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新春2大イベント 特別パネルディスカッション 住宅業界の市況予測と各社の戦略【福岡】

 
 
住宅着工戸数と日経平均株価の見通し
 

平田 今年の経済の見通しと日経平均株価、新設住宅着工戸数の予測をお聞かせください。
柴田 消費増税が延期されたにもかかわらず、昨年の住宅着工戸数が約97万戸弱に上がった理由は、歴史的低金利が最も大きく、相続税対策など投資目的による賃貸住宅需要も大きかったと考えられます。今年は93万戸と予想します。
日経平均株価は既に5年連続で上昇しており、2万円と予測しています。
ところで、昨年から合板不足の状況が続いています。供給力の問題もありますが、やはり需要が大きかったことが一番の要因です。需給バランスが徐々に整ってくると考えています。
大道 住宅着工戸数は、少なめに見て1割程度減少の88万戸前後と予測します。というのは昨年があまりに好調で、今年はその反動がくると考えるからです。実際に昨年の秋頃からモデルハウスの来場者数、大手ハウスメーカーの受注数が減少傾向を示しています。分譲は、若い世代の一次取得者層の数が減少している中で、今後厳しさが増すことも考えられます。
賃貸住宅は、昨年大きく伸びており、峠を越えたという見方も多く出ていますが相続税対策などで今後5年くらいは堅調に推移していくと見ています。
日経平均株価は1万4,000~1万5,000円まで落ちると見ています。
野浦 日本国内の景気そのものは悪くないと考えています。日本の企業は過去に様々な試練を乗り越えてきた「地力」があり、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府も公共事業や財政出動をすると思われることから、住宅着工戸数は93万戸程度で推移すると予測します。
日経平均株価は、トランプ大統領次第で大きく変化していくと考えられ、今年は2万5,000円から1万5,000円割れまで、何が起こっても不思議ではないという覚悟で臨むべきだと考えています。
舩田 トランプ大統領の政策次第で、円安に向かえば株高になると考えられ、日経平均株価も2万1,000円程度と見ています。ただし円高に振れれば株価は一時、1万6,000円程度まで下がると見ています。
円安になると輸出企業やグローバル企業は、海外の収益が上振れして株高になり、資金が設備投資にも回ります。雇用情勢も好調で、住宅や建築物の需要も2020年に向けて下がることはないと見ており、日本経済は今後も堅調に推移すると見ています。
住宅着工戸数については、低金利もあって底堅く推移し、92万戸程度と予測します。
國井 世界情勢は非常に不安定だと考えています。アメリカは中長期的には大きな動きが出てくると想定されますが、今年はそれ程大きな変化が表れないと見ています。為替に関しては1ドル112~115円程度で推移すると予測しています。日経平均株価は2万円と予測します。
住宅着工が一番安定しているのが日本であり、政治も経済も同様に日本は安定して堅調に推移すると見ていますが、若い人たちは年金問題などにより先に対する不安があるため、財布の紐は固いのではないかと考えています。住宅着工戸数については93万戸程度と見ています。
中川 住宅着工戸数は、持ち家は低金利が続く中で昨年並みの29~30万戸程度、賃貸住宅はピークアウトしていくと見ており昨年の93%程度、分譲については、首都圏の新築分譲マンションの平均価格が5,900万円と高止まりしていることから昨年の96%程度と見て、93万戸と予測します。ただ、リフォームの需要が堅調に推移することで住宅投資を下支えし、非住宅も堅調であるため、全体的には昨年並の市場規模になるという見方です。
日経平均株価は、トランプ政権が日本経済にとってプラスになるという期待を込め、安倍政権が発足して以降は2015年6月の2万952円が最高値なので、今年はそれを超える2万1,000円と予測します。
八木 貸家は2010年から増加しており、消費増税の影響を受けた2014年でさえも1.6%伸び、昨年もけん引役となりました。一方で、25歳から39歳の人口動態が300万人以上減ることを考えると、これまでのように増加することはないと考えています。人口が減少しているエリアでは賃貸需要は少なくなるため、住宅着工戸数は93万戸程度と予測します。
原油価格は、石油輸出国機構(OPEC)が減産しながら調整をかけ、価格は上がり基調ですが、トランプ大統領がアメリカ・ファーストでシェールガスの開発を進めていくと、原油価格の上昇を抑制する効果になります。原材料や原油を輸入に頼っている日本にとってはプラスと見ています。
日経平均株価は2万円で、今年もナイスさんの714円を足して2万714円と予測します。

