスグループ、慶應義塾大学との産官学の連携によって、健康と環境に優しい家づくりについて学び、体感できる「スマートウェルネス体感パビリオン」を2015年10月にオープンしました。
外気温5℃、室温21℃の設定で真冬を再現し、高断熱の空間と無断熱の空間が身体に与える影響を比較できる「くらべルーム」で、それぞれ入室60分経過後の血圧を測定した結果、高断熱の空間では無断熱よりも5㎜Hg低下しました。また、両空間ともに床材には塩ビシートと無垢材の2種類を施工しており、高断熱の空間における血圧は無垢材の方が更に5㎜Hg低下しました。
非木質化の空間と内装を木質化した空間との比較においては、木質化した方が睡眠効率は向上し、更にタイピングなどの知的生産性も向上した結果が出ています。このことから、木材を適度に用いた家では、良好な睡眠により健康の維持増進につながることが期待されます。
飯塚 この1年間、ミス日本みどりの女神として活動する中で、木に関・墲髑スくの方々とふれ合う機会をいただきました。「ウッドデザイン賞2016」では、木の特長を生かしたイノベーティブな作品が数多く受賞しました。これまで木とあまり関係がなかった業界の方々とコラボレーションすることで、新たな木の魅力が発信され、今までにない新しい木づかいが生まれています。生活の中でもちょっとした気づかいで、木を取り入れていくことで意識が変わりますし、木には幅広く人と人を結びつける力があると感じました。

 

木づかいの可能性を探る
 

平田 木材利用の更なる普及促進に向け、木の活用の可能性などについてお聞かせください。
鮫島 木は人の五感とのつながりが強い材料であり、内装に多く用いることが有効だと考えています。梁や柱を現しで使うことも効果的だと思います。環境面に優れた素材であり、調温・調湿効果に優れ、子どもからお年寄り、ペットまでを含めて、木には癒しの効果があります。あらゆるところで様々な使い方ができる点が木の一番の特長だと考えています。
海外の方は、日本が世界有数の森林資源国であり、日本が木をどう用いているのかを知りません。木に関する日本の伝統的な技術を今一度見直し現代風にアレンジし、モノづくりに生かして世界に情報を発信していくことが大切です。
川井 木には、温度や湿度の変化を和らげる機能があり、木の持つ香りにも人間に大きな効能をもたらします。スギの場合には、人の心を落ち着かせ、リラックスさせる効果があり、寝室にスギを用いると有効です。「檜舞台」という言葉があるように、ヒノキは精神作用を高揚させる場所に適しているようです。香りは神経系に直接作用するため、生活シーンに合わせて上手に木を使うことが効果的です。
木造住宅は耐震性や耐火性、気密性、断熱性において高い性能を確保することができます。更に一歩進めるためには、健康維持という観点が必要です。日本の気候を考慮すると、湿度管理が最も大事であり、木の調湿機能を生かした家づくりが求められていると思います。
伊香賀 木の持つ効果について・A住宅以外でも幼稚園舎で調査を行いました。無垢材による二重床で弾力性に富み、足ざわりの良い園舎と、コンクリート直張りで複合フローリングを施した園舎とで園児の活動量を比較しました。その結果、足元の温度がコンクリート直張りの園舎では9.2℃で園児が不活発だったのに対し、無垢材の二重床の園舎では17.2℃で園児の活動量も多く、欠席率も少ない傾向が見られました。更にインフルエンザの罹患率も低く、断熱をしっかりと施し木を多用した園舎の方が病気になりにくいと考えられます。
飯塚 ミス日本みどりの女神として日本の林業や森林の現状、魅力を発信する役割を担い、1年間で21の都道府県、4カ国を回りながら多くの貴重な体験をさせていただきました。特に昨年5月に開催されたG7伊勢志摩サミット2016では、海外のVIPの方々へも日本の木の文化の魅力を伝え、大変喜んでいただきました。日本の木の文化は世界的に見ても素晴らしいものです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本の木の文化の魅力が世界に広がっていくことを願っています。
平田 木材と健康を考える中では、暮らしの中で木材を取り入れていくことが非常に大事です。人を幸せにし、森を保全して災害を守り地球温暖化にも貢献するといういいこと尽くしの木づかいを皆さんで一緒になって進めていきましょう。本日は、ありがとうございました。