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建築家・隈研吾氏の設計による木造商店街 南三陸町「さんさん商店街」が竣工

 ナイス㈱が建設に携わってきた宮城県南三陸町志津川地区「さんさん商店街」の移転新築工事が1月23日に竣工し、3月3日に常設商店街としてオープンしました。今回は、世界的な建築家である隈研吾氏の設計で、南三陸町の復興のシンボルとも言える「さんさん商店街」について、建物の概要とナイスグループの取組と共に、オープンに当たり盛大に執り行われたセレモニーについてご紹介します。

 

 

建築家の隈研吾氏によるデザインで再建
 

宮城県南三陸町志津川地区の「さんさん商店街」は、東日本大震災の翌月に地元の事業者の手により始まった「復興市」が前身で、2012年2月に仮設商店街として誕生しました。以降、交流の拠点やコミュニティの再生の場として、多くの来場者で連日にぎわいを見せ、復興を目指す南三陸町の象徴的な存在となっています。
同商店街の移転新築工事は、南三陸町における復興計画「南三陸まちなか再生計画」の一環として実施されたものです。同計画は、・u津川地区と歌津地区の中心部を区域として、安全・安心かつにぎわいのある市街地を形成し、観光客需要を喚起していくことを目的としています。新市街地のグランドデザインは、世界的な建築家で新国立競技場の設計を手掛ける隈研吾氏が担当しています。同氏や佐藤仁町長をはじめ、東日本大震災からの本格復興を世界に示すシンボルとしたいという関係者の強い思いから、グランドデザインの第一歩として「さんさん商店街」が再建されました(図1)。
志津川地区では今後、隈氏のデザインで再生区域と八幡川を挟んで位置する復興祈念公園とをつなぐ中橋(人道橋)が慰霊のための象徴的な空間として整備されます。また、道の駅やバス高速輸送システム(BRT、バス・ラピッド・トランジット)が停車するバスターミナルなどの整備が計画されており、2020年度を目途に新たな市街地が誕生します。

 

海と一体の人間味ある商店街を創出
 

「さんさん商店街」は、海抜10mまでかさ上げされた、海を臨む高台造成地に建設されました。約2万㎡の敷地に木造平屋建てで約450~500㎡の店舗施設6棟とトイレ棟、イベントなどが開催できる多目的スペースで構成されています。
店舗棟は海に向かって設けられたメインストリートを挟む形で配棟されています。各棟を直線状ではなく微妙に角度を変えて配置することで、目の錯覚を効果的に生かし、商店街を訪れた人が南三陸の美しい海との一体感を得られるよう工夫されています。
各棟の建物は、下屋の軒を大きく跳ね出すことで、軒下にも商品を陳列しやすいようにデザインされています(図2)。これは、軒下が店内と外部空間とをつなぐ中間領域となり、伝統的な日本建築に用いられる縁側のように人と人とがそこで交流することで、昔ながらの人間味あふれる商店街の風景をつくることを意図したものとなっています。

 

パワービルド工法で建設
 

今回の移転新築工事において、ナイス㈱は地元の建設会社である志津川建設㈱と山庄建設㈱とで「ナイス・志津川・山庄特定建設工・幕、同企業体」を組成し、代表として施工全体の取りまとめを行いました。
建物にはナイスグループオリジナルの金物接合による軸組工法「パワービルド工法」が用いられています(図3)。同工法は、プレカット加工された柱と梁に接合金物をはめ込み、ドリフトピンで固定する工法で、省施工でありながら、高い耐震性と精度を保ち、かつ短工期での施工が可能です。
同工事においては、各棟の躯体建て方工事は約10日という短期間で実施しました(図4)。

 

 

 

木材をコーディネートして調達
 

ナイス㈱は今回、建設での参画に加え、日本最大規模の木材流通プラットフォームと全国トップランナーの国産材メーカーとで構築する多産地連携システムを生かし、木質化提案と調達の役割を担いました。
今回、来訪者の手に触れる部分には地元の木材をできる限り使いたいという隈氏の意向を受け、その木肌の美しさで知られる地元の「南三陸杉」を外壁及び建物正面に用いられる縦ルーバー、下屋部分のポーチ柱に用いることを提案し、採用されました(図2、図4)。外壁及び縦ルーバーは地元の製材事業者である丸平木材㈱にて製材され、木肌の色味がより美しく出るよう低温乾燥が施されたものが用いられました。また、ポーチ柱は㈱山大にて製品化されたJAS機械等級区分製材品を使用しています。
そのほかの全ての木材についてもナイス㈱がコーディネートし、調達を行いました。地域材で全部を賄おうとすると調達に時間や手間がかかり、生産量も限られるためコストもかさんでくることから、羽柄材には国産のスギ材、構造材には外国産のJAS構造用集成材を使用することで、品質を確保しつつ全体のコストを抑えています。今回使用した木材の材積は、南三陸杉が54.45m3、国産のスギ材が74.88m3に上り・ワす。
・リ材の防腐処理については、南三陸産材を含む雨がかりの部分の全てに、耐候性の高い塗装を施し、劣化対策を講じています。

 

 

盛大なオープニングセレモニー
 

「さんさん商店街」は名前にちなんで3月3日にオープンし、同日には出店する事業者や行政、建築関係者など約150人が参加してオープニングセレモニーが盛大に執り行われました(図6)。東北をはじめ全国からテレビ局や新聞社など、総勢約200人のメディアが取材に訪れ、その注目の高さが伺われました。
セレモニーでは、「南三陸まちなか再生計画」の中核を担う㈱南三陸まちづくり未来の三浦洋昭社長が挨拶を行い、来賓として橘慶一郎復興副大臣や佐藤仁南三陸町長らが祝辞を述べました。その後、隈研吾氏より建築概要について説明が行われました。また、オープン前には関係者らによりテープカットが行われ、同時に実施したバルーンリリースと共に、商店街のオープンを華々しく盛り上げました(図7)。