 

世界経済や海外事業の取組
 

平田 海外の動向や海外事業の取組などについてお聞かせください。
柴田 アメリカ経済は、トランプ大統領が減税と積極的な財政出動を掲げているため、基調としてはドル高円安になっていくと見ています。中期的に見ると、ドル高によりアメリカの企業は輸出競争力がなくなります。そうなるとトランプ大統領が掲げる国内雇用の拡大にはマイナスになります。そのため、レーガン政権時と同様に、最終的にはドル安円高にせざるを得ない局面がいつか起こると見ています。
大道 当社の中国での売り上げは約4,000億円と、収益面における柱となっています。生活が豊かになったことで家庭用分野における需要の低下は見られませんが、ビル・商業施設については投資が減ってきています。
現在、ベトナムに工場を建設中で、2018年に完成する予定です。ベトナム市場は好調で、人口も9,000万人規模、平均年齢は20代後半で、年々生活水準も上がっています。日本と同様にエネルギーコストが高いため、省エネ性能の高い商品の需要が、今後も伸びていくと見ています。
國井 中国経済は不安定と言われますが、今年は大きな変化はないと見ています。昨年は上海株暴落でマーケットは大混乱しましたが、当社グループの能率中国、櫻花中国(さくらちゅうごく)2社の業績は堅調に推移しました。過剰設備や債務で苦しむ企業もありますが、公共投資が下支えし、中国経済は成長の減速はあっても失速はしないと見ています。

 

市場変化に向けた各社の対応
 

平田 合法木材の利用を促すクリーンウッド法の施行や、リフォーム、非戸建てへの取組など市場の変化に対する各社の取組についてお聞かせください。
柴田 クリーンウッド法とグリーン購入法との違いは、住宅会社やゼネコンなど需要者にまで範囲を拡大した点と、公共建築物だけでなく民間取引も対象にした点が大きなポイントです。全てに合法証明を取るのは現実的には難しいため、合法木材の比率を高め、合法証明が取れないものについては第三者証明、もしくは現地に人を派遣して合法証明に近い書類を提出することを考えています。
今後の木材利用の方向性を示す法律であり、しっかりと対応していきます。業界全体が同法に真摯に対応することが、最終的に日本全体で木材利用の拡大につながると考えています。
大道 クリーンウッド法の施行は、私たちの業界では非常に大きなインパクトを持っており、当社では準備を万全にし100%対応する覚悟で臨んでいます。MDFとパーティクルボードについては、今回は対象から外れると見られますが、3~5年後の見直し時点で対象に含まれてくると考えています。
住宅における木材の合法性証明の手法については、様々な問題点が投げかけられています。全て国産材で賄うことは難しく、輸入材の合法性の証明方法について行政の方針にかかっています。
野浦 軽い屋根の地震に対する優位性が、熊本地震で改めて認識されました。22年前の阪神・淡路大震災の時にも同じ教訓を得ていましたが、時間とともに風化してしまうのが現状です。我々の社会的使命として過去の教訓を風化させてはならないということを改めて肝に銘じ、皆さんと一緒にエンドユーザーまで訴求していくことがメーカーとしての責任であると感じています。
いつどこで発生してもおかしくない地震に対し、どのように備えるかが国民の一番の関心事だと思いますが、我々はそれに応える商品を有しています。軽い屋根、地震に強い屋根の存在をしっかりと伝えて、当社も「ROOGA」に代表される軽くて強く、かつ和瓦に似た屋根材を持っていることを業界内の皆様からエンドユーザーまで広めていくことに努めてまいります。
國井 昨年の電力自由化に続き、今年は都市ガスが自由化されます。電力に関しては昨年300社以上の企業が参入しましたが、ガスについては参入を発表しているのは大手の電力会社などに限られており、保安などの問題があるため、電力と比べると一桁ぐらい少ないのではないかと予測されています。エリアによっては電力とガスの競争が非常に激しく、訪問販売事業者がオール電化の攻勢をかけています。当社としてはガスの自由化とオール電化の動きを注視していきます。
中川 民間の非住宅の投資は昨年15兆円程度の規模で、非住宅案件は東京オリンピック・パラリンピック需要の後押しもあり、首都圏が需要の受け皿になって推移すると見ています。インバウンド需要も今年あたりから顕在化すると見ています。現状ではホテルの数が足りず、2020年までには日本全国で約6万室増えるというデータもあります。非住宅案件については首都圏を中心に大型の再開発プロジェクトが2020年以降も多く控えており、非住宅分野では「2020年の崖」はないと考えています。
ストックビジネスではリフォーム需要を拡大していく必要があると考えています。リフォーム希望のお客様がどこに聞けばいいのかを分かりやすくするため、昨年4月に「パナソニックリフォーム」を立ち上げてブランドを一本化しました。テレビコマーシャルやショウルームでの相談会などが奏功し、ショウルームの来場者数も前年比106%と順調に伸びています。
また「リファイン」というリフォーム会社のネットワークも「PanasonicリフォームClub」と名称を変更しました。おかげ様でオリコンのお客様満足度調査でも戸建てリフォーム部門2位というご評価をいただいています。今度も引き続きリフォーム事業に注力していきます。
八木 北陸新幹線が2022年に金沢から敦賀まで延伸することになり、当社のある福井県においても今後、交流人口の増加が期待できます。太平洋側の新幹線の交通網が地震によって遮断されてしまった時の迂回機能として、日本海側の交通体系の整備は絶対的に必要だと考えています。港湾機能としても、敦賀や舞鶴、福岡、富山、新潟などの競争力を高めながら整備することが求められます。福井県には永平寺や東尋坊などの観光資源もたくさんありますので、経済効果は期待できると見ています。
地方創生の観点では、新幹線の交通体系ができることが目的ではなく、どんな街であるかが大事です。まずは福井県の人たちが誇れる街づくりをすることが重要であり、当社も貢献していきたいと考えています。

 

今年の各社の戦略や注目商品について
 

平田 今年の戦略や方針と注目商品についてお聞かせください。
柴田 人口が減少する日本で一般論として、今後伸びる商品のキーワードは環境対応資材を意味する「グリーン」と高齢者対応資材を意味する「シルバー」です。当社は「グリーン」に大きな商機があると考えています。
2020年の省エネ基準への適合義務化に向け、2016年度の第2次補正予算では経済産業省によるZEHへの補助金、国土交通省による住宅ストック循環支援事業での省エネリフォームへの補助金が盛り込まれ、2017年度の税制改正では長期優良住宅化リフォームの減税など、国としても様々な施策を講じており、特に注力して取り組んでいこうと考えています。
また、当社の植林木を利用したブランド「地球樹」も大きく伸ばしていきます。
大道 今年開催される「住まいの耐震博覧会」には、ブランド化を進めている銘樹シリーズにおいてデザイン性を高めた「銘樹irodori」を展示します。
今年は国産材のフロア合板の比率を高めていきたいと考えています。直貼りマンション用のフロアを除くと約35%が国産材の合板を使っています。この業界は、国産材の針葉樹合板を使ったフロアとパーティクルボードを使ったフロアで二極化しています。当社としては2025年までに50%という国策に沿って、マンションを除く一戸建住宅向けのフロアについて、国産材比率を更に高めていきたいと考えています。
野浦 文教施設、老健施設などの非住宅の木造建築物と、窯業系のサイディング及び屋根材は親和性が高いので、非住宅市場に積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、当社が持つ光触媒技術は、汚れを防ぐ機能だけでなく大気浄化機能、超親水による水打ち機能もあるので、東京オリンピック・パラリンピックに関連する施設やインフラなどにも提案していきます。ご当地福岡でも北九州空港のターミナルビルや、石油・ガスタンク、トンネルなど様々な所で光触媒は使われており、引き続き広く訴求していきます。
新商品「リサイクル内装ボード」で2016年度グッドデザイン・ベスト100を受賞しました。これはコーヒーショップで出る豆かすや紙コップといった廃棄物を原材料としてリサイクルすること、またその素材感の美しさが評価されたものです。この商品は3月に発売を開始する予定です。
今年の「住まいの耐震博覧会」では、2つの大画面で映像をシンクロさせるデュアルゲートビジョンという技術を使い、より視覚的に商品の魅力を訴求する映像プロモーションを取り入れますので、ご期待ください。
舩田 家庭用エアコンの需要は昨年が約820万台程度でしたが、そのうち半数近くが量販店で購入されています。一方でゼロエネルギー住宅や高気密・高断熱住宅においては、省エネ化における空調ウエートが高くなっています。今後はゼロエネルギー住宅や高気密・高断熱住宅の新築需要にお応えする商品を提供していきたいと考えています。省エネ性が追求されていく中で空調機自体が大きくなり、室内で目立ってしまうというご不満がお客様から聞かれ、昨年10月にヨーロッパで人気の「UXシリーズ」という薄型の機種を発売しています。
全館調湿・換気ユニット「デシカホームエア」が好評です。家中の温度コントロールだけでなく、外気から取り入れた湿度と室内で溜まった湿度を自由自在に出し入れすることで、無給水で除湿・加湿の湿度コントロールをし、快適な湿度を保ちます。
今後も空調のプロとして、お部屋の内装に合わせた室内機の選定や、空調機の設置方法などお客様のニーズに合わせた空調設計をすることで、付加価値を高められるように取り組みます。
國井 中期経営計画「Vプラン20」では、創業の原点に返り給湯器に経営資源を集中し、モノづくり変革とマーケティング変革を行い、更に海外事業を強化していきます。
高齢者を中心に浴室事故は年間約1万9,000件もあると推計されており、交通事故死よりも多く社会問題となっています。当社はこの社会問題を解決できないか研究を続けてきましたが、3月、「みまもり機能」を有した給湯器「GT-C62シリーズ」を発売します。ヒートショック対策のため、設定温度よりも2度低い温度でお湯を張り、水位センサーが入浴を検知すると設定温度まで緩やかに追いだきする機能、長湯による「のぼせ」対策のため、入浴すると5分ごとに音でお知らせするとともに、台所リモコンでも入浴状況を家族にお知らせする機能を搭載しています。更に浴槽のお湯を99.9%除菌して翌日の洗濯にもきれいなお湯を使えます。
中川 今年はIoT元年として、住宅の利便性をPRしていく1年になります。スマートフォンで外出先からエアコンやエコキュートのスイッチをつければ、暖かい部屋に入れて、すぐお風呂に入ることもできます。防犯では、照明器具、玄関ドアの施錠や電動シャッターの操作もできます。見守りサービスについても、お子様が帰宅したことをスマートフォンに知らせることができるなど、いよいよ住宅においてもIoTがかなり進んできています。
今年は「住まいの耐震博覧会」の目玉としてHEMSの新商品「AiSEG2」を展示します。また、高さ2,700㎜の内装ドアを新発売します。天井高が高くなっている中でハイドアへの要望が多くなり、反りがでたり、重たくなって蝶番に負荷がかかるというような不満を解消した商品で、「住まいの耐震博覧会」でも展示させていただきますのでご期待ください。
八木 今後の職人不足に対応していくために、施工性を高め、なるべく簡単にリフォームできる部材の開発を更に進めていきたいと考えています。
今年の「住まいの耐震博覧会」で間伐材の再利用でつくった木粉を樹脂と練り合わせて開発した一戸建住宅用のデッキ材「プラスッド ソライエデッキ」を展示します。省施工でありながら、樹脂は火を放つと勝手に消えるという自己消火性の素材ですので、安全面にも配慮した商品です。
健康関係では、(一社)自然エネ活用住宅普及協会で展開している、壁内の空気を循環させた「エアサイクルの家」を通じて、住宅の長寿命化や健康な暮らしに貢献していくべく、積極的に推進していきます。
これまで事業領域ごとに技術が分かれていましたが、領域をまたいだ改革に着手し、新しいご提案ができるようチャレンジしていきます。
平田 長時間にわたり、誠にありがとうございました。パネリストの方々にはご出席の皆様への特別なご支援を、ご出席の皆様にはメーカー様の商品の拡販をよろしくお願いします